北方4島はソ連が不当に奪ったのは明らかだ。事実経過は誰でも知ってるから詳しくは書かない。ただ、それに付随して、当時でも国際法違反のシベリア抑留や満州・北朝鮮地域での一般人に対する強姦(これはソ連軍だけでなく、朝鮮人も下手人であった)には触れておこう。それらに謝罪するでもなく、ロシア自身が「北方領土は戦争の結果ロシア領土になった」といっている。こういう言い草をサヨクが許して平気で、口先でも反論しないのだとしたら、今後永久に日本でサヨクが投票で政権をとれることはないだろう。 ではなぜ北方4島はソ連が不当に奪ったことが目立たないのかというと、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約があるからだが、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約において日本に対する相手は連合軍(=国連)であり、その中心は、少なくとも日本に対する限りは米国だ。 つまり、戦中戦後の日米関係における米国には①素の米国(トランプが make America great again というときの米国)のほかに②連合国(=国連)をまとった米国があるのだ。そしてサヨクは①の米国には反発するが、②の米国には反発できない。国連(=連合国)をなにか良いものとおもっているからだ。そして②の生み出したポツダム宣言や占領や日本国憲法やサンフランシスコ平和条約も良いものだと思っているからだ。日本も国連(=連合国)のいち員になれるのが嬉しくてしょうがないからだ。 しかし米国からみれば、①を少し拡大したものが②であるにすぎない。①が②を利用しているにすぎない。そして②はポツダム宣言や占領や日本国憲法やサンフランシスコ平和条約だけでなく日米安保条約も生み出している。実際これがたとえば日米安保条約と国連憲章の構造にもあらわれている(くわしくは、矢部宏治の新刊「知ってはいけない2」にも書いてある)。 北方領土問題でも、「北方4島は、米国が共同正犯として、実行犯であるソ連が不当に奪った」「それを、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約等で正当化した」のであり、ほんとうに反米だというなら、当然、そこを問題にしなくてはならない。サヨクは反米が足りないのだ。 わたしは観念をもてあそんでいるのではない。②の米国にはあらがわず、①の米国にあらがうことしか考えないなら、百年たっても米国からの独立はできないだろう。これはいずれさらに詳論することもあるかもしれない。 もっとも、もし返還されるなら、2島でも、されないよりはいいとおもっている。そして、くやしいが、それ以上が返還されることはないだろう。結局のところ、わたしは、くやしくても、チカラの論理を認める。チカラとは結局のところ軍事力だ。 しかし、サヨクはそれは認められないだろう。そうすると、どうやって2島のみ返還を合理化するのか。
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孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
北方4島はソ連が不当に奪ったのは明らかだ。事実経過は誰でも知ってるから詳しくは書かない。ただ、それに付随して、当時でも国際法違反のシベリア抑留や満州・北朝鮮地域での一般人に対する強姦(これはソ連軍だけでなく、朝鮮人も下手人であった)には触れておこう。それらに謝罪するでもなく、ロシア自身が「北方領土は戦争の結果ロシア領土になった」といっている。こういう言い草をサヨクが許して平気で、口先でも反論しないのだとしたら、今後永久に日本でサヨクが投票で政権をとれることはないだろう。
ではなぜ北方4島はソ連が不当に奪ったことが目立たないのかというと、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約があるからだが、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約において日本に対する相手は連合軍(=国連)であり、その中心は、少なくとも日本に対する限りは米国だ。
つまり、戦中戦後の日米関係における米国には①素の米国(トランプが make America great again というときの米国)のほかに②連合国(=国連)をまとった米国があるのだ。そしてサヨクは①の米国には反発するが、②の米国には反発できない。国連(=連合国)をなにか良いものとおもっているからだ。そして②の生み出したポツダム宣言や占領や日本国憲法やサンフランシスコ平和条約も良いものだと思っているからだ。日本も国連(=連合国)のいち員になれるのが嬉しくてしょうがないからだ。
しかし米国からみれば、①を少し拡大したものが②であるにすぎない。①が②を利用しているにすぎない。そして②はポツダム宣言や占領や日本国憲法やサンフランシスコ平和条約だけでなく日米安保条約も生み出している。実際これがたとえば日米安保条約と国連憲章の構造にもあらわれている(くわしくは、矢部宏治の新刊「知ってはいけない2」にも書いてある)。
北方領土問題でも、「北方4島は、米国が共同正犯として、実行犯であるソ連が不当に奪った」「それを、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約等で正当化した」のであり、ほんとうに反米だというなら、当然、そこを問題にしなくてはならない。サヨクは反米が足りないのだ。
わたしは観念をもてあそんでいるのではない。②の米国にはあらがわず、①の米国にあらがうことしか考えないなら、百年たっても米国からの独立はできないだろう。これはいずれさらに詳論することもあるかもしれない。
もっとも、もし返還されるなら、2島でも、されないよりはいいとおもっている。そして、くやしいが、それ以上が返還されることはないだろう。結局のところ、わたしは、くやしくても、チカラの論理を認める。チカラとは結局のところ軍事力だ。
しかし、サヨクはそれは認められないだろう。そうすると、どうやって2島のみ返還を合理化するのか。