りゃん のコメント

ウッドワードの著書では、「本来」ならトランプの性格やトランプ政権内部の確執が論点になるとおもわれるが、孫崎さんの今回引用部分の一部は、米国がシリアにおける毒ガス攻撃に関与していないことの一級証拠になりうる。これはいわゆる「偽旗」論者にとって非常に都合が悪い。

孫崎さんもこの点をさすがに察知して、「B:評価」のところでは、「本来」の点にはひとこともふれず、アサドの毒ガス攻撃の点について反論を試みようとした。しかし内容は通り一遍のもので、何も目新しいものは提示できなかった。

【通常兵力で制圧が可能になった時に国際的非難が高まる化学兵器を使用したかは疑問】というのが、孫崎さんのいつもの議論だ。孫崎さんだけでなく、この議論をする人は多いのだが、これに対しては、『アサドはむしろそういう時にこそ残虐なことをやるのだ。それを知らないのは中東とかアサドとかをよくわかってない論者だ』という、これもわりとよく見る反論がある。『』の議論をする人からみれば、【】の議論はいかにも日本人的ということになろう。

私自身は、シリアにおいて、米国とロシアとは、かなり上位なレベルでは、一定のなれあい関係にあるとおもっている。それに従って、シリアやロシアのやることを米国が見過ごしたり、今度こうするとロシアやシリアが米国に伝えたりなどということもあるだろうとおもう。これはまあ、それこそ「第三次世界大戦をおこさないため」の知恵みたいなものなのだろう。マティスがトランプの指示通りにアサドを暗殺したりしたら・・・。

しかし、その一方で、アサドがシリア国内で何度も毒ガスを使ってきた(そしてそこには北朝鮮も関与している)こと自体は間違いないと確信している。
私は日本語文のほかには、英文しか読めないが、その範囲でも最低一年くらいも継続して、ニュースや、ジャーナリストや現地の被災者からのものを含むツイッターなどや、学者の議論などを追っていって自分で辻褄を考えれば、アサドが毒ガス攻撃をしていると確信できる。そのなかでは、アサドがそんなことをするはずがなく「偽旗」なのではないかという議論も(孫崎さんのようでなく、もっと具体的に)提起され、そして十分に反論される。

ついでにいうと、アサドの毒ガスは、ちょっと前に日本のメディアもにぎわせたが、あれで終わったわけでは勿論ない。
自称戦争嫌いな日本のサヨクたちは、日本のサヨク経由でなければ世界のニュースなんか知らないから、今この現在でも、ロシアとアサド政権によるイドリブ攻撃がなされており、毒ガスだって使われそうな緊迫した事態にあることを知らないし、国連も世界中も人道危機への懸念、攻撃阻止の訴えを表明していることを知らないだろう。アサドの毒ガスは別に昨年4月に限った話ではないのだ。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13664869.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018090500223&g=int

この国連大使の言説などは、米国の立場をよく示している。「 they can do that, but they can not do it with chemical weapons」。
https://twitter.com/samueloakford/status/1037085449939046401

かなりついでだが、日本は別にロシアと喧嘩する必要はまったくないが、このタイミングで、安倍プーチン会談はよくないと自分はおもう。北海道で大地震がおきたことでもあるし、会わない口実は、あるはずだ。

No.9 75ヶ月前

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