ちょっと趣旨がわかりにくい記事だ。 【主要企業の時価総額】に占める【無形資産の割合】を比べている。それ以上詳しいことは書いてないが、いまの米国でいえば【主要企業】とはGAFAMなどになるのだろう。そのひとつアマゾンをとってみても、倉庫なども持っているだろうが、利益をうみだしてるのは圧倒的に「仕組み」であり、それをつくる「人材」で、それがアマゾンの資産なのだから、【主要企業の時価総額】に占める【無形資産の割合】の比較で米国がトップなのは当然だ。 では、たとえば中国がそういうモデルをつくれるだろうか。 アマゾンでものを買えば(たとえば書物にしても)、買った記録、住所氏名電話番号、そのほかモロにプライバシーにかかわる記録がアマゾンに残る。今後通信がもっと速くなりVPSのようなクラウドサービスがむしろふつうになれば、個人のありとあらゆる情報がアマゾンなどのクラウドに残ることになる。 個人よりもひとあしはやく、日本政府は税や住民基本台帳などのデータをアマゾンまたはグーグルのクラウドに移す計画を決定している。 これがたとえば中国のクラウドだったら日本国民は許すだろうか。預けたデータをなににつかわれるかわからないではないか。もちろん米国が最後まで安心だと言ってるわけではない。あくまで比較の問題だ。中国などこの面では最初から数にはいらない。 日本国内にそういう仕組をつくるべきなのか。わたしはそういう意見だが、しかし、そういう仕組みをつくるには、データ防御の手立てが不可欠だ。サイバー攻撃を防御し、逆に必要なら反撃をしかけることのできる能力、さらには核攻撃にさらされそうになってもやりかえす能力をもつことで結果的に侵略されない能力。こう見てくるなら、将来技術がさらに進んでデータ格納が超分散的にならない限りは、GAFAMのようなモデルは、日本には、真似程度はできても、圧倒的になることは無理だ。 そして中国は、軍事力はじゅうぶんでも、信用の点で、この仕組で世界にうって出るのは無理だということになる。 考えてみれば、中国は経済規模で米国に迫り、なおかつ中国国内でGAFAMに自由な活動を許していない。それでも44%というのは、この仕組がひどく遅れていることになる。一方、日本は経済規模では米中にかなりおいていかれ、そのうえGAFAMは日本で自由に活動している。それでも日本は32%というのだから、わたしはけっこう日本が健闘しているとおもう。 だから最初に趣旨がわかりにくいと書いた。 もちろん知財は重要だ。日本は、しかし、できることを地道にやってゆく姿勢が必要だろうとおもう。 なお、米国は別にこの面に特化しているわけではない。仕組みをつくって大儲けしつつ、一方で、ウクライナにどんどんジャベリン等を供与する有形の生産力も保持している。だから恐ろしいのだとおもう。
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孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
ちょっと趣旨がわかりにくい記事だ。
【主要企業の時価総額】に占める【無形資産の割合】を比べている。それ以上詳しいことは書いてないが、いまの米国でいえば【主要企業】とはGAFAMなどになるのだろう。そのひとつアマゾンをとってみても、倉庫なども持っているだろうが、利益をうみだしてるのは圧倒的に「仕組み」であり、それをつくる「人材」で、それがアマゾンの資産なのだから、【主要企業の時価総額】に占める【無形資産の割合】の比較で米国がトップなのは当然だ。
では、たとえば中国がそういうモデルをつくれるだろうか。
アマゾンでものを買えば(たとえば書物にしても)、買った記録、住所氏名電話番号、そのほかモロにプライバシーにかかわる記録がアマゾンに残る。今後通信がもっと速くなりVPSのようなクラウドサービスがむしろふつうになれば、個人のありとあらゆる情報がアマゾンなどのクラウドに残ることになる。
個人よりもひとあしはやく、日本政府は税や住民基本台帳などのデータをアマゾンまたはグーグルのクラウドに移す計画を決定している。
これがたとえば中国のクラウドだったら日本国民は許すだろうか。預けたデータをなににつかわれるかわからないではないか。もちろん米国が最後まで安心だと言ってるわけではない。あくまで比較の問題だ。中国などこの面では最初から数にはいらない。
日本国内にそういう仕組をつくるべきなのか。わたしはそういう意見だが、しかし、そういう仕組みをつくるには、データ防御の手立てが不可欠だ。サイバー攻撃を防御し、逆に必要なら反撃をしかけることのできる能力、さらには核攻撃にさらされそうになってもやりかえす能力をもつことで結果的に侵略されない能力。こう見てくるなら、将来技術がさらに進んでデータ格納が超分散的にならない限りは、GAFAMのようなモデルは、日本には、真似程度はできても、圧倒的になることは無理だ。
そして中国は、軍事力はじゅうぶんでも、信用の点で、この仕組で世界にうって出るのは無理だということになる。
考えてみれば、中国は経済規模で米国に迫り、なおかつ中国国内でGAFAMに自由な活動を許していない。それでも44%というのは、この仕組がひどく遅れていることになる。一方、日本は経済規模では米中にかなりおいていかれ、そのうえGAFAMは日本で自由に活動している。それでも日本は32%というのだから、わたしはけっこう日本が健闘しているとおもう。
だから最初に趣旨がわかりにくいと書いた。
もちろん知財は重要だ。日本は、しかし、できることを地道にやってゆく姿勢が必要だろうとおもう。
なお、米国は別にこの面に特化しているわけではない。仕組みをつくって大儲けしつつ、一方で、ウクライナにどんどんジャベリン等を供与する有形の生産力も保持している。だから恐ろしいのだとおもう。