りゃん のコメント

アビガンが耐性ウイルスをつくりにくいっていうのは、作用機序からの演繹、さらにはインフルエンザウイルスではin vitroだけでなく、in vivoの第三相試験でも観察されているってことは承知しています。

一方、チャイナ肺炎ウイルスにたいしては、in vitroの研究はあるはずです(具体的には自分は追ってはいませんが)。しかし、第三相試験は、まだ未了です(すでに日本でも着手しており数か月後には終わるはずです)。中国ではそれに匹敵する試験がなされているかもしれませんが、詳細なペーパーにはまだなってないのではないでしょうか。なお、中国は、チャイナ肺炎ウイルスに関する全ての学術論文は特別な審査を受け中央政府に承認されなければ公表できないという規制が3月からかかっていると聞いています。

もし日本の第三相試験の結果を調べる中で、耐性ウイルスが出現しなかったとしても、それは決まった用量用法を守った結果であり、全国民に配れとか、無症状のときからのめとか、だれでも(結果的に)好き勝手にいい加減な服用のしかたで内服できる可能性を許せば、どういう結果になるのかは臨床試験の外です。アビガンはインフルエンザウイルスに対しても今のところは最終兵器ですから、第三相試験の結果チャイナ肺炎ウイルスに対して承認されても、たとえ早期投与であっても医師のかなりの監督下でなければ内服できないようなかたちになるだろうと個人的意見としては想像しています。

薬の承認のしかたというのは、それなりに失敗の歴史を積み上げたうえで、今のかたちにおさまっています。大局的にみれば、それを維持するのが国民の生命身体を守る道です。もっともアビガン承認は緊急案件ですから、観察研究をひろげるとか、第三相試験を急ぐとか等のやり方をとるのは、むしろ奨励されるべきことでしょう。しかし、あまりにも手続きを無視した議論は、無理筋だとおもいます。


No.9 55ヶ月前

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