10年ほど前、農業の世界に初めて触れた時はあるエンターテインメント企業の方々と一緒だった。そこには農業そのものがビジネスになればという思いがあった。上場企業なのだから当然と言えば当然だ。けれど、命を育てるという営みの深淵とそこにある純粋な想いに触れれば触れるほど、個人的にはそれを金儲けにすることに対する違和感が募った(そもそも僕は「生きる為に必要な食うこと」に金がいるというシステムから自由になりたくて農の世界に足を踏み入れたのだ)。何より100円の人参を商品にするまでの手間と労力を身を以て体験すればするほど「農業で金を稼ぐ」なんて本業の傍らに生半可な気持ちでできるようなものじゃないことを思い知った。
「都市と農について考えた夜」
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