わたしの議論にたいしていくつかご指摘があったとおもうので、何点か説明いたします。 1,人権派弁護士について 中国では、人権派弁護士がサヨク弁護士だとか「小学生」だとか悪罵を投げられることはなさそうですね。中国では、人権派弁護士はほとんど存在できませんから。 2,原発の立地について 日本も北朝鮮も中国も、原発は首都や人口密集地にはないとおもいます。一方、ウイグル問題は、中共がウイグルを侵略したうえで非常にきびしい人権侵害を大規模におこなっているという問題であり、この問題は、日本や北朝鮮にはいまのところありません。 つまり、原発の立地について各国共通の問題はあるとおもいますが、それとウイグル問題は同列ではありません。 3,鳩山氏について 米国メディアをみていると、北京オリンピックのスポンサー企業にたいして注文がつけられはじめています。これは過去の流れを見ても、当然予測されることでした。 鳩山氏は元総理であり、政界復帰がうわさされている人物であり、ブリヂストンの大きな利害関係者であることは明白な人です。そして、北京オリンピックについて政治的な発言をツイッターでしています。 実際に日本で今後どうなるかはわかりませんが、鳩山氏が北京オリンピックについての自己の発言について説明を求められる場面は、むしろいずれあって当然だとおもいます。そういう意味でわたしは「個人的な話」をしているのではありません。 なお、わたしは、「人権派弁護士と聞けば左翼弁護士だと悪罵を投げる連中」というのは、実際にはあまり記憶がない(もう少しアタマのいい批判がなされていることが常だとおもう)のですが、「右翼」はこんなふうに批判されるのですね。 4,「中国人の支配下にあって生存しているからこそ中東みたいなカオスにならないで安定して生活出来ている」「200万人いた人口は既に1000万人を超えている」について ウイグルの人口については、漢族の人口流入や混血があり、ウイグル族の人口がどうなのかについては疑問があります。その点はおくとしても、「日本の支配下で安定して生活が向上した」「人口が増えた」というのは、「ネトウヨ」が日本の朝鮮支配を正当化するときの定番の理屈(そして客観的事実)であることを思い出せばいいとおもいます。 「ネトウヨ」は今回は「質の低い右寄り言論をするヒトビト」の意味で使っており、わたしはそれは「ネトウヨ」のもともとの意味とは違い、また蔑称であるともおもっているので普段はつかいませんが、今回は特別に「質の低い右寄り言論をするヒトビト」の意味で使用しています。フレデイさんのロジックは「ネトウヨ」と同じであることに注意すべきです。 「私の友達のウイグル人」が実在するのかどうか知りませんが、日本の挑鮮支配を歓迎した朝鮮人は多数実在したし、たとえばアフガンでもソ連を歓迎したアフガン人は多数実在したし、米国の支配を歓迎したアフガン人が多数いたことは、最近見たばかりではないでしょうか。 なお、わたしはあまりに日本の朝鮮支配が過酷であったという語られ方をするときには、「日本の支配下で安定して生活が向上した」「人口が増えた」という事実を指摘することはありますが、それをもって朝鮮支配が正当化できるとはおもっていません。深く反省し、二度とそういうことのないようにと思っていますよ。 5,漢族の範囲について 近代以前のことと以降のことは同列に論じないのは人類の知恵だとおもいます。ロジックだけでつきすすむと、上野千鶴子のような(ふつうは)おかしいとおもわれることを言い出します。 そのうえで、辛亥革命のころ(もちろん近代以降です)には、新しくできる漢族の国の範囲をどうするかとか、ウイグルやチベットとの関係をどうするかという議論が実際に漢族のなかでありました。 その後、「やれる」とみて、ウイグル等を侵略しているわけです。そして、いまや「中華民族」をでっちあげようとしている。フレデイさんの言っているのは、中共の御用学者の議論です。
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わたしの議論にたいしていくつかご指摘があったとおもうので、何点か説明いたします。
1,人権派弁護士について
中国では、人権派弁護士がサヨク弁護士だとか「小学生」だとか悪罵を投げられることはなさそうですね。中国では、人権派弁護士はほとんど存在できませんから。
2,原発の立地について
日本も北朝鮮も中国も、原発は首都や人口密集地にはないとおもいます。一方、ウイグル問題は、中共がウイグルを侵略したうえで非常にきびしい人権侵害を大規模におこなっているという問題であり、この問題は、日本や北朝鮮にはいまのところありません。
つまり、原発の立地について各国共通の問題はあるとおもいますが、それとウイグル問題は同列ではありません。
3,鳩山氏について
米国メディアをみていると、北京オリンピックのスポンサー企業にたいして注文がつけられはじめています。これは過去の流れを見ても、当然予測されることでした。
鳩山氏は元総理であり、政界復帰がうわさされている人物であり、ブリヂストンの大きな利害関係者であることは明白な人です。そして、北京オリンピックについて政治的な発言をツイッターでしています。
実際に日本で今後どうなるかはわかりませんが、鳩山氏が北京オリンピックについての自己の発言について説明を求められる場面は、むしろいずれあって当然だとおもいます。そういう意味でわたしは「個人的な話」をしているのではありません。
なお、わたしは、「人権派弁護士と聞けば左翼弁護士だと悪罵を投げる連中」というのは、実際にはあまり記憶がない(もう少しアタマのいい批判がなされていることが常だとおもう)のですが、「右翼」はこんなふうに批判されるのですね。
4,「中国人の支配下にあって生存しているからこそ中東みたいなカオスにならないで安定して生活出来ている」「200万人いた人口は既に1000万人を超えている」について
ウイグルの人口については、漢族の人口流入や混血があり、ウイグル族の人口がどうなのかについては疑問があります。その点はおくとしても、「日本の支配下で安定して生活が向上した」「人口が増えた」というのは、「ネトウヨ」が日本の朝鮮支配を正当化するときの定番の理屈(そして客観的事実)であることを思い出せばいいとおもいます。
「ネトウヨ」は今回は「質の低い右寄り言論をするヒトビト」の意味で使っており、わたしはそれは「ネトウヨ」のもともとの意味とは違い、また蔑称であるともおもっているので普段はつかいませんが、今回は特別に「質の低い右寄り言論をするヒトビト」の意味で使用しています。フレデイさんのロジックは「ネトウヨ」と同じであることに注意すべきです。
「私の友達のウイグル人」が実在するのかどうか知りませんが、日本の挑鮮支配を歓迎した朝鮮人は多数実在したし、たとえばアフガンでもソ連を歓迎したアフガン人は多数実在したし、米国の支配を歓迎したアフガン人が多数いたことは、最近見たばかりではないでしょうか。
なお、わたしはあまりに日本の朝鮮支配が過酷であったという語られ方をするときには、「日本の支配下で安定して生活が向上した」「人口が増えた」という事実を指摘することはありますが、それをもって朝鮮支配が正当化できるとはおもっていません。深く反省し、二度とそういうことのないようにと思っていますよ。
5,漢族の範囲について
近代以前のことと以降のことは同列に論じないのは人類の知恵だとおもいます。ロジックだけでつきすすむと、上野千鶴子のような(ふつうは)おかしいとおもわれることを言い出します。
そのうえで、辛亥革命のころ(もちろん近代以降です)には、新しくできる漢族の国の範囲をどうするかとか、ウイグルやチベットとの関係をどうするかという議論が実際に漢族のなかでありました。
その後、「やれる」とみて、ウイグル等を侵略しているわけです。そして、いまや「中華民族」をでっちあげようとしている。フレデイさんの言っているのは、中共の御用学者の議論です。