りゃん のコメント

無意味な戦争であったとのご結論です。正面から反対するつもりはないですが、そう結論づけて、米国の敗北に一種の清涼感を感じているだけでは、見落とすものもあるとおもいます。

米国は911当時のアフガニスタン情勢を、自国へのテロへの温床と考え、ほうっておいては第二、第三の911がおきると考えて侵攻しました。そして実際、911のような、テロはもうおきませんでした。また、そこそこ長い間アフガニスタンを支配した結果、近代的な「米国寄りの」価値観(女性への教育など)を一定程度はアフガニスタンの庶民に流布し刻み込むことにも成功しているとおもいます。

この20年間にサウジアラビア等とイスラエルとの関係改善も進んだ一方、米軍の戦略目標がテロではなく中国にかわり、もはや(オバマのころからですが)アフガニスタンにいる理由がなくなった。こういう考え方も成り立つと思います。

さらに、もともとアフガニスタンは戦国時代の内戦状態であり、米軍が介入せずとも殺しあっていたことも忘れるべきではありませんし、米国だけが干渉したのではなく、当時イランやサウジアラビアやパキスタンも干渉しており、それはアフガニスタン内部の各勢力が引き入れた面もあり、だからこそ逆に極端に攘夷で原理主義な勢力が伸長してきた面もあるとおもいます。

いまタリバンがアフガニスタンを統一したといっても、統一の熱気のあとは、政治のやりかたによっては、あっというまに支持を失い、それこそ「戦争開始前の戻る」とおもいます。そのとき、ポルポトばりの大虐殺がおきるのか。それとも、周辺国に多数の難民が流出するのか。難民とともに「麻薬」とか「過激な思想」とかも流出していきます。孫崎さんの引用中に「地域の安全保障を巡る懸念が高まっている」とありますが、難民をどうとりあつかうかは、タジキスタンやウズベキスタンにとって、さらにはチェチェンをかかえるロシアにとって頭の痛い問題になるでしょう。さっそく軍事演習をやるみたいですね。もちろんウイグルをかかえる中国にとっても簡単ではない。

「最悪」、今後5年くらいのあいだに、ロシアか中国、あるいはその連合軍によるアフガニスタン侵攻がおきる可能性もあるとおもっています。あるいは、中国が支援するタリバンによって大虐殺がおきるか。

No.20 39ヶ月前

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