りゃん のコメント

妊婦あるいは新生児(乳児、幼児・・・)にたいするチャイナ肺炎ウイルスまたはチャイナ肺炎ワクチンの効果は今のところ不明だ。チャイナ肺炎ワクチンに関してこの6月にニューイングランドジャーナル(※1)に論文が掲載され、話題になるべきところでは話題になったが、結論は、「①まだ予備的な調査であること(※2)②明らかに安全とはいえない(※3)③より長期的なフォローが今後必要である」という常識的なことだった。

この論文を読んでみると、いろいろな数字があがっている。たとえば、チャイナ肺炎ワクチンを接種かつ妊娠完了した827人のうち、712人(86.1%)が出産(live birth)、104人(12.6%)が自然流産、1人(0.1%)が死産、10人(1.2%)がそのほか(子宮外妊娠など)であった。そして、自然流産した104人のうち96人(92.3%)は妊娠13週以内に自然流産していたという。

これらの数字が(とくに92.3%という数字)いろいろと一人歩きしているようだが、そもそも12.6%の自然流産率は高くない(チャイナ肺炎ワクチンに関係なく一般的に妊娠にはもともとそのくらいの自然流産が伴うということ)。そして、自然流産は妊娠の早い段階でおきるのが多いのであり、自然流産のうち92.3%が妊娠13週以内におきていたというのは、別におどろくような数字ではない(※4)。

※1 イングランドとあるが、米国のニューイングランド地方の意味であり、英国のことではない
※2 論文のDiscussionで詳細に述べてある
※3 医薬品について安全と断定するのに慎重なのは当然で普遍的な態度である
※4 もちろんものすごく大規模なコホート研究を厳密にやれば数パーセントの差が出る可能性がないわけではない。

No.10 39ヶ月前

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