「自国が何をしたいかだけでなくて、相手が何を考えているか、どのような外交環境にあるかを考えることが重要」。これは、外交交渉だけでなく、あらゆる交渉ごとの大原則である。 だが、わが国の外務官僚には、この視点が抜け落ちているように思う。子どもの頃から、ガリ勉一筋で優等生を続けて来たから、「自分は相手より優れた人間だ」と勘違いしているのだろう。そして、話し合いがまとまらないのは、「自分の言い分を納得しない相手が悪いのだ」と決めつけて、相手国を非難する。だから日中も、日韓も、一向に改善されないのだ。 国後・択捉がソ連領になったのはヤルタ協定による正当なものであり、日本がポツダム宣言を受諾したことは、それを受け入れたのだ。今さら「南千島」だなどと言っても、国際的には通用しないだろう。 この2島には、今や数万人のロシア人が生活し、産業も営まれている。これを「返せ」というのは、理不尽な要求である。 たとえプーチンが返還しようと考えても、住民が納得しないはずだ。 住民の少ない歯舞・色丹については返還があるかも知れないが、米軍基地を建設されてはたまらないから、ロシア軍が常駐するだろう。
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孫崎享チャンネル
(ID:18982160)
「自国が何をしたいかだけでなくて、相手が何を考えているか、どのような外交環境にあるかを考えることが重要」。これは、外交交渉だけでなく、あらゆる交渉ごとの大原則である。
だが、わが国の外務官僚には、この視点が抜け落ちているように思う。子どもの頃から、ガリ勉一筋で優等生を続けて来たから、「自分は相手より優れた人間だ」と勘違いしているのだろう。そして、話し合いがまとまらないのは、「自分の言い分を納得しない相手が悪いのだ」と決めつけて、相手国を非難する。だから日中も、日韓も、一向に改善されないのだ。
国後・択捉がソ連領になったのはヤルタ協定による正当なものであり、日本がポツダム宣言を受諾したことは、それを受け入れたのだ。今さら「南千島」だなどと言っても、国際的には通用しないだろう。
この2島には、今や数万人のロシア人が生活し、産業も営まれている。これを「返せ」というのは、理不尽な要求である。
たとえプーチンが返還しようと考えても、住民が納得しないはずだ。
住民の少ない歯舞・色丹については返還があるかも知れないが、米軍基地を建設されてはたまらないから、ロシア軍が常駐するだろう。