りゃん のコメント


1、インド株について
まず、ワクチンが従来株にたいして効果があるからこそ、インド株があらわれてきたのだということをよく認識すべきだ。ワクチンがなければ従来株が蔓延しているだけのことだ。

つぎに、この8日に、CDCとFDAとが、「ワクチンを既定回数接種したひとは、インド株(デルタ株)にたいしても、現時点で追加接種する必要はない(重症化や死亡から守られる)」旨を共同声明した。さらに、声明は、「新型コロナ入院患者や死者は事実上、全てワクチン未接種の人だ」としているという。
また、やはり8日にファイザーはインド株に対応した新ワクチンの臨床試験が当局の許可を得られれば来月にもはじまると発表している(mRNAワクチンなので開発速度が速い)。これらから、わたしは、インド株についての議論は局面がかわったと考えている。ワクチンをうったひとびとは、とりあえず安心していい(もちろん100%ではないが)。

今後、さらなる変異株があらわれて、従来のワクチンでは効かなければ、『毒性や感染力しだいではあるが』、さらに新しいワクチンが必要となるであろう。これについて問題にするひとびとはいるが、ワクチンがなければ蔓延を許すだけだ。

100年前のスペイン風邪のときは、完全に終焉するまで結局4年かかったという。当時はそれこそ『自然免疫』しかなかったわけだが、ひとびとは死ぬことにたいして、政府にそれほど文句はいわなかった。いのちの価値があがっているいま、当時と同じ『自然免疫』とあとは経済を停滞させて、さらにどのくらいしのぐのかどうかという問題になるだろう。

2、医療施設について
沖縄県立中部病院で51人のクラスターが発生した(17人が死亡)とのニュースが最近報道された。詳細はまだ報道されていないとおもうが、発生が明らかになったのは5月下旬なので、まだワクチン接種はほとんど完了していない状況でのクラスター発生であろう。

蔓延していても、たまたま医療従事者は患者にうつさず、患者も医療従事者にうつさなかった医療施設はもちろんある。というか、そっちのほうが数としてはずっと多いだろう。しかし、それが続くかどうかというのが問題なのであり、そこは各人の判断しだいということだ。

3、イベルメクチン等について
効くのかもしれない。しかし十分な臨床試験(日本などで承認できるだけの厳密な臨床試験)がおこなわれていないのだと考えている。個人輸入できるとはきいているが、いざ使うとなると、どのくらいの量をくらいの期間のむのか、単剤でいいのか、などの問題がおきるだろう。また、個人で勝手にのむのなら、なにがおきても100%自己責任となる。

なお、診療の手引きでは、適応外使用というかたちでイベルメクチン等の使用を認めている(禁止はしていない)。アビガンについては、藤田医科大学の治験で高尿酸血症・尿酸値上昇 1,960 名(17.8%)、肝障害・肝機能酵素上昇 834 名(7.6%)等がみられたとある。イベルメクチンは医師主導治験がおこなわれているとある。
https://www.mhlw.go.jp/content/000785119.pdf


4、流産について
まえにも述べたが、一般に自然流産は妊娠早期に多いことがわかっている。であるから、ワクチンをうった妊婦をあつめて、そのなかから流産した人々をあつめれば、やはり妊娠早期に流産した人々が多いことだろう。ここを理解していないと、数字をこねくりまわして、妙な独自説をたてることになる。

さらにいうと、流産は妊娠の10から15パーセントくらいにはおきることがわかっていて、予備的なスタディというものの目的の一つは、ワクチンをうった人々でもこの値があまりかわらないということを確かめる点にある。つまり、ワクチンをうった妊婦では流産が30%に増えていたということになれば、とたんに警鐘が鳴らされることになる。

もちろん妊娠の早期にワクチンをうった群とうたなかった群とで多人数のコホート研究をすれば、ワクチンをうった群の流産率が高いというような結果がでることは「あり得る」。今後、そういう視点のスタディもおこなわれるだろう。しかしそれはあくまで「あり得る」のであるのに、知らぬ間に自分のあたまのなかで「ある」に変換されているヒトビトもまた多いようだ。

なお、妊娠の場面に限らず、ワクチンが100%安全であるわけではない。要は、ほかの医薬品と同じくリスクとベネフィットとの比較で、またワクチンだから公衆衛生的観点もあるため、個々人は捨象されマスとしての公衆のなかで何人亡くなった、助かった、副作用がでた、というはなしもあるということだ。

No.17 41ヶ月前

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