『スーパーマリオ64』で不可能を可能にする男、スコット・ブキャナンさんが新たな挑戦に成功しました。それは空中にクリボーを並べて階段のように配置し、浮遊するコインをゲットしに行く方法です。
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何を言っているのかサッパリわからないかもしれませんが、まずは動画をチェックしてみてください。
見かけたら踏み潰したくなってしまうクリボーが、このように有効活用できたとは......!?
ジャンプをせずにクリアする、「Aボタン・チャンレンジ」をするだけでもかなりの難易度だというのに、主にケツでクリア可能なだけでなく、こんなことまで出来るなんて、やっぱり『スーパーマリオ64』は奥が深いです。
今回のチャレンジに使われたのは、やまのうえのボムキングというステージ。マリオが物を持っていて手放した場所に座標が記録される「HOLP(Held Object's Last Place)」という法則を利用しています。
手順は大まかに、ニセのボム兵を抱えて山を登り、手放した場所に「HOLP」座標を記録。地上のクリボーをそれぞれ違った角度から投げていくと、少しズレた位置にクリボーが並べられていきます。そして、これを70回ほど繰り返すと架け橋が完成するのです。
ピンクの星印が座標を記録した場所
「グーンバ(クリボー)・クラスター」というフォーメーションで配置されるように調整
このゲームでマリオが持てる物体には、他の敵に押し出されると離れた場所にクローンを生み出すバグ(「トランスポート・クローニング」と言う)があるそうです。
これはゲームの記憶容量が持つスロット(次に画面上に何を出すのかを決める控え室)に空きが出ると、次に出される物が補充されるクセを利用したものだそうですが、爆発していなくなるボム兵を使うと、そのスロットをわざと空室にできるとのこと。
そこで、空いたスロットに何を持ってくるのかは、スロットが空いてからマリオが初めて近づいた物になる特性があるため、こうしてクリボーのクローンが無限に生成されるという仕組みなんですって。
ある程度、自分の意のままに空中に大量のクリボーを並べた様子を、ブキャナンさんは「クリボーの楽園」と呼んでいるそうですが、この動画では楽園を作るためのクリボー集めと架け橋を作るためのクリボー集めで、2種類のバグを利用した作業が必要だったというわけなのです。
努力の結晶がこの架け橋
でも、なんでわざわざこんな面倒なことをするのでしょうか?
それは「Aボタン・チャンレンジ」で空中のコインを大量に、しかも1度のアクションでゲットするにはこの方法が最も効率的かつユニークで面白いという結論に達したからと考えられます。
ちなみに、2013年にはAボタンを1回だけ使わないとクリア出来なかったというこのステージ、今回の発見によってゼロ回で済むようになったのも大きな進歩です。
このプレイにはTAS(ツール・アシスト・スピードラン)を使っていますが、クリボー全てを設置してクリアするまで55時間かかっているというから、驚きます。しかし、そんなのはまだ序の口。このクリア方法を編み出すまでには2年間を要したのだというから、さらにビックリです。
いずれにしても気の遠くなるような作業なわけですが、ブキャナンさんが試行錯誤した様子はこれらの資料からもわかります。
エクセルで表にまとめる(※クリックで拡大)
自力でも方程式を駆使して計算(※クリックで拡大)
もう随分と古いゲームだというに、尽きること無く編み出されるチャレンジの数々。それだけ優れた作品で、いつまで経っても人々のハートをガッチリ掴んで離さない『スーパーマリオ64』はホントに名作中の名作ですね。
ブキャナンさんによる、次のウルトラ・プレイを楽しみにしておきましょう!
19 Years Later, Super Mario 64 Player Finds New Way To Use Goombas[Kotaku]
(岡本玄介)
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