りゃん のコメント

結論からいうと、検査したって大流行は防げませんよ。

インフルエンザは町の開業医の外来で検査できる体制が整っています。しかし昨年末は全国で一週間で約80万人の患者発生があった。最近、2020/2/17~2/23の一週間でみても、18万人以上が罹患している(もちろんいずれも推計です)。
https://kansensho.jp/pc/article.html?id=IE00000468

まあたしかに、検査できているから80万人(あるいは18万人)ですんでいるのだとの主張に対して反論するのは難しいですが、その数字ってすでに大流行ですよね。つまりインフルエンザの場合は検査できたって大流行は防げないのです。新型コロナウイルス感染症が同様でない理由はないでしょう。

今からでも少しでも流行をふせぐには、「新型コロナウイルス感染患者が含まれる集団を徹底的に他から隔離する」という原則を、場合場合で現実にあてはめてゆくしかない。それは難しい総合的判断になります。極端にいえば、(あたたかくなればウイルスの活動性が低下するとして)日本全体の活動(もちろん経済活動含む)を3月いっぱいほぼ全部休止するというような処置をとれば、今期の流行はかなり防げるでしょう。しかし、そんなことができるわけがない。たぶんもう、専門家のあいだでは、新型コロナウイルスによって、高齢者が今季何人くらい亡くなるというような議論がなされているとおもいます(やってないようでは逆に信頼できない)。

ひとりひとりの予防に向けての努力はもちろん無駄ではない。しかし、その一方で、統計学的な推理も、たぶんあたるのです。各年齢層それぞれで何人死ぬかは数字としては具体的に推計されていて、もういちおう結論は出ている。学校閉鎖も、わたし自身は良い政治判断だとおもうし賛成ですが、反対する考えにも公衆衛生学的な論拠はあるようだし、まあ、終わってみなければ正しかったかはわからないとおもいますし、どっちにしろすごく大きな変動はない。

公衆衛生学の学問としての方向付けの中で、(現時点ではさまざまな理由で)希少資源であるPCR検査や入院病床をいかに采配すべきなのか、わたしは結局のところ専門家を信頼して任せるのがベストだとおもいます。検査の拡充の流れは正しいと思いますが、政治が精神論をぶっても無理なものは無理。そういう意味で、安倍首相にも野党にも、政治にできることは、今はもうあまりないとおもいます(経済対策は別。これはしっかり議論してやってもらわなければならない)。

野党も含めて政治にできたのは、1月23日以降、できるだけ早い時点での中国からの来訪者シャットアウトでした。

そしてこれからできることは、中国との関係を見直すことだと思います。

No.12 55ヶ月前

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