フレデイ タン のコメント

トランプ政権の為替問題提起は米国支配層が第二次大戦後たゆまず追求してきた「米国の世紀」の終焉を意味する革命的な方向転換だと私は観測している。

1970年代後半に米国にネオコンが誕生し、米ドル基軸通貨制度を全世界に強制する一方、武力による石油資源支配を目指し、全世界の国々を米国の植民地化、半植民地化、或いは完全属国(日本はその代表例)化することに務めた。それは、米国の双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を超越する為の唯一の政策でもあるのだ。当然、米国債を大量に全世界に売りさばくことによって米国経済の均衡を維持することでもあった。

しかし、米国支配層とそれとつるんだネオコンの上記のたくらみもうまく行かなくなっている。その理由はロシアと中国が金本位制に転じつつあることと、もっと深刻なのは米国内の失業問題だ。ほっとくと、自民党系は聞きたくないだろうが、プロレタリア革命が起こるかも知れないのだ。本格的なプロレタリア革命はロシアに起こり、中国に起こり、今度は米国に起こる、その可能性がほんとうにほっとくと浮かび上がって来る。トランプは金持ちの坊ちゃんだが、その危機を感じて居るのだろう。

元来、米国資本主義の原理としては、中国とロシアに戦争を仕掛け敗北させ、米国の矛盾を解決することだが、(安倍体制はそのことに賭けている)、ロシアと中国はこのところ際立って軍事的に強くなってきて、米国と言えども勝てそうにないことが判明している。

トランプの貿易通商政策は、資本利益率向上だけが本願の米国の支配層には不快だ。しかし、冷静になれば、受け入れざるを得ないということだろう。

惨めなのは黒田日銀総裁だ。アベノミックスは米国の変身で大きく崩れるだろう。

No.4 72ヶ月前

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