りゃん のコメント

以前、「集団的自衛権の思想史──憲法九条と日米安保」(篠田英朗)を紹介しました。これは名著といっていい本でしたが、
つい最近、同じ著者の最新刊がでました。
「ほんとうの憲法: 戦後日本憲法学批判」 です。

私もいま読み終えつつあるところですが、こちらは新書だし、はやく読めます。また、どちらかを読んでおくと、集団的自衛権についての議論の見通しがよくなります。

本書では「集団的自衛権論議」や「憲法9条解釈」が、日本でこのようにゆがんでいる理由が根本からわかりやすく解明されています。種明かしすれば、戦後の東大の憲法学者たちの心理ということになります。

しかし戦後も数十年以上たったいま、「集団的自衛権論議」や「憲法9条解釈」が東大の憲法学者によるいわば秘術をやめて、政治家(=law maker)が気軽にクチにだせ、しかも論理的に深く理解していることが、孫崎さんの引用している岸田氏のことばからも推測できます。ここまでくれば、ゆがみは誰でも意識できるようになり、いずれは改憲に向けた大きな原動力となると思います。

なお、岸田氏は安全保障関連法が成立したから当面9条改憲はいらないという立場のようですが、著者の篠田氏は、ゆがみをリセットするために改憲したほうがいいという立場です。岸田氏と篠田氏のちがいは、実務政治家と学者との性格の違いにねざすものであり、実際はかなり近いだろうと思われます。

No.5 89ヶ月前

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