SF 08.05.2022(藤原直哉氏TWTR経由) ウクライナ戦争で「主導権を握る」べきと考える米政権-Eric Zuesse https://southfront.org/u-s-regime-thinks-it-should-be-calling-the-shots-in-ukraines-war/ これは、5月6日にN.Y.Timesのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏が、ウクライナ政府は対ロシア戦争において米政府の代理人であり、またそうであるべきで、ウクライナ人の利益を代表しているわけではないと述べたことに対する論評である。フリードマン氏はウクライナは悪い国であると指摘しつつ、持論を述べ出した- 「腐敗にまみれた国。だからといって、私たちはこの国を助けてはいけないというわけではない。助けるのはいいことだ。ぜひともそうしたい。しかし、バイデン氏のチームはゼレンスキー氏に対して、見た目よりもずっと綱渡りをしているように感じられる。彼がこの戦争に勝てるように可能な限りのことをしたいが、ウクライナの指導者との間にある程度の距離を保つ形でそうしているのだ。そうすることで、キエフが主導権を握ることもなく、戦争後の混乱したウクライナの政治で米国が恥をかくこともない。」 彼はそこでまずウクライナを「国」として貶め、そして幸いなことに「キエフは采配を振るっていないので、戦後の混乱したウクライナの政治によって(米国が)恥をかくことはない」と断言している。おそらく、彼のこの発言の裏には、米国は「腐敗にまみれた国」ではない、だから、この問題でウクライナが米国の奴隷であることは正しいし、良いことだ、という前提があるのだろう。 彼はこう続ける- 「私の取材によれば、バイデン氏と彼のチームの見解は、米国はウクライナの主権回復を助け、ロシアを打ち負かす必要があるということだ。しかし、ウクライナをロシアとの国境にある米国の保護領にしてはならない。我々は、何が国益であるかに焦点を合わせ、我々が望まない暴露やリスクにつながる方法で道を踏み外さないようにする必要がある。」 私は、フリードマンが本当に米国のエスタブリッシュメントの一員であり、「バイデンとそのチーム」も同様にそうであると信じている。フリードマンの発言は、「バイデンたち」(ウクライナの問題で米国議会がほぼ100%賛成していることから、米国の上院議員や下院議員もほぼ全員含まれている)がこの問題に関して感じていることを正確に反映していると私は受け止めている。彼らは、ウクライナはその中で彼らの奴隷でなければならず、米政府が隣国ロシアとの戦争で要求することは何でもやらなければならないと考えているのだ。 その見方、つまりこの問題で「キエフが主導権を握っていない」ことは真実であるだけでなく良いことだという見方は、帝国主義政府がその植民地や属国(帝国主義国家は最近ではこれを「同盟国」と呼ぶ)の一つに対して抱く見方を反映しているのである。そして、これが、彼らの軍隊だけでなく、「同盟国」のすべての住民を、彼らの対外戦争、他国を征服する戦争(たとえば、この場合はロシア)における適切な大砲の餌あるいは「代理兵士」として扱う理由なのである。 2014年5月28日、バラク・オバマ前米国大統領が、ウェストポイントの米国陸軍士官学校で、卒業する米国の士官候補生たちに向けて、この問題をどのように表現したかというと、次の通り- 「米国は、今も昔も欠くことのできない国家です。それは過ぎ去った世紀もそうだったし、これからの世紀もそうだろう。中略)旧ソ連諸国に対するロシアの侵略はヨーロッパの首都を狼狽させ、中国の経済的台頭と軍事的到達力は近隣諸国を憂慮させている。ブラジルからインドに至るまで、台頭する中産階級は我々と競争し、各国政府は国際的なフォーラムでより大きな発言力を求めている。この新しい世界に対応するのは、あなた方の世代に課せられた課題である。」 この言葉は、帝国主義全盛期のイギリス王室や貴族たちが言っていたようなものだ。 他の国はすべて「使い捨て」だ。米国の軍隊は、米国の億万長者が現在と同じように将来も世界を支配し続けるための国際的な経済競争の延長線上にあるのだ。「台頭する中産階級は我々と競争し」、その結果、「不要な」国々(米国の億万長者への臣従-「米国の同盟国」であること-が否定される全ての国)は米国の敵となる。「この新しい世界に対応するのはあなたの世代の仕事だ」というわけである。そう彼は米国の未来の将軍たちに、(2017年の米軍の報告書にあるように)「重要な米軍の能力の影と、その能力が発揮された場合に受け入れがたい結果をもたらすという暗黙の約束の中で生きている人々」について語ったのだ。米国の軍隊は、第二次世界大戦におけるヒトラーのナチス政権ではなく、第三次世界大戦に向けた米国のナチス政権の世界的な憲兵隊なのだ。 トーマス・フリードマンやニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど米国の主要な「ニュース」メディアは皆そう思っていて、そのように「ニュース」を報道・解説しているが、フリードマンとタイムズが一応正直にそう表現したのは、特に彼らがほとんどの国際ニュース報道・解説で嘘と詭弁の先導役をやっていることを考えると、不手際だったのだろうと思う。フリードマン氏の論評の中で最も印象的だったのは、「米国はウクライナの主権回復を支援する必要がある」という、滑稽なほど偽善的なセリフである。(彼らは米国の奴隷でありながら、主権を回復しなければならない。米国民をどれだけバカにしているのだろう)。これもまた、貴族の偽善と腐敗の典型である。米国の億万長者をはじめとする超富裕層だけを代表する米政府そのものもそうだが、それは体制であって民主主義とは全く無縁である。 さらに、米国がこの戦争に関与する必要は全くないが、ロシアは大いにある。そして、米政権のロシアへの関与は、ロシアを征服するためだけであり、精神病的で超帝国主義的な目的であって、それは世界のあらゆる地域の安全に対して増大する現実的な脅威になるばかりでなく、第三次世界大戦が現実に起こるという危険性を現在急速に高めている。 ちなみに、フリードマンの解説のタイトルは、「戦争は米国にとってより危険になりつつあり、バイデンはそれを知っている」であった。これは面白いタイトルで、フリードマンや米国の他の貴族たちが気にしているのは、つまり自分たちのことだけで、(ウクライナを含む)「使い捨て」の国々が気にしていることには、全く関心が無いからだ。何処の国の国民も第三次世界大戦(ロシアと米国の核戦争-NATO諸国を含む)を防ぐことに関心があるので、世界を滅ぼしかねない大惨事への懸念に比べ、こうした貴族たちの関心事は驚くほど視野狭窄的だ。明らかに、米国の貴族はサイコパスである。彼らは米国政府を支配しており、これはその結果である。最悪のものが最初に来て、一般大衆が最後に来る政府だ。ロシアは米国と対峙しており、ウクライナは第三次世界大戦の最初の戦場に過ぎない。今は、アメリカ政権にとっては代理戦争の段階だが、ロシア政府にとっては違う。ロシア政府はこの問題で、本当に市民の最も重要な国家安全保障の利益を代表しているのだ。米国と同盟関係にある貴族(その多くは億万長者のバンカーの買い手である)を除く全員が、この戦争で米国が敗北することに最大の関心を持っており、それは核段階、すなわちロシア対米国の直接戦争に至る前に、である。 今日の国連の恥は、米政府に対して激怒していないことである。これは国連の全歴史上最大のスキャンダルと失敗になりつつあり、事実上、国連自体が崩壊することになる。
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SF 08.05.2022(藤原直哉氏TWTR経由)
ウクライナ戦争で「主導権を握る」べきと考える米政権-Eric Zuesse
https://southfront.org/u-s-regime-thinks-it-should-be-calling-the-shots-in-ukraines-war/
これは、5月6日にN.Y.Timesのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏が、ウクライナ政府は対ロシア戦争において米政府の代理人であり、またそうであるべきで、ウクライナ人の利益を代表しているわけではないと述べたことに対する論評である。フリードマン氏はウクライナは悪い国であると指摘しつつ、持論を述べ出した-
「腐敗にまみれた国。だからといって、私たちはこの国を助けてはいけないというわけではない。助けるのはいいことだ。ぜひともそうしたい。しかし、バイデン氏のチームはゼレンスキー氏に対して、見た目よりもずっと綱渡りをしているように感じられる。彼がこの戦争に勝てるように可能な限りのことをしたいが、ウクライナの指導者との間にある程度の距離を保つ形でそうしているのだ。そうすることで、キエフが主導権を握ることもなく、戦争後の混乱したウクライナの政治で米国が恥をかくこともない。」
彼はそこでまずウクライナを「国」として貶め、そして幸いなことに「キエフは采配を振るっていないので、戦後の混乱したウクライナの政治によって(米国が)恥をかくことはない」と断言している。おそらく、彼のこの発言の裏には、米国は「腐敗にまみれた国」ではない、だから、この問題でウクライナが米国の奴隷であることは正しいし、良いことだ、という前提があるのだろう。
彼はこう続ける-
「私の取材によれば、バイデン氏と彼のチームの見解は、米国はウクライナの主権回復を助け、ロシアを打ち負かす必要があるということだ。しかし、ウクライナをロシアとの国境にある米国の保護領にしてはならない。我々は、何が国益であるかに焦点を合わせ、我々が望まない暴露やリスクにつながる方法で道を踏み外さないようにする必要がある。」
私は、フリードマンが本当に米国のエスタブリッシュメントの一員であり、「バイデンとそのチーム」も同様にそうであると信じている。フリードマンの発言は、「バイデンたち」(ウクライナの問題で米国議会がほぼ100%賛成していることから、米国の上院議員や下院議員もほぼ全員含まれている)がこの問題に関して感じていることを正確に反映していると私は受け止めている。彼らは、ウクライナはその中で彼らの奴隷でなければならず、米政府が隣国ロシアとの戦争で要求することは何でもやらなければならないと考えているのだ。
その見方、つまりこの問題で「キエフが主導権を握っていない」ことは真実であるだけでなく良いことだという見方は、帝国主義政府がその植民地や属国(帝国主義国家は最近ではこれを「同盟国」と呼ぶ)の一つに対して抱く見方を反映しているのである。そして、これが、彼らの軍隊だけでなく、「同盟国」のすべての住民を、彼らの対外戦争、他国を征服する戦争(たとえば、この場合はロシア)における適切な大砲の餌あるいは「代理兵士」として扱う理由なのである。
2014年5月28日、バラク・オバマ前米国大統領が、ウェストポイントの米国陸軍士官学校で、卒業する米国の士官候補生たちに向けて、この問題をどのように表現したかというと、次の通り-
「米国は、今も昔も欠くことのできない国家です。それは過ぎ去った世紀もそうだったし、これからの世紀もそうだろう。中略)旧ソ連諸国に対するロシアの侵略はヨーロッパの首都を狼狽させ、中国の経済的台頭と軍事的到達力は近隣諸国を憂慮させている。ブラジルからインドに至るまで、台頭する中産階級は我々と競争し、各国政府は国際的なフォーラムでより大きな発言力を求めている。この新しい世界に対応するのは、あなた方の世代に課せられた課題である。」
この言葉は、帝国主義全盛期のイギリス王室や貴族たちが言っていたようなものだ。
他の国はすべて「使い捨て」だ。米国の軍隊は、米国の億万長者が現在と同じように将来も世界を支配し続けるための国際的な経済競争の延長線上にあるのだ。「台頭する中産階級は我々と競争し」、その結果、「不要な」国々(米国の億万長者への臣従-「米国の同盟国」であること-が否定される全ての国)は米国の敵となる。「この新しい世界に対応するのはあなたの世代の仕事だ」というわけである。そう彼は米国の未来の将軍たちに、(2017年の米軍の報告書にあるように)「重要な米軍の能力の影と、その能力が発揮された場合に受け入れがたい結果をもたらすという暗黙の約束の中で生きている人々」について語ったのだ。米国の軍隊は、第二次世界大戦におけるヒトラーのナチス政権ではなく、第三次世界大戦に向けた米国のナチス政権の世界的な憲兵隊なのだ。
トーマス・フリードマンやニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど米国の主要な「ニュース」メディアは皆そう思っていて、そのように「ニュース」を報道・解説しているが、フリードマンとタイムズが一応正直にそう表現したのは、特に彼らがほとんどの国際ニュース報道・解説で嘘と詭弁の先導役をやっていることを考えると、不手際だったのだろうと思う。フリードマン氏の論評の中で最も印象的だったのは、「米国はウクライナの主権回復を支援する必要がある」という、滑稽なほど偽善的なセリフである。(彼らは米国の奴隷でありながら、主権を回復しなければならない。米国民をどれだけバカにしているのだろう)。これもまた、貴族の偽善と腐敗の典型である。米国の億万長者をはじめとする超富裕層だけを代表する米政府そのものもそうだが、それは体制であって民主主義とは全く無縁である。
さらに、米国がこの戦争に関与する必要は全くないが、ロシアは大いにある。そして、米政権のロシアへの関与は、ロシアを征服するためだけであり、精神病的で超帝国主義的な目的であって、それは世界のあらゆる地域の安全に対して増大する現実的な脅威になるばかりでなく、第三次世界大戦が現実に起こるという危険性を現在急速に高めている。
ちなみに、フリードマンの解説のタイトルは、「戦争は米国にとってより危険になりつつあり、バイデンはそれを知っている」であった。これは面白いタイトルで、フリードマンや米国の他の貴族たちが気にしているのは、つまり自分たちのことだけで、(ウクライナを含む)「使い捨て」の国々が気にしていることには、全く関心が無いからだ。何処の国の国民も第三次世界大戦(ロシアと米国の核戦争-NATO諸国を含む)を防ぐことに関心があるので、世界を滅ぼしかねない大惨事への懸念に比べ、こうした貴族たちの関心事は驚くほど視野狭窄的だ。明らかに、米国の貴族はサイコパスである。彼らは米国政府を支配しており、これはその結果である。最悪のものが最初に来て、一般大衆が最後に来る政府だ。ロシアは米国と対峙しており、ウクライナは第三次世界大戦の最初の戦場に過ぎない。今は、アメリカ政権にとっては代理戦争の段階だが、ロシア政府にとっては違う。ロシア政府はこの問題で、本当に市民の最も重要な国家安全保障の利益を代表しているのだ。米国と同盟関係にある貴族(その多くは億万長者のバンカーの買い手である)を除く全員が、この戦争で米国が敗北することに最大の関心を持っており、それは核段階、すなわちロシア対米国の直接戦争に至る前に、である。
今日の国連の恥は、米政府に対して激怒していないことである。これは国連の全歴史上最大のスキャンダルと失敗になりつつあり、事実上、国連自体が崩壊することになる。