まえがき
  尖閣諸島をめぐる日中間の対立は、中長期にわたって、日本のありようを大きく左右する極めて重大な事件となるだろう。戦後日本の転換期になるかもしれない。
 経済平和研究所(IEP)が行っている世界平和インデックス(Global Peace Index)がある。ここでは平和の度合いで各国のランキングをつけている。日本は過去五年間、ほとんど三位から五位の中にある。
 日本は戦後、軍事紛争から最も遠い国であった。日本独自の選択であったか否かは別として、軍事費を低く抑え、経済発展をめざし、社会の安定を保ってきた。
 今、日本はこの立ち位置から離れようとしている。
 私は二〇一二年一〇月、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出た。尖閣問題がテーマであったが、私は尖閣諸島の棚上げ論を主張した。番組中、私への非難が集中した。
 番組の終了間際に、アンケートがなされた。二者択一である。
 「尖閣諸島を守ることを最