TPPで国民保険の崩壊が心配される。
どの様な形で、国民健康保険が崩れていくか。
勿論、TPPであからさまに、国民健康保険が消滅するというものではない。
問題は、実質的に機能しなくなっていくことである。
流れは次が予測される。
① 現在でも米国は日本の医療改革を官民で激しく要求している。それは2012年11月の日米財界人会議などで明確になっている。
② TPP参加の下においてはこの米側要求が一段と“正当性”を持つ。
③ この中、日本の経済界、政治家、官界等で国民健康保険を実質的に崩壊させていく改革への動きが強くなる。
④ 最終的にはISD条項という裁判の形で要求を担保する。
日米の企業経営者らが、政治や経済情勢を討議する日米財界人会議が2012年11月8日、都内のホテルで開幕した。ここでは「日本がTPP交渉に参加することを強く支持する」とした共同声明を採択した。
では米側議長は誰であったろうか。米国側議長はアフラック日本のチャールズ・レイク代表である。米国がTPPで何を最も目指しているかが明確である。
国民健康保険が機能すれば、米国の医療保険に入る人はいない。旗振りに米国の保険業界が先頭に立っていることは象徴的である。
こういた中、日本医師会や日本歯科医師会が医療をTPPの対象にすることには強く反対しているが、国民の中にほとんど、伝わっていない。
医師会は従来より、「日本医師会としても、米国が公的医療保険そのものの廃止を要求してこないことは想定済みである。株式会社の参入を要求したり、中医協での薬価決定プロセスに干渉したりすることを通じて、公的医療保険制度を揺るがすことが問題である」としている。
さらに次の立場を表明してきた。
「TPP協定交渉では、多くの分野で分野別議論が進んでいるとの情報がある。総論的に公的医療保険を俎上に上げないということになっても、金融サービスで公的医療保険に対する民間保険の参入、投資分野で株式会社の参入、知的財産分野で薬価や医療技術等が対象にならない確証はない。個別分野の規制改革が、蟻の一穴になるおそれがあることから、全体的にTPPを否定する必要がある」。
そして次の方針を示している。
日本医師会が考える「国民皆保険」の重要課題
1.公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること
2.混合診療を全面解禁しないこと
3.営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと(日本医師会、2012年3月14日定例記者会見)
2013年2月7日日本歯科医師会は「我が国の医療は、これを公助、共助、自助の精神で制度化されたもの、つまり国民皆保険制度として歴史的に構築されてきたものである、医療をTPPという国際市場の一部に乗せることはしてはならない」という見解を表明している。
米国は高額医療で進出してくる。
そして、米国が参加・経営する病院は高額医療であるが、低額医療は国民健康保険の対象になっているが、高額医療はその対象になっていない、不平等であると主張する。
最悪のケースはISD条項({投資家対国家の紛争解決}に米国企業が訴えるケースが想定される。
米国の投資家は日本への投資によって一定の利益を得ることが想定されるが、日本の政策、法律によって、この利益を得る機会が不当に歪められていると主張することが考えられる。
裁判という明々白々の事態を招かなくとも、日本政府が米国企業の要望を受け入れる形の政策を作ればよい。
日本医師会は2012年11月15日医療の営利産業化に向けた動きがあるとして懸念を表明してきている。
小泉構造改革の下で社会保障費のスリム化が図られた。
2012年7月31日野田内閣は「日本再生戦略」で「社会保障分野を含め、聖域を設けずに歳出全般を見直すこととする」とした。財務省の筋書きで野田政権は動いた。そして安倍政権は官僚機構を極めて重視している。
日本は国民健康保険を崩す方向に動いている。喜ぶものは誰か。米国の保険会社である。
<生放送情報>
20日 「TPPをもう一度。参加で国民健康保険が実質崩壊する危険がある 」
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孫崎享のつぶやき
孫崎享
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コメント
アメリカ医療の真実はマイケル・ムーア監督の映画「SICKO」が詳しい。
TPPの真実は映画「ジャマイカの楽園の真実」で分かる。
>>12
価値判断の問題だから何とも言えないけど、国は無限にお金を使えるわけではないから、今後の高齢化や先進医療化に伴って国の他の業務を圧迫するかもしれないという問題意識は必要。
GDP比で他国と比較する意味はよくわからないけど、たぶんそれはその国の人々の意識、文化というものにすぎない。どこまで国民が負担しどこまでを個人で負担するかの価値判断の参考にはなる点には同意できるが、それが日本国民の同意を得られるかは別問題だと思う。いろいろな人が挙げているSICKOはそのいい例だろう。
ともかく、珍しい病気の治療法を民間の保険に任せて、よく利用される医療に対しては国が負担するとか、導入するかは別にしてそういう選択肢は検討の余地があると思う。
>>6,21
支払能力って言葉を知っているかい?
少なくとも利害の対立はあるのだぜ
保険会社が支払いを渋ることとTPPとは全く別問題で、TPPがあろうが無かろうが払わない会社は払わない。
そして払わない会社と契約するかは各自の自由なので、好きにすればいいと思う。
私は払ってくれる会社の方が好きだ。
>No.23 ばった
>私は払ってくれる会社の方が好きだ。
払ってくれる保険会社の方が好かれるのは決まってる。
TPPによって、支払いを渋る保険会社が幅を利かせるようになり、
国民は契約する保険会社の選択肢が無くなるという事だろう。自分の主張に綻びがあることを自覚しろ。
(ID:19272281)
現在でも国民皆保険は既に崩壊しています。国民健康保険料を払っていない人は10割負担です。しかもこれから国民健康保険楼を払えない人は増えていくでしょう。もっと貧しくなれば生活保護に、これはこれで医療費がただになる分確実に医療費は増えます。世の中が多様化しいろいろなニーズがある中、混合診療は解禁し.営利企業(株式会社)も医療機関経営に参入させることを日本自らが日本方式ですることが必要です。これにより国民皆保険が崩れる訳でもなくむしろ永続できるシステムになると思います。