フレデイ タン のコメント

21世紀になって登場した中央銀行のQE(量的緩和政策)は1989年の日本のバブル大崩壊後の長期に亘る不況に対する言わば景気対策として日銀の白川総裁が世界で初めて考案し実践したものであくまで暫定策だった。ところが、2008年に米国でリーマンショックが勃発し、米FRBのバナンケ総裁は白川総裁が先鞭付けたQEを迷わず採用し米金融機関の取り付けを回避する挙に打って出た。これも暫定策だったが、ウオール街の投機家たちからの強い要望もこれあり、QEは継続され、米国のQEに対処する意味で白川総裁はQEをやめることが出来なくなった。安倍政権になって白川総裁に代わって黒田総裁が登場し、大胆にも無制限のQE(QQEと名付けている)に踏み切り、日米はQEでペア乱舞をし始めて今日に至っている。その間、中国は日米のQEには冷ややかで米ドル基軸通貨の代替としてIMFのSDRの強化を打ち出し人民元の出資を実現させている。更に中国はロシアと連携し金塊の採用をも視野に入れて日米のQEに対決している。昨年米国が仕掛けたウクライナ戦争は実物の供給不足を西側にきたし日米のQEは根底から崩され(金利上げ)つつある。QEの大義名分は経済成長と賃金の上昇だが全然達成されるどころか富者の富は超巨大化し証券市場と貨幣市場は大金持ちのカジノとなってしまっている。ウクライナ戦争が中国海に飛び火すると日本と米国には間違いなくハイパーインフレが襲って来て戦争どころではなくなる。

上記の語りは米国金融市場参加者にとって無視できない。今後の米国金融市場は神経質にならざるを得ない。日本は上も下も思考停止。何かが起こるまで何も無いということだ。2011年3月11日突然大地震が起こるまで福島は何もしなかった。その例にしたがい、経済に大変動が勃発するまで日本はおめでたく生存する。

No.4 17ヶ月前

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