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マクガイヤーチャンネル 第85号 【科学で映画を楽しむ法 第1回:『コンタクト』――なぜジョディ・フォスターは小保方さん化するのか?――】

2016/09/19 07:00 投稿

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マクガイヤーチャンネル 第85号 2016/9/19
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おはようございます。
連休なのに、今夜のニコ生準備で大忙しのマクガイヤーです。
実をいうと、まだ『Fallout4』をクリアしていません。



マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。


○9月19日(月) 20時~

「LAヤンキー愚連隊! 『スーサイド・スクワッド』とデヴィッド・エアー」

9/10より期待の新作アメコミ映画『スーサイド・スクワッド』が公開されています。

本作は『DCエクステンデッド・ユニバース』シリーズ三番目の作品でありつつ、これまでアメリカの町のゴロツキが自己実現を図る不良性感度120%な映画ばかり撮ってきたデヴィッド・エアー監督にとっておあつらえ向きの企画でもあります。

そこで、アメコミ、監督、不良映画……といった側面から『スーサイド・スクワッド』を解説します!

 

○10月前半 20時~

「テン年代の『闇金ウシジマくん』」

9/22より映画『闇金ウシジマくん Part3』が、10/22より映画最終作となる『闇金ウシジマくん the Final』が公開されます。

また、現在テレビドラマの第三シーズンが深夜に放送されています。

これらはいずれも2004年より連載されている漫画『闇金ウシジマくん』を原作としたものです。

当初は『ナニワ金融道』のクローンでしかなかった本作ですが、「新しい貧困」「マイルドヤンキー」「ワーキングプア」「格差社会」……といった「現在」を映し出し、もはやゼロ年代後半やテン年代のニッポンを代表する漫画であるといって良いでしょう。

そこで、原作漫画を中心に『闇金ウシジマくん』について特集します!

 

○10月後半 20時~

「最近のマクガイヤー 2016年10月号」

いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

詳細未定。

 

○11月前半 20時~

「ニッポン対ワクチン」

子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの副反応や、HPVワクチン薬害研究についての疑義、というか捏造報道など、ワクチンに関する報道や話題が盛り上がっています。

そこで、そもそもワクチンとは何か、どのように発明されどのように使われてきたのか、何故大事なのか、なにが現実でなにが虚構なのか……等々について今一度しっかり解説します。

 

○11月後半 20時~

「最近のマクガイヤー 2016年11月号」

いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

詳細未定。




また、50回記念オフ会を下記日時に開催します。

日時:10/22(土) 14時(13時半開場)~18時(予定)

場所:ワニスタ

http://wanistu.com/

参加希望者は下記フォームにてご申請下さい。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScpfkKnxSPUpZkWn...

詳細は未定ですが、皆でマクガイヤーのお勧め映像を観た後、歓談するというような内容を予定しております。

参加料は無料です。差し入れ大歓迎です!

その後、二次会として近くの飲食店での飲み会も予定しております(こちらは3000円となります)。

応募者多数の場合はTwitterとFacebookのIDがある方から選びますので、是非書いておいてね!



お楽しみに!


番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。

マクガイヤーチャンネル物販部 : https://clubt.jp/shop/S0000051529.html

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新製品マイナー生物大バトルTシャツ

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同じく新製品シン・ゴジラTシャツ

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思わずエナジードリンクが呑みたくなるヒロポンマグカップ

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いつもイラストを描いて頂いているアモイさん入魂の一品、キヨポンマグカップ

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情報量が多すぎる印南マクガイヤー善一TENGATシャツ

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マクガイヤー・ウォーズTシャツ

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夏にぴったり! ファインディング・シーマンTシャツ

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ワレカラ・エイリアン・ウォーリアーTシャツ

 

……等々、絶賛発売中!





さて、今回のブロマガから不定期で『Dr.マクガイヤーの科学で映画を楽しむ法』という連載を始めようかと思います。

これまでニコ生で『オデッセイ』『ゼロ・グラビティ』『ジュラシック・パーク』といった映画を科学的に解説する番組を放送してきましたが、同じようなことをブロマガでやって欲しいというリクエストを頂いておりました。
「科学」という視点から解説することで、皆が気づいていない映画の面白さについて語る。あるいは、一般的につまらない映画も、「科学」という視点から解説することで新しい魅力が出る。その逆に、一般的には秀作や傑作とされている映画も、「科学」という視点からみると、大きな欠点や問題点がある……みたいなことをやってきたわけですが、自分が思う以上に好評だったので、嬉しく思っています。
ただ、いつもそのような映画が新作として公開されているわけではありません。毎回毎回、その時々の新作映画で同じようなことをするのは難しいのです。そこで、過去作を取り上げて語ることになります。

取り上げる作品はいずれも公開後少なくとも数年は経った映画になります。ネタバレ前提の解説になりますが、本当に重大なネタバレの前にはきちんと「ここからネタバレ」と書きますので、ご安心下さい。

これまでと同じく、ニコ生放送を行った直後のブロマガは補講のようなものをやったり、時事ネタについて書く号も間に挟む不定期連載になります。気長にお付き合いください。

第1回はロバート・ゼメキス監督ジョディ・フォスター主演の『コンタクト』を取り上げます。一般的には評価の高いSF映画とされている本作ですが、実はけっこうな問題作だと思うのですよ。

『コンタクト』は1986年に発表されたカール・セーガンによるSF小説を原作としています。
天文学者であり、地球外知的生命体探査計画を推し進め、NASAの無人惑星探査機計画の大半に参加したセーガンは、一般向けの科学啓蒙書執筆でも有名です。特に有名なのが『コスモス』と題された、同名のテレビドキュメンタリーと連動したノンフィクションです。セーガンは番組のホストとして出演し、SFXを動員して作られた映像が素晴らしかったことも相まって、セーガンの名前は世界的に広まりました。
そのセーガンが発表したSF小説が『コンタクト』です。欧米には歴史的に、アーサー・C・クラークを筆頭として、科学者がSF小説を発表して未来のビジョンを示すという流れがあるのですが、セーガンが専門とする地球外知的生命体探査を扱いながらも、「宇宙人とはなにか?」ではなく「宇宙人とのファーストコンタクトによって揺れ動く地球人の政治・科学・宗教・社会」をリアリティたっぷりに描くことで「地球人とは、人間とはなにか?」を照射するという意欲作でした。手法としては、ゴジラそのものではなくゴジラ出現で揺れ動く日本社会を描くことで「日本人とはなにか?」に迫ろうとする『シン・ゴジラ』に似ていますね。

傑作小説が発表されるとすぐ映画化の話が持ち上がるのがアメリカです。『コンタクト』も発表当時から映画化の企画が立てられました(というか、セーガンは小説と合わせて映画用の脚本も用意していました)が、何年もの間ハリウッドの映画人の間でキャッチボールされ続けました。『コンタクト』の後半には<マシーン>と呼ばれる超空間移動装置が登場します。更に、作品の規模からいって一流の演技派俳優を演出する必要があります。つまり、SFXと社会派人間ドラマの両方を扱える一流監督が必要なのです。今ならデヴィッド・フィンチャーが候補になるでしょうが、当時のハリウッドには、そのような人材はスピルバーグくらいしかいなかったのです。
ところが1994年、ロバート・ゼメキスが監督した『フォレスト・ガンプ』が大ヒットしました。『フォレスト・ガンプ』は主人公ガンプが歴史的な事件に居合わせるさまや、高速度の卓球試合や片足のない障害者をSFXで描きつつ、圧倒的な演出で大衆を感動させる映画でした。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』やその他の過去作でもSFXをふんだんに使った映画を監督していましたが、大人の観客も感動させられる映画を作れるとは思われていなかったのです。ゼメキスが次回作として『コンタクト』を選んだ、もしくは選ぶことができたのは、納得の流れでした。


原作と同じく映画『コンタクト』も天文学者であるエリナー・アロウェイ、愛称で呼ぶとエリー博士を主人公とした物語です。
エリーを演じるのはもはや名優といっていいジョディ・フォスターですが、映画はジェナ・マローン演じるエリーの少女時代から始まります。ジョディ・フォスターは子役の頃から有名でしたが、『ドニー・ダーコ』を経て『エンジェル・ウォーズ』やDCアメコミ映画で活躍することになるジェナ・マローンのその後を考えると、実にピッタリなキャスティングです。
エリーはシングルファーザーの家庭で育ち、無線を趣味とする利発だけれど孤独そうな少女でした。ある時、父親に「他所の星にも人はいるかしら?」と問いかけ、「わからない。でも、地球人だけじゃ広い宇宙が勿体無いよ(I don't know, Sparks. But I guess I'd say if it is just us... seems like an awful waste of space.)」と返され、これが地球外知的生命体探査の道に進む契機となります。宇宙のspaceと(勿体無い)空間のspaceがかかっているわけですね。

原作ではその後、父親の再婚や、高校、大学……といったエリーの学生生活が綴られます。おそらくセーガン自身の学生時代と、研究員として務めていたUCLAバークレー校、ハーバード大学、コーネル大学といった一流大学での思い出、更には原作版エリーが青春期を送っていた70年代フラワーチルドレンの時代などがしっかりと描かれていてとても興味深いのですが(まさか『コスモス』の著者がこんな滋味豊かな青春物語を書けるとは誰も思っていませんでした)、映画はテーマを絞るのと上映時間におさめるために、思い切りの良くカットしています。

さて、エリー博士の専門である地球外知的生命体探査計画(SETI計画)は「アクティブ」と「パッシブ」の二種類に分けられます。「アクティブ」は太陽系外に無人探査機を飛ばすような研究計画、「パッシブ」は地球にデカいアンテナを設置し、地球外の知的生命体が発信する電波を受信しようとする研究計画を意味します。
天文学をはじめとする宇宙関係の研究には莫大なおカネがかかります。それでも各国が予算を投じるのは、宇宙開発と軍事が密接に結びついているからです。人工衛星があれば世界のどことでもリアルタイムで通信できるばかりか世界中を監視できるし、ロケット技術を極めれば世界のどこへでもミサイルを撃ち込めます。リターンが莫大であるからこそリスクという名の国家予算を投じられるのです。
一方で、SETIは短期的なリターンが期待できない研究です。「アクティブ」と「パッシブ」も、アメリカという超大国からみればオマケのような研究でしょう。

映画の第一幕では、エリー博士がプエルトリコのアレシボ天文台で宇宙人の発する電波を受信しようとする研究に従事している姿が描かれます。
当時のジョディは35歳、自身最大のヒット作となった『羊たちの沈黙』も6年前、いかに有名ハリウッド女優とはいえ、段々と仕事が減っていくお年頃です。ちょっと思い込みの激しいアラサー独身リケジョを演じるにはぴったりのタイミングだったといって良いでしょう。ここから映画の終わりまでの間では、少なくとも十数年が経過してるはずですが、ハリウッド流のマジックでエリーが老け込む姿はまったく描かれないのも「永遠の独身アラサー」のイメージを強くします。更には、この頃のジョディはまだレズビアンであることを発表していませんでした。

 

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