のずえ のコメント

押井版の公開された1995年というのは私にとって思い出深い年です。神戸市灘区で阪神大震災にあい、震災義援金でWin3.1のパソコンを買ってパソコン通信を始めた年でした。そこで出会ったのが旅先通信なるもので、そこに集う人々は小型ノートパソコンやPDAを使って、音響カプラーを使ったり、灰色の公衆電話のモジュラージャックを使ったり、時にはホテルの電話機回線をばらしたりして、メールのやりとりやパソコン通信のフォーラムに書き込んだりしてました。「今、ここ」での情報を発信することで、単に情報の共有のみならず、何か新しい知のあり方や集団的知性の発現を夢見ていたのではないかと思われます。当時の熱狂ぶりは富士山の山頂から東芝リブレットと音響カプラーでアクセスする者までいたほどです。その後携帯電話の普及、スマートフォンの出現により、集団的知性の発現はおろか、コンビニのおでんをツンツンする様子を世界に発信するほどネットは愚者のデバイスと成りはてました。しかし95~98年ぐらいはネットに何かの可能性を信じていました。ADSLによるネットの常時接続が始まる前に、限られたリソースで如何に繋がるのかを試みた時代には押井の描いた世界は格別のリアリティがあったものでした。ドクターより少し年上の繰り言です。

No.1 92ヶ月前

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