ところでいま、いささか唐突に孫崎さんから北方領土問題が出てくるのはなぜだろうか。 直截的には12月17日から茂木外相がロシアを訪問することがある。そこで平和条約締結問題も議題にあがることになっている。 しかしその背景には、「北極圏油田で三菱商事などに出資打診 ロシア資源大手」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53194740Q9A211C1EA1000/ という事情があるとわたしは想像している。 つまり、北方領土問題については、ラブロフが本年(2019年)5月に「北方領土は戦争の結果ロシアのものになった」旨発言し、日本側の世論は完全に冷え切った。このままでは日本側から現在締結している以上の投資はあやうい。しかしカネが欲しいロシア側としては、油田を投資の誘い水にしており、そこに北方領土をまた絡めてくるのだろうとおもわれる。 今回の記事中にもある共同の配信は、それに対する日本政府側の「手の込んだ返事」、つまりロシアのその手には乗りませんよという意思表示だと想像している(というか、日本政府はそのくらいであってほしいという願望も正直ある)。 ロシア側としては、このたび華為など中国の投資を受け入れることにしたことも関連あるであろう。ソ連史からロシアの現代史をたどってみればわかるが、ロシア流の保険というかバランス感覚というか、こういうことをかれらはやるのだ。その一方で、中国には、「日本にカネを出させてパイプラインを中国までひいた時点でサハリン2のようにうまいことやりますよ」くらいは平気で言っていることと考える。 なんにせよ、レイムダック化しつつある安倍内閣、いままで精いっぱい北方領土でがんばった安倍内閣が、これ以上北方領土をやることはない。北海道も、いまは中国のサイレント・インベイジョンやそれと結びついたアイヌ利権の問題があり、その意味でも時期が悪い。 中露協力は、互いの国民性の違いから、まずうまくいかない。まして中国はドイツと一体なのだ。今後数十年のうちには、かならず日本のチャンスはあるとおもう。
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孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
ところでいま、いささか唐突に孫崎さんから北方領土問題が出てくるのはなぜだろうか。
直截的には12月17日から茂木外相がロシアを訪問することがある。そこで平和条約締結問題も議題にあがることになっている。
しかしその背景には、「北極圏油田で三菱商事などに出資打診 ロシア資源大手」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53194740Q9A211C1EA1000/
という事情があるとわたしは想像している。
つまり、北方領土問題については、ラブロフが本年(2019年)5月に「北方領土は戦争の結果ロシアのものになった」旨発言し、日本側の世論は完全に冷え切った。このままでは日本側から現在締結している以上の投資はあやうい。しかしカネが欲しいロシア側としては、油田を投資の誘い水にしており、そこに北方領土をまた絡めてくるのだろうとおもわれる。
今回の記事中にもある共同の配信は、それに対する日本政府側の「手の込んだ返事」、つまりロシアのその手には乗りませんよという意思表示だと想像している(というか、日本政府はそのくらいであってほしいという願望も正直ある)。
ロシア側としては、このたび華為など中国の投資を受け入れることにしたことも関連あるであろう。ソ連史からロシアの現代史をたどってみればわかるが、ロシア流の保険というかバランス感覚というか、こういうことをかれらはやるのだ。その一方で、中国には、「日本にカネを出させてパイプラインを中国までひいた時点でサハリン2のようにうまいことやりますよ」くらいは平気で言っていることと考える。
なんにせよ、レイムダック化しつつある安倍内閣、いままで精いっぱい北方領土でがんばった安倍内閣が、これ以上北方領土をやることはない。北海道も、いまは中国のサイレント・インベイジョンやそれと結びついたアイヌ利権の問題があり、その意味でも時期が悪い。
中露協力は、互いの国民性の違いから、まずうまくいかない。まして中国はドイツと一体なのだ。今後数十年のうちには、かならず日本のチャンスはあるとおもう。