さわやか過ぎる秋晴れだった。
 ベランダに出ると、青空がいつの間にか高くなっていた。ふいにどこか気持ちの良い場所で秋の空気を吸いたくなり、仕事を中断して走り始めた。
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 海は台風の影響で荒れ始めていた。強い陽射しの下でサーファーが波と戯れていた。ここも悪くないけれど、この眩しさは今の気持ちとは少し違うような気がした。

 そう、時に風景はうまく言葉にできない気持ちを鏡のように映し出してくれる。僕は自分がこの秋風の中に、今の心に近い風景を探しに出てきたのだと気づいた。そして、記憶の中にあった「ある風景」を思い出すと、海に背を向け、山へ向かって走り始めた。