わたしは日本人ですが、「見たくない記事」という読後感はまったく湧きません。 しかし、「これはどのようにつくられた記事だろうか」「これは事実だろうか」という興味が強くわきます。そして調べてみようという思いが湧きます。 1、記事のつくられかた。 ニューヨークタイムズ(以下NYT)の元記事はこれ https://www.nytimes.com/2020/03/23/world/asia/coronavirus-south-korea-flatten-curve.html?searchResultPosition=1 これをみると、著者には二人あがってますが、主としてChoe Sang-Hunが書いたものですね。記事の最後あたりに、 「Max Fisher reported from New York, and Choe Sang-Hun from Seoul, South Korea.」とありますから。 Choe Sang-Hunというのは、韓国人で、韓国ではかなり有名な記者らしく、わたしも以前から名前は知っていました。 この記事がNYTにのったのが3月23日。 すると、3月24日には、「ニューヨークタイムズ“経済あきらめないでウイルス防いだことは韓国だけ”」(自動翻訳)と題する記事が、ソウル新聞にのりました。 https://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20200325023004 これは韓国語で、わたしは韓国語はわかりませんが、ブラウザの自動翻訳機能でだいたいの内容はわかります。 内容はほぼNYTの記事の要約紹介ですが、 以下のような文章が挿入されます(ブラウザの自動翻訳をそのまま掲載)。 「伝染病を正常に無効にしたケースに韓国を挙げ、他の国から学ぶべきであると強調する記事を掲載した」 「どう見てもすべての国の中で韓国が最も目に値すると評価した」 で、今度は3/27の東洋経済にのっているわけですね。東洋経済までは確認しませんでしたが、韓国・朝鮮系の編集部員がいるのか、または外注しているのかと想像しています (念のためくりかえしますがもちろん想像です)。 話はそれますが、じつは、こういうことを朝日新聞なんかもやります。注意していると、孫崎さんの記事にもときどき引用されます。 ただの想像ですが、NYTには、そういう「枠」があるのかもしれません。 もし本当にそうだとすれば、ある種の韓国人や日本人にとっては、「権威」を利用できてそれぞれの国内的にありがたいのかもしれませんが、NYT内部で権力を持つヒトビトは、アジア人を深く軽蔑しながら爆笑しているだろうとおもいます。 なお、NYTの取材姿勢については、この和歌山県知事のブログも参考になります。たぶん、今回の Choe Sang-Hunも知事への取材にからんでいるとわたしはおもっています。 http://www.nisaka.gr.jp/wp/desire/3027/ 2、事実かどうか。 PCR検査については、わたし自身は、「PCR検査は一定のスクリーニングを経た人々に限界を意識しながらやるべきだ」とおもっていますが、世界の趨勢をみても、最終的な結論はまだ出ていないというところでしょう。また、国によって、状況も違うし、その状況も刻刻かわるし、割くことのできるリソースの違いもあるなど、結局のところは、国ごとに、しかもそのときどきに応じて、何をやるか決めていくしかないというのが結論という気もします。日本でも、本日、医師会が「緊急事態宣言」発動を促しているように、もはやクラスター潰しと人々の自発性だけでは感染爆発を防げず、重症者への医療を確保するためにも、より強権的な手段が必要になってきているようです。 そのうえで、ですが、以下のような点を指摘できるとおもいます。 3/30(本日)の朝鮮日報記事 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/03/30/2020033080003.html によれば、 「新型コロナ感染者が急減しているかのように…青瓦台がグラフを歪曲」しているということです。内容は読めばわかりますので省略しますが、この内容のとおりだとすると、NYTの記事の 「2月29日の1日で909人の症例を特定、人口5000万人の同国は打ちのめされる寸前。しかし1週間弱経つと、新たな症例数は半減。4日以内で、再び半減――てその次の日も再び半減」 という書き方が、嘘とはいえないにしろ、印象操作であることは否めないとおもいます。 また、NYTの記事中には「韓国は中国のように言論や行動に厳しい制限を課すことなく」と書いていますが、 崔碩栄という在日韓国人の次の文章によれば、事態はそう単純ではなさそうです。 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71387 3、まとめとして、わたしの想像も交えてですが、 NYTに書いてあるからと言って、それだけでありがたがるのは、やめたほうが良い。 ある種の韓国人や日本人は、NYTでは、という手法を利用する。そのさいには、「事実そのもの」というよりも、「事実認識」のほうが重要なのだろう。また、そういう「事実認識」が国内的に(いまの場合韓国の国内的に)だれの得になるのか考えてみるのもいいだろう。 という点を述べておきたいとおもいます。
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わたしは日本人ですが、「見たくない記事」という読後感はまったく湧きません。
しかし、「これはどのようにつくられた記事だろうか」「これは事実だろうか」という興味が強くわきます。そして調べてみようという思いが湧きます。
1、記事のつくられかた。
ニューヨークタイムズ(以下NYT)の元記事はこれ
https://www.nytimes.com/2020/03/23/world/asia/coronavirus-south-korea-flatten-curve.html?searchResultPosition=1
これをみると、著者には二人あがってますが、主としてChoe Sang-Hunが書いたものですね。記事の最後あたりに、
「Max Fisher reported from New York, and Choe Sang-Hun from Seoul, South Korea.」とありますから。
Choe Sang-Hunというのは、韓国人で、韓国ではかなり有名な記者らしく、わたしも以前から名前は知っていました。
この記事がNYTにのったのが3月23日。
すると、3月24日には、「ニューヨークタイムズ“経済あきらめないでウイルス防いだことは韓国だけ”」(自動翻訳)と題する記事が、ソウル新聞にのりました。
https://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20200325023004
これは韓国語で、わたしは韓国語はわかりませんが、ブラウザの自動翻訳機能でだいたいの内容はわかります。
内容はほぼNYTの記事の要約紹介ですが、
以下のような文章が挿入されます(ブラウザの自動翻訳をそのまま掲載)。
「伝染病を正常に無効にしたケースに韓国を挙げ、他の国から学ぶべきであると強調する記事を掲載した」
「どう見てもすべての国の中で韓国が最も目に値すると評価した」
で、今度は3/27の東洋経済にのっているわけですね。東洋経済までは確認しませんでしたが、韓国・朝鮮系の編集部員がいるのか、または外注しているのかと想像しています
(念のためくりかえしますがもちろん想像です)。
話はそれますが、じつは、こういうことを朝日新聞なんかもやります。注意していると、孫崎さんの記事にもときどき引用されます。
ただの想像ですが、NYTには、そういう「枠」があるのかもしれません。
もし本当にそうだとすれば、ある種の韓国人や日本人にとっては、「権威」を利用できてそれぞれの国内的にありがたいのかもしれませんが、NYT内部で権力を持つヒトビトは、アジア人を深く軽蔑しながら爆笑しているだろうとおもいます。
なお、NYTの取材姿勢については、この和歌山県知事のブログも参考になります。たぶん、今回の Choe Sang-Hunも知事への取材にからんでいるとわたしはおもっています。
http://www.nisaka.gr.jp/wp/desire/3027/
2、事実かどうか。
PCR検査については、わたし自身は、「PCR検査は一定のスクリーニングを経た人々に限界を意識しながらやるべきだ」とおもっていますが、世界の趨勢をみても、最終的な結論はまだ出ていないというところでしょう。また、国によって、状況も違うし、その状況も刻刻かわるし、割くことのできるリソースの違いもあるなど、結局のところは、国ごとに、しかもそのときどきに応じて、何をやるか決めていくしかないというのが結論という気もします。日本でも、本日、医師会が「緊急事態宣言」発動を促しているように、もはやクラスター潰しと人々の自発性だけでは感染爆発を防げず、重症者への医療を確保するためにも、より強権的な手段が必要になってきているようです。
そのうえで、ですが、以下のような点を指摘できるとおもいます。
3/30(本日)の朝鮮日報記事
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/03/30/2020033080003.html
によれば、
「新型コロナ感染者が急減しているかのように…青瓦台がグラフを歪曲」しているということです。内容は読めばわかりますので省略しますが、この内容のとおりだとすると、NYTの記事の
「2月29日の1日で909人の症例を特定、人口5000万人の同国は打ちのめされる寸前。しかし1週間弱経つと、新たな症例数は半減。4日以内で、再び半減――てその次の日も再び半減」
という書き方が、嘘とはいえないにしろ、印象操作であることは否めないとおもいます。
また、NYTの記事中には「韓国は中国のように言論や行動に厳しい制限を課すことなく」と書いていますが、
崔碩栄という在日韓国人の次の文章によれば、事態はそう単純ではなさそうです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71387
3、まとめとして、わたしの想像も交えてですが、
NYTに書いてあるからと言って、それだけでありがたがるのは、やめたほうが良い。
ある種の韓国人や日本人は、NYTでは、という手法を利用する。そのさいには、「事実そのもの」というよりも、「事実認識」のほうが重要なのだろう。また、そういう「事実認識」が国内的に(いまの場合韓国の国内的に)だれの得になるのか考えてみるのもいいだろう。
という点を述べておきたいとおもいます。