仕事から帰ってきて妻と夕食を食べていると急に訪れた警察に殺され、目が覚めると、同じ日の殺される直前からの12分が繰り返されている......。このループから脱出しなければ!
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まるで『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』やビル・マーレイの映画『恋はデジャ・ブ』のような設定のゲーム、それが『Twelve Minutes』です。
実際に遊んだ米Kotakuのスティーブン・トティーロさんの感想を読んでみましょう。
今年プレイした中で一番面白い未リリースの作品が、12分間の間の生死を描いたアドベンチャーゲーム『Twelve Minutes』です。
プレイヤーキャラは12分間を1LDKのアパートで過ごすことになります。12分経過後、あなたのキャラクターは目覚め、過去の12分間で何が起きたのかを覚えたまま、次の12分間を生き延びようとするという、ループの中で問題解決を目指すゲームです。
私はこういうタイプの作品が好きで、中でも気に入っているゲームは『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』。これもやはりタイムループの中でキャラクターを操作する作品です。
『ムジュラの仮面』では、72時間で月が空から落ちてくるため、その前に世界を救う必要があります。それぞれの72時間の中で重要な道具を見つけたり、カギとなるキャラクターから重要な情報を得たり、オカリナを演奏したりしながら、世界の終わりを繰り返します。何度も失敗を繰り返しながら、次第に回避する方法を学んでいくわけです。
『Twelve Minutes』では、プレイヤーはアーロンという男性を操作します。アーロンは妻と一緒に住んでおり、2人の住むアパートへアーロンが帰ってきたところからゲームはスタート。
2人で夕食をとり、その日の出来事を話すこともあるかもしれません。しかし5分後には警察が訪れ、アーロンの妻が殺人を犯したと言い、アーロンを気絶させます。
画面が明るくなると、アパートに帰ってきたところからゲームは再開。ループの度に、死なないように、物事がよりマシな方向へ向かうよう、プレイヤーは努力するのです。
『ムジュラの仮面』は冒険しまわるアクションアドベンチャーでしたが、本作は狭いアパートを舞台とした、選択肢がたくさんあるなぞなぞのような作品となっています。
画像はすべてプレイアブルビルドからの仮のビジュアルが用いられていますが、ゲームがリリースされるときにはもっといいグラフィックになるとのこと。現時点ではゲームデザインをよくすることが最優先だとか。
各部屋に手がかりがある
本作を制作しているは、ルイス・アントニオさん。彼はアーティストで、数年前からインディーゲームを作り始める以前は、RockstarやUbisoftで働いていたそうです。
アントニオさんは、ドミノ倒しのようにプレイヤーが選んだ決断から結果が導き出されるような作品を作りたいと考えていたとのこと。当初は家とその近所を舞台にした24時間ループの作品を考えていましたが、それは難しかったため、スケールダウンしてアパートを舞台にし、そのアパートも小さくすることにしました。とはいえ、寝室、バスルーム、LDKと、どこで12分間を過ごすにせよ、十分に複雑なゲームとなっています。
私はPAX Eastで30分ほどこの作品を遊びました。アドベンチャーゲームのように様々なオブジェクトをクリックし、それを他のものと組み合わせて使えないか? 何ができるのか? を試すような仕組みです。操作は直観的でフラストレーションもありません。これは現実の世界に存在するもの、例えばスマホや時計、ナイフなどの日常にありふれた、勝手知ったるアイテムが登場するからでしょう。
最初のプレイを始めたとき、私はコンロの上にスープがあることに気づきました。テーブルの上にスープを用意して食べ始めると、ゲーム内の妻が怒り、寝室へ本を読みに行ってしまいました。彼女を待たずに一人で食べ始めたからです。その後口論になりました。そうこうするうち警察が現れ、罪に問われ、ゲームオーバー。
後に、妻と一緒に夕食を食べると妻がプレゼントをくれることを知ります。妻の怒りの理由がわかったので、次のプレイでは一緒に食事をし、妻はプレゼントをくれ、妊娠していることを語ってくれました。これは重要な進展に感じましたが、実際はそうではなかったのかもしれません。
果たして一緒にディナーを食べないという決断で、彼女がベッドルームに走り去るのがいい決断でしょうか?
「決断によって生まれるアドバンテージが使えます。つまり、妻がベッドルームにいる状況を利用できるんです。でも、それは問題ともなりえます。例えば、彼女に協力してと頼んでも手伝ってくれなくなる、といったように」とアントニオさんは言います。
アントニオさんは自身の作品に関して、そして何がゲーム内で起きているのかに関しては、あまり語ってはくれませんでしたが、プレイヤーが操作するアーロンは、それまでのループの記憶を持っているということは強調しています。それがゲームの重要なカギのようです。
アーロンはこのループを認識している唯一のキャラクターで、プレイヤーはアーロンにとらせる行動を通じて、彼が学んだこと、そしてそのリアクションからゲームが進行しているという感覚を得られます。
例えば、最初のループ以降でないと、妻に同じ日をすでに経験したと伝えることができません。また、アーロンに何度も同じ行動をとらせると、より効率的に行えるようになっていきます。
どうすればこの状況を避けられるのか?
それとも避けずに死なない方法があるのか?
今年4月にアントニオさんは、Kinda Funny Gamesのメンバーに本作をプレイさせています。彼らのプレイ動画は以下。なお、一番右に座っているのがアントニオさんです。
ゲームのグラフィックはまだ完成からは程遠いそうですが、ゲーム自体はこの時点でも十分遊べるようになっています。
夕食を夫婦で食べて、妻が妊娠していることがわかり、警察が現れ、殺られて、ループがスタート。そこから前のループで得た知識を活用し、妻の妊娠を彼女に言われる前に知っていることを伝え、時間のループを彼女へ伝えようとします。しかし、それでも警察は現れてゲームオーバー。
私自身もどうやって警察に対処すればいいのかは見つけられませんでした。ナイフを用意して警察が来るのを待っていてもダメ。警察に縛られた後にナイフでロープを切っても、どのみち殺されます。
『Twelve Minutes』はコンパクトですが、プレイ時間が短いわけではありません。アントニオさんによると、一番最近のバージョンを最初から最後まで通してプレイしたところ、クリアに10時間かかったそうです。
「ゲームの中のすべて、何もかもが、そこにあるべき理由があって存在します。レイアウトからタイミング、オブジェクトの位置までです。時々重要ではないと感じたディテールを変更していますが(例えばカウチの場所とか)、自分でも気づかなかったような影響が芋づる式に出てくるんです」とアントニオさんは語っています。
このカーペットの柄は......
本筋には関係なさそうですが、チュートリアルに登場するロビーのカーペットの柄が、スタンリー・キューブリック監督の名作ホラー『シャイニング』のカーペットに似ています。キューブリック監督の「映画の中のすべての要素を使う」という方法が、アントニオさんのゲームデザインへのアプローチに影響を与えたそうです。
「彼の映画は、どうすればその表現媒体を最大限に使うことができるのか? をはっきり認識した最初の例です。例えば『シャイニング』では、撮影に至るまでにカラーパレットや空間レイアウトなど、彼が探求するテーマをもとに全てが展開していきます。私たちの表現媒体の持ちうるツールを理解することは非常に重要です。なぜなら、それらはあなたが伝えようとすることを後押しする要素にも、それと反する要素にもなりえます。アーティストとしての私はこういったことに慣れてはいますが、ゲームデザイナーとしての私には全く新たな挑戦です」とアントニオさん。しかし、カーペットは最終版からは取り除こうと考えているそうです。
アントニオさんは本作の制作に2年間を費やしていますが、製作時間は忙しいスケジュールをパズルのように調整して捻出しているとのこと。しかし、評判が良いこともあり、Steamでのリリースと後々にはコンソールやタブレットでもリリースを予定しているようです。完成までにはまだ1年かかると語っていますが......。
狭いアパートで何度も繰り返される12分間から逃げ出す、トップダウン式のアドベンチャー『Twelve Minutes』。リリースは2016年夏を目指し、まずはSteamを通じてPCとMacで、その後もしかしたらコンソール(PS4、Xbox、Vitaなど)やタブレットでのリリースもあるかもしれません。
面白いコンセプトなだけに早く遊んでみたいですね。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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