p_f のコメント

RT 3 Jun, 2022

ロシアがウクライナを手放せない理由は、絡み合う歴史の根源にある
https://www.rt.com/russia/556073-russians-never-let-go-ukraine/

数世紀にわたる歴史の共有により、キエフの行く末は常にモスクワの中核的な関心事であり続ける-

エゴール・ホルモゴロフ記(ロシア人 歴史家・ジャーナリスト)

後部-

1991年にソ連が弱体化し崩壊したとき、ウクライナには3つの要因が重なった。第一に、キエフの公式共産主義政権は、レーニンが残した憲法上の機会を利用して、独自の国家を作る機会を与えられたことである。第二に、この共産主義後のウクライナにおける完全な思想的空白の中で、新しい国の思想的旗印を掲げたのは、ロシア人に向けられた狂信的な人種差別を持つバンデラの後継者たちであったことである。

同時に、ウクライナの人口の大部分は、公式に「ウクライナ人」「ロシア人」として記載されている人々の両方が、このプロセスの犠牲となったのである。多くの人々は、ソ連を大ロシアとみなし、自分たちの住むウクライナ・ソビエト社会主義共和国をその中の一角とみなしていたのである。彼らはロシア語以外の言葉を知らないし、学びたくもなかった。子供の頃、祖母からウクライナの方言を教わっていたとしても、それは冗談のひとつとしか思っていなかった。そして突然、学校、プロパガンダ、政治的な演説を通じて、これらの人々は、全体主義的な共産主義国家となって程無かったこの国から「ウクライナ人」になれという強い圧力に襲われたのである。

ロシア連邦は、国家のアイデンティティと国民意識に関して長い危機を経験していたが、この泥沼から引きずり出したのはウクライナであった。1948年に米国家安全保障会議のアナリストが予測したように、一部のロシア人に自分たちを「非ロシア人」と見なすようにさせるプロパガンダが行われていると知って、ロシア人は激怒した。

ロシアのプライドに最初の傷をつけたのは、ソ連時代にさかのぼる。1954年、マレンコフとフルシチョフがクリミアをロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(ロシア)からウクライナ・ソビエト社会主義共和国(ウクライナ)に移譲したときである。ロシア人は、この半島を自分たちの土地だと考えていた。2度のセヴァストポリ防衛(1854-55年と1941-42年)の英雄的な血が流れているのだ。この移転は、地図上のクリミアの色をピンクから緑に変える程度だったが、ソ連内のロシア人には民族的侮辱と受け止められた。セヴァストポリは「ロシア人船員の街」(有名な歌に歌われている)であり、敢えてこれに反論する者など誰もいなかった。1991年に半島が独立したウクライナの一部となり、政府がそこでロシア語を禁止し始めると、ロシア人の憤りは沸点に達した。人気映画「ブラット2」に出てくる「You will still answer for Sevastopol」というフレーズは、全国的なミーム(流行語)になった。

20世紀に何度か行われた強制的なウクライナ化の波は、ロシア人に、ウクライナのアイデンティティは古代の歴史や文化に由来するものではなく、プロパガンダによって植えつけられたものだと確信させた。好むと好まざるとにかかわらず、現代ウクライナの、ロシアにいるロシア人に対する敵意は、民族的アイデンティティの自由な選択の結果ではなく、プロパガンダの影響下で発生した治癒すべき病と見なされているのだ。一部のウクライナ人が、自分たちはロシア人と兄弟ではなく敵である、ロシアではなくNATOと一緒にいたい、と主張すればするほど、相手側のロシア人は、それがどんな意味であれ、彼らを救い、治療したいという気持ちが大きくなる。

“西側の仕掛け-現代ウクライナの人々の独自のアイデンティティ意識に訴えること-は、紛争を誘発するという点ではさらに危険である。こうした訴えに対するロシア人の反応は、誘拐された子供が敵になって歯向かって来た時の親の反応と似ている。彼らの邪魔をしない方がいいのだ”

要約すると、ロシア人には、ウクライナを自分たちの土地と考え、ロシアに最も敵対する人々でさえも、(洗脳からの保護を含め)保護を必要とする自分たちの同胞と見なす、多くの重要かつ歴史的な理由があるのである。ウクライナは「ロシアではない」という理由でウクライナに対して覇権を行使する権利があるという欧米の主張は、ロシアにいるロシア人には虚偽であり、略奪的であると映るのである。

さらに、このような態度は、ロシア人が自分たちのものだと考える領土に向けられた土地収奪だと考えている。プーチン時代におけるロシア人の民族的覚醒の決定的な要因の一つは、このウクライナを引き剥がそうとする試みに対する抵抗であった。大統領自身が発案したわけではなく、国民的なムードを反映している。

ロシア人に、ウクライナが何らかの形で分離していることを認めさせるには、残忍な力による以外に方法はないのである。ロシア人は、ウクライナをロシアから分離するような世界秩序は常に敵対的とみなすだろう。「独立したウクライナ」を支持することで、欧米は常にロシアとロシア人という疲れを知らない執拗な敵を持つことになる。

問題は、何故そんなことが必要なのか、そして誰が得をするのか、ということだ。

No.1 23ヶ月前

このコメントは以下の記事についています

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

孫崎享チャンネル

孫崎享チャンネル

月額
¥110  (税込)
このチャンネルの詳細