> つまるところマルクス主義が優れており、中国化し、時代に合わせたマルクス主義が優れているからということを、実践は我々に教えてくれている。
> これからの中国共産党の中心的任務は．．．中国式現代化によって中華民族の偉大な復興を全面的に推進することだ。

”．．．今日の中国共産党の政治動向を占う上で、マルクス主義にのっとった分析がどれほど有効かについては、疑問なしとしない。その主義を奉ずる後継者たちが、今や「中国の夢」を掲げて活動しているとマルクスが聞いたら、悪い冗談だと思うだろうし、「中華民族の偉大なる復興」と聞かされた日には、卒倒してしまうに違いない。ありていに言えば、「夢」や「偉大なる復興」を理解するのに役立つのは、ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』であって、マルクス主義ではないからである。なまじマルクス主義を知っていることは、今日の共産党を理解する上で、邪魔とまでは言わないが、見る者の目を曇らせかねない。
だが他方で、国際共産主義組織としてのコミンテルンについては．．．今日の共産党が組織原理や活動原理の面で引き継いでいるのは、マルクスやエンゲルスのDNAというよりも、むしろ直接的にはコミンテルのそれであると言ってよい．．．そのDNAこそが中国共産党らしさの正体であり、ある意味で、結党以来百年を経ても変わらないものである．．．”━石川禎浩著「中国共産党、その百年」（2021）