ニーメラーは、言論の自由が圧殺された状況のことを言っているとおもわれるが、今回のできごとは、学術会議議員(公務員)に任命されなかっただけのことで、言論の自由を圧殺しておらず、孫崎さんはニーメラーの適用場面を間違っているのではないか。 もっといえば、「公務員に任命されなければ学問の自由の圧殺」だというような発想は、対偶をとれば、「学問の自由が保障されるためには公務員に任命されなければならない」となるわけで、そうした考えは自由の意味について根本的に勘違いしているとわたしにはおもわれる。 学術会議に巣食う一部の活動家が、会議全体をまとめあげてボイコットできるような実力などないとわたしはおもうが、仮にそういうことをしたら、政府のほうはこれ幸いとばかり、学術会議の廃止まで踏み込むであろう。 大きなところから言う言い方をすれば、学術会議なるものは(成功した学者を厚遇するための意味などもあるが)、政治的意味においては、冷戦構造下で米国陣営にくみこまれた日本が米国のいいなりになることに一定の歯止めをかける価値はあったとおもう。しかし、冷戦構造が終わり、なにが正義かがぐちゃぐちゃになっている現在、冷戦構造下での考え方を自己改革できなければ、旧社会党などと同じく、消えてゆくべき運命にあるのだろうとおもう。旧社会党などとはちがって、法で保障され、カネもついているぶん、みずから消えることはできなかったというべきでしょう。
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孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
ニーメラーは、言論の自由が圧殺された状況のことを言っているとおもわれるが、今回のできごとは、学術会議議員(公務員)に任命されなかっただけのことで、言論の自由を圧殺しておらず、孫崎さんはニーメラーの適用場面を間違っているのではないか。
もっといえば、「公務員に任命されなければ学問の自由の圧殺」だというような発想は、対偶をとれば、「学問の自由が保障されるためには公務員に任命されなければならない」となるわけで、そうした考えは自由の意味について根本的に勘違いしているとわたしにはおもわれる。
学術会議に巣食う一部の活動家が、会議全体をまとめあげてボイコットできるような実力などないとわたしはおもうが、仮にそういうことをしたら、政府のほうはこれ幸いとばかり、学術会議の廃止まで踏み込むであろう。
大きなところから言う言い方をすれば、学術会議なるものは(成功した学者を厚遇するための意味などもあるが)、政治的意味においては、冷戦構造下で米国陣営にくみこまれた日本が米国のいいなりになることに一定の歯止めをかける価値はあったとおもう。しかし、冷戦構造が終わり、なにが正義かがぐちゃぐちゃになっている現在、冷戦構造下での考え方を自己改革できなければ、旧社会党などと同じく、消えてゆくべき運命にあるのだろうとおもう。旧社会党などとはちがって、法で保障され、カネもついているぶん、みずから消えることはできなかったというべきでしょう。