サンフランシスコ条約が日本にとって屈辱的なものであったことは当然である。なにせ、日本はアメリカに挑戦し、そのアメリカに徹底的に叩き潰されたのだから。したがって約70年以上もたっていまさら全く動かしようのない史実に向かっては何もできない。奴隷的状態もどうしようもない。すべて日本国民が天皇、政府と一体になってしでかした間違い（道徳的な間違いではない）なのだから。少しばかり世界が分かっていたつもりの孫崎氏の先輩たちである日本国政府の外交官たちの知恵もまったく役に立たなかった。むしろ外交官の中にもその(戦略的選択上の）誤りを犯した張本人たちがいるだろう。もし孫崎氏がその時点で成人であり、外交官になっていたとしても何も貢献することはできなかっただろう。だとすれば孫崎氏はなぜ今頃、自分だけわかっているようなことを言うのか。偉そうに。どうして孫崎氏の意見を世間や政府が採用していないと思うのか。もしかすると、孫崎氏の意見は客観的な知恵であっても、使いようのない知恵であり、ただ彼が意見を述べて自己満足するだけの価値しかないというのではないだろうか。