中庸左派 のコメント

下の両氏発言については、改めてキチンと批判しておく。

「家族に対しては、施設側もネットを介した面会やついたてや透明カーテンごしで厳密に隔離された面会など、できる工夫や配慮はこらしているという。それが気にいらなければ、入居高齢者を家につれてかえって一緒に暮らしながら介護すればいい。介護施設に入居させるのは、義務ではない。」(りゃん氏)

「介護施設に入れて、会えないことに対してクレームを言うのは、国家の趣旨に反している。」(change氏)

 上記お二人の発言は、私の「全国の高齢者施設の一面を言うなら、外出外泊制限という人権侵害を辞さない「刑務所」状態です。」という発言に対するものであった。

 この両氏の発言に対して、日弁連と厚労省通達を引用する形で、上記二人の浅薄皮相な見解を批判する。

 まずは日弁連、2021年4月16日「コロナ禍における社会福祉施設・医療施設での面会機会の確保を求める意見書」から、「社会福祉施設・医療施設は、高齢者や障がい者にとって面会機会の確保が重要な権利・利益であることを十分に考慮し、必要な物的・人的体制整備を行い、地域の感染状況に応じて、感染防止と面会機会の確保のバランスの取れた対応を行うように努め、一律の面会禁止を行うなど画一的な対応を講じることのないようにすること。」
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2021/210416.pdf
 即ち「面会機会の確保が重要な権利・利益である」とは「面会」は人権ということだ。
 これに対して、「クレームを言うのは、国家の趣旨に反している。」(change氏)とのご託宣であった。このような権威主義的人権抑圧論は悪質というほかない。

 次に、令和3年 11 月 24 日の厚労省通達「社会福祉施設等における面会等の実施にあたっての留意点について」https://www.mhlw.go.jp/content/000860991.pdfより、「(面会)面会については、感染経路の遮断という観点と、つながりや交流が心身の健康に与える影響という観点から、地域における発生状況等も踏まえ、可能な限り安全に実施できる方法を検討すること。」
 即ち、「可能な限り安全に実施できる方法を検討すること」とある。さらに「面会の実施方法を判断する際、入所者及び面会者がワクチン接種済み又は検査陰性であることを確認できた場合は、対面での面会の実施を検討すること。」要は、オンラインではなくて、対面での面会を推奨しているわけだ。

 また、「(外出)入所者の外出については、生活や健康の維持のために必要なものは制限すべきではなく、「三つの密」の回避、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等の基本的な感染対策を徹底し、自らの手で目、鼻、口を触らないように留意すること。」として、「必要なものは制限すべきで」はないとしている。この通達の前提となる議論の資料4 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000682605.pdfでは、より踏み込んで「外出について、屋外での運動や散歩など、生活や健康の維持のために必要なものは、不必要に制限すべきではなく、「三つの密」の回避、人と人との距離の確保、必要に応じたマスクの着用、手洗い等の基本的な感染対策を行いながら、感染予防と活動・生きがいとのバランスをどう確保していくかという観点が重要である。」とあった。

 どうだろうか?これは昨年の議論であり通達だ。問題は多くの高齢者福祉施設において、こうした考え方が必ずしも浸透せず、実施されていないことだ。

 私は、「医療と社会関係、人間らしい生活、人は、社会経済は本来どうあるべきなのか?コロナ禍から3年が経過しようとする今、トータルの社会的論議を願ってやみません。」と問題提起をしたに過ぎない。これは、高齢者施設利用者としての切実な訴えでもある。

 それに対するりゃん氏の回答は、「それが気にいらなければ、入居高齢者を家につれてかえって一緒に暮らしながら介護すればいい」という低レベルかつ議論そのものの拒絶であった。
 しかも、りゃん氏に至っては上記コメント欄に列記されていように、私の問題提起に対して、単なる現状の説明が半分(勿論、施設利用者である私の熟知している事柄の羅列である)、私に対する人格攻撃が半分というあきれ果てる内容であった。
 もとより、この二人との共通理解もアウフヘーベンも期待しないが、それにしても悪質かつ、浅薄皮相なその発言はここに改めて批判しておく。現実の社会問題を社会問題と理解できない皮相な思考様式や姿勢、想像力の欠如は当事者の声を圧殺するだけである。まして、マスメディアがコロナ禍にあって「大本営発表」と化している現状において、彼ら自身がその同調圧力の先兵として、コロナ禍において侵害される人権や切実な声を黙殺し、嘲笑うかの態度に終始してきたことを批判して当然と考えるからである。

 さて、このテーマから些かズレたことだし、私は言いたいことは全て言い切ったので、本当にこの項はこれにて発言を終えます。このコメントに関して、返信することはありませんので、悪しからず。

No.82 23ヶ月前

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