樋口氏は古い原発を家電にたとえている。しかし、今までの原発はどちらかというと、家電ではなく、巨大建築物のイメージだ。建築物なら、50年たっても、修理や補強しつつ使い続けることは別に珍しくはない。 また、なぜ古い原発ばかりになったかというと、反原発運動のせいで、原発が新設できなかった点が大きいことは明記しておかねばならない。 とはいえ、古い原発は、使わずにすめば、もちろんそれにこしたことはない。しかしそれに代わる電力源をどうするかという問題がある。 この点で、わたしは、以前は、「新設原発が無理な以上は、古い原発を厳しく安全審査しつつ、使い続けて時間を稼ぎ、その間に代替エネルギーや蓄電技術の研究をすすめる」というイメージをもっていた。この場にも、何度かそのように書いた。 しかし、事情が変わった。 世界的にCO2削減がトレンドとなり、各国の具体的な義務・政策になってしまったからだ。このトレンドも、なにかの陰謀なのかもしれない。しかしもはやあらがえない。こうなると、古い原発をもう20年くらい使い続けるというだけでは、化石燃料が使えなくなる分、とても安定した電力が足りない。 どうしても新設原発が必要になる。 最近提案されている新しい原発は小型で、(古い原発よりは)同規格大量生産され、どちらかというと、今までの原発よりも、しいて言えばだが、家電に近い(わたしは航空機のイメージで考えているけれども)。古い原発よりも、安全にさらに配慮した設計であり、小型なので事故の影響も比較すれば少ないといわれている。 インタビューから拝察する限りでは、樋口氏にはこの新しい原発のイメージはなさそうに感じる。美浜3号機だけの再稼働問題であれば、新しい原発のイメージなしに判断してもかまわないといえるが、今後の日本の原発政策を論じるのなら、新しい原発についての知識は必須だ。 よくもわるくも、こういう問題にあらかじめ敏感なのは自民党で、すでに、原発の新設を推進する議員連盟を立ち上げている。会長は安倍氏らしい。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012970831000.html わたしは自民党については是々非々だが、この動きは支持している。どちらかを選ぶしかないなら、古い原発を使い続けるよりは、新しい原発をつくるほうが安全だからだ。 こういう流れの中、反原発運動は、今までとりそろえていた「批判のセット(たとえば利権批判や事故の重大性など)」をこえて、CO2削減のなかでどのように原発なしに、いま、安定した電力をつくるのかという具体的提言なくしては、相手にされない時代にはいってきたとおもう。 ひとつ注目しているのは、ドイツの反原発運動だ。メルケル引退後、もしも政局が混乱するなら、そのなかでドイツも原発廃止政策を変換していくかもしれないと見ている。 また、日本の反原発運動について以前からわたしが大きな懸念をもっているのは、かれらが中国の原発について何も批判しないことだ。つい最近も台山原発の燃料棒破損事故があった。過去形ではなく、まだ現在形なのかもしれない。中国当局はほとんど情報を出さないが、いままでわかっているだけでも、中国当局がかなり無理な原発運転をしていることは明らかだ。 中国の原発に事故があれば、東にあるわが国に大きな影響がある。なのに、日本の反原発運動はなにもいわない。台山原発事故についてこの場で指摘したのもわたしだけだった。 四川地震でも緊迫した場面があったらしいことは証言で裏付けられている。 https://www.asahi.com/articles/ASK3N5FJ8K3NUHBI009.html チャイナ肺炎をみても、中国の隠ぺい体質は明らかだ。なのに、中国の原発について日本の反原発運動は何も批判しない。 なぜだろうか。
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樋口氏は古い原発を家電にたとえている。しかし、今までの原発はどちらかというと、家電ではなく、巨大建築物のイメージだ。建築物なら、50年たっても、修理や補強しつつ使い続けることは別に珍しくはない。
また、なぜ古い原発ばかりになったかというと、反原発運動のせいで、原発が新設できなかった点が大きいことは明記しておかねばならない。
とはいえ、古い原発は、使わずにすめば、もちろんそれにこしたことはない。しかしそれに代わる電力源をどうするかという問題がある。
この点で、わたしは、以前は、「新設原発が無理な以上は、古い原発を厳しく安全審査しつつ、使い続けて時間を稼ぎ、その間に代替エネルギーや蓄電技術の研究をすすめる」というイメージをもっていた。この場にも、何度かそのように書いた。
しかし、事情が変わった。
世界的にCO2削減がトレンドとなり、各国の具体的な義務・政策になってしまったからだ。このトレンドも、なにかの陰謀なのかもしれない。しかしもはやあらがえない。こうなると、古い原発をもう20年くらい使い続けるというだけでは、化石燃料が使えなくなる分、とても安定した電力が足りない。
どうしても新設原発が必要になる。
最近提案されている新しい原発は小型で、(古い原発よりは)同規格大量生産され、どちらかというと、今までの原発よりも、しいて言えばだが、家電に近い(わたしは航空機のイメージで考えているけれども)。古い原発よりも、安全にさらに配慮した設計であり、小型なので事故の影響も比較すれば少ないといわれている。
インタビューから拝察する限りでは、樋口氏にはこの新しい原発のイメージはなさそうに感じる。美浜3号機だけの再稼働問題であれば、新しい原発のイメージなしに判断してもかまわないといえるが、今後の日本の原発政策を論じるのなら、新しい原発についての知識は必須だ。
よくもわるくも、こういう問題にあらかじめ敏感なのは自民党で、すでに、原発の新設を推進する議員連盟を立ち上げている。会長は安倍氏らしい。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012970831000.html
わたしは自民党については是々非々だが、この動きは支持している。どちらかを選ぶしかないなら、古い原発を使い続けるよりは、新しい原発をつくるほうが安全だからだ。
こういう流れの中、反原発運動は、今までとりそろえていた「批判のセット(たとえば利権批判や事故の重大性など)」をこえて、CO2削減のなかでどのように原発なしに、いま、安定した電力をつくるのかという具体的提言なくしては、相手にされない時代にはいってきたとおもう。
ひとつ注目しているのは、ドイツの反原発運動だ。メルケル引退後、もしも政局が混乱するなら、そのなかでドイツも原発廃止政策を変換していくかもしれないと見ている。
また、日本の反原発運動について以前からわたしが大きな懸念をもっているのは、かれらが中国の原発について何も批判しないことだ。つい最近も台山原発の燃料棒破損事故があった。過去形ではなく、まだ現在形なのかもしれない。中国当局はほとんど情報を出さないが、いままでわかっているだけでも、中国当局がかなり無理な原発運転をしていることは明らかだ。
中国の原発に事故があれば、東にあるわが国に大きな影響がある。なのに、日本の反原発運動はなにもいわない。台山原発事故についてこの場で指摘したのもわたしだけだった。
四川地震でも緊迫した場面があったらしいことは証言で裏付けられている。
https://www.asahi.com/articles/ASK3N5FJ8K3NUHBI009.html
チャイナ肺炎をみても、中国の隠ぺい体質は明らかだ。なのに、中国の原発について日本の反原発運動は何も批判しない。
なぜだろうか。