「小説 外務省II」は未読で恐縮ながら、表紙は目を引いた。特に絵心も無く、バットマンのジョーカーを連想しただけかもしれない。しかし、セガンティーニの時と同様、こうして作品の背景を教えられると印象もかなり変わってくる。星野氏曰く- “日系一世という存在自体が「非アメリカ」と糾弾されるマッカーシズムの時代においては あらゆるデータが政治的に利用され...戦中の「敵性外国人」という立場は、太平洋戦争中の「アメリカン・デモクラシー」の擁護者としての戦争協力活動によっても相殺されなかった。こうした政治的謀略の渦中にあった画家の自己意識が仮面の像に投影されていると考える。” 国吉氏も「アメリカン・デモクラシー」などイカサマに過ぎないと身をもって思い知らされたのでないか。 映画「シェーン」のシェーンこそが米国だと思っていたら、実は、ワザと入植民を挑発して撃ち殺した殺し屋の方だったと悟ったようなものだろう。その上で ありのままに振舞ったら命を失いかねない。身を守るための「仮面」が要る。 一方では、国家や組織ぐるみのイカサマを隠す「仮面」もあるということだ。米国仕込みであろうが、戦後日本は着々とデモクラシーを根付かせてきた独立国である━こんなデタラメな「仮面」を悉く剥がしてきたのが、孫崎さんが出し続けている一連の「正体」シリーズである。
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孫崎享チャンネル
(ID:18471112)
「小説 外務省II」は未読で恐縮ながら、表紙は目を引いた。特に絵心も無く、バットマンのジョーカーを連想しただけかもしれない。しかし、セガンティーニの時と同様、こうして作品の背景を教えられると印象もかなり変わってくる。星野氏曰く-
“日系一世という存在自体が「非アメリカ」と糾弾されるマッカーシズムの時代においては あらゆるデータが政治的に利用され...戦中の「敵性外国人」という立場は、太平洋戦争中の「アメリカン・デモクラシー」の擁護者としての戦争協力活動によっても相殺されなかった。こうした政治的謀略の渦中にあった画家の自己意識が仮面の像に投影されていると考える。”
国吉氏も「アメリカン・デモクラシー」などイカサマに過ぎないと身をもって思い知らされたのでないか。
映画「シェーン」のシェーンこそが米国だと思っていたら、実は、ワザと入植民を挑発して撃ち殺した殺し屋の方だったと悟ったようなものだろう。その上で ありのままに振舞ったら命を失いかねない。身を守るための「仮面」が要る。
一方では、国家や組織ぐるみのイカサマを隠す「仮面」もあるということだ。米国仕込みであろうが、戦後日本は着々とデモクラシーを根付かせてきた独立国である━こんなデタラメな「仮面」を悉く剥がしてきたのが、孫崎さんが出し続けている一連の「正体」シリーズである。