それまで順調にキャリアを伸ばしていたのに、ある映画をきっかけにパッタリと銀幕から姿を消してしまう、もしくは端役でしか出てこなくなってしまった、元ビッグスターというのはいるものです。
【大きな画像や動画はこちら】
ミスキャストだったのか、畑違いの映画で才能を発揮できなかったことで「つぶしが利かない」と判断されてしまったからなのか、どんな理由にせよ、見る人を圧倒させる眩いばかりのオーラを持つスターが、その類稀なる才能を発揮する場に恵まれずに小さくなっているという事実は、ファンにとっては非常に悲しいことです。
hypableが、そんな元ビッグハリウッドスターと彼らのキャリアを潰した映画10本をまとめていたので、ご紹介します。
■エディ・マーフィー
原因と思われる作品:『シュレック』以降の全出演作、中でも特に『プルート・ナッシュ』(2002年)
エディ・マーフィーといえば、80年代から90年代にかけての大物コメディスター。彼の出演作はヒット間違い無しでした。コメディ映画はもちろんのこと、シリアスなサスペンス映画でも抜群のセンスでヒットに結びつけていた、所謂「ドル箱スター」です。『ナッティ・プロフェッサー』のエディ・マーフィーひとり7役を見れば、彼がどれほど観客に愛されていたのかがわかるでしょう。
しかし、そんな大スターのエディ・マーフィーはその輝きを失ってしまいました。その原因は恐らく『プルート・ナッシュ』。月面都市でクラブを経営する元惑星間運び屋(つまりハン・ソロ的な仕事)のエディ・マーフィーが店の売却問題に巻き込まれてあら大変というストーリーですが、興行収入は全く振るわず、ハリウッド・リポーター誌が「この10年で最大の失敗作」と書くほどでした。
彼は2012年に『ジャックはしゃべれま1,000』という映画に出演していますが、内容は彼の才能を無視した「おしゃべり男を喋らせないようにする」というもの。エディ・マーフィーから喋りをとるなんて!
■ジーナ・デイビス
原因と思われる作品:『カットスロート・アイランド』(1995年)
人間マネキンを務めるほどの抜群のスタイルとユーモアを兼ね備えたジーナ・デイビス。守られる女性というより、知的で頼もしく、一緒に戦うタイプの女性で、実話を元にした殺人ロードムービーの『テルマ・アンド・ルイーズ』では、旦那の束縛を振り切って女友達と一泊二日の旅に出たところ、文字通りとんでもないエンディングを迎えることになったレイプ未遂被害者を熱演。ジーナ・デイビスは90年代始めの最もホットな女優の一人でした。
しかし、彼女のキャリアは95年の『カットスロート・アイランド』でほぼ死んでしまいました。何が悲しいって、この失敗作を当時デイビスの夫だったレニー・ハーリンが監督していること。
何者かに殺されてしまった巨大帆船の船長だった父から託された宝の地図を元に、娘役のデイビスが宝探しの冒険に出るという内容で、デイビスはその類稀なるスタイルと備わった身体能力を駆使して、体当たりのアクションを見せました。しかし、興行成績はボロボロという結果に...。
本作はギネスに「最も興行赤字が大きい映画」とされ、ハーリン監督はラズベリー賞の最低監督賞にノミネートされています。
■ケビン・コスナー
原因と思われる作品:『ウォーターワールド』(1995年)
ユニバーサルスタジオでは人気のアトラクションのひとつである『ウォーターワールド』。しかし、本作はケビン・コスナーの華々しいキャリア(IMDBを見るとそのキャリアの凄さに圧倒させられます)を殺した作品と考えられます。
ケビン・コスナーは最も有名なハリウッドスターのひとりですが、今や(『フィールド・オブ・ドリームス』の成功からか)似たテイストの映画にばかり出演している状況です。
■マイク・マイヤーズ
原因と思われる作品:『愛の伝道師 ラブ・グル』(2008年)
『オースティン・パワーズ』シリーズで一躍有名になったマイク・マイヤーズ。『シュレック』シリーズのシュレックの声を担当しているので、子供にも馴染み深い俳優です。そんなカナダ出身のコメディアンを失速...だけでなく事実上の引退に追い込んだのが『愛の伝道師 ラブ・グル』。
インドでスピリチュアル修行をし、アメリカに戻ってきた下品なアメリカ人男性が巻き起こす下ネタ満載な映画ですが、本作はラズベリー賞で最低作品賞、最低男優賞、最低脚本賞を受賞。ニューヨーク・ポストの「2008年のワースト映画」第1位に選ばれています。
■ブランドン・ラウス
原因と思われる作品:『スーパーマン リターンズ』(2006年)
『スーパーマン リターンズ』でクラーク・ケント役に大抜擢され、スターとなったブランドン・ラウス。本作は興行成績的にも批評家の反応的にもそこそこだったにも関わらず、続編の製作はキャンセル、一部のファンやマニアから酷評されました。特に、(彼の演技はそこまで悪くなかったにも関わらず)ラウスに対するバッシングは凄まじく、彼のキャリアはその後伸びていません。
■ハル・ベリー
原因と思われる作品:『キャットウーマン』(2004年)
ハル・ベリーはハリウッドの中でも非常に才能ある女優の一人です。しかし、他のハリウッドスターがそうであるように、彼女もヒーロー物の映画に出演し、キャリアに傷がつきました。
ベリーは『キャットウーマン』で、ラズベリー賞主演女優賞を受賞。今では文字通り表舞台から消えた状態。2013年には『ザ・コール 緊急通報指令室』で主役を張っていますが、『キャットウーマン』以前の艶は見られません。
最近の目立った活躍といえば、『X-MEN: フューチャー&パスト』で、出演時間は5分程度。あの適度に筋肉がついた迫力の肉体美と、関連性のないシーンでのオッパイぽろんの度胸で、再び観客を圧倒させる日が来てくれると良いのですが...。
■テレンス・ハワード
原因と思われる作品:『アイアンマン』(2008年)
2008年当時、テレンス・ハワードはノリノリでした。彼は『アイアンマン』でロバート・ダウニー・Jrやグネス・パルトローよりも高額のギャラを貰っていたのです。しかし、『アイアンマン2』で大幅なギャラカットを伝えられたハワードサイドは、製作側と揉めて降板。それ以降、目立った活動はありません。
一方、テレンス・ハワードが演じていたローズ役を引き継いだドン・チードルは、その後も順調にキャリアを伸ばし、『アイアンマン』シリーズだけでなく、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』にも出演。
ハワードはテレビショーの『Empire』に出ていますが、ドル箱映画とテレビシリーズを比較すると......(テレビの方がお金になるとは言いますが)。これは、作品が原因というよりは、彼の当時置かれていた状況が原因と言えるかもしれません。
■クリス・オドネル
原因と思われる作品:『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997年)
クリス・オドネルは地道に、堅実に活動してきた良き俳優でした。そんな彼のビッグチャンスであり、(悪い意味での)転機ともなったのが『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』。本作が公開された1997年以降、オドネルは大作に出ることがなくなり、小規模映画やテレビシリーズの『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』、『NCIS』シリーズに端役で登場する程度です。
ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞にノミネートされたり、シカゴ映画批評家協会の新人賞を受賞したりといった、素晴らしい演技力とスター性を活かす役に当たることを願わずにいられません。
■ヘイデン・クリステンセン
原因と思われる作品:『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005年)
『スター・ウォーズ』はキャリア殺しの映画と言えます。マーク・ハミルしかり、キャリー・フィッシャーしかり、ジェイク・ロイドしかり...。キャスティングされた人は、俳優人生と引き換えにこのビッグタイトル出演歴を得ることもあるのです。
ヘイデン・クリステンセンは『スター・ウォーズ』新3部作でアナキン・スカイウォーカー役を務めました。彼は『2』でゴールデンラズベリー賞の最低助演男優賞を受賞しただけでなく、最低スクリーンカップル賞にもノミネート。また、『3』でもラジー賞の最低助演男優賞を受賞しています(2連覇!)。
クリステンセン本人も俳優業を続ける気力がなくなったことでしょう。それ以降は大作にも恵まれず、2007年の『アウェイク』でも最低スクリーンカップル賞にノミネート。現在も細々と活動は続けてはいるものの、起死回生は...どうなのでしょうか。
■キューバ・グッディング・ジュニア
原因と思われる作品: 『バナナ★トリップ』(2002年)
「ショー・ミー・ザ・マネー!」の『ザ・エージェント』でアカデミー助演男優賞を受賞したキューバ・グッディング・ジュニアをダメにしたのは、2002年公開の『バナナ★トリップ』(日本未公開)。
本作は、ゲイカップル専用の船旅にひょんなことから紛れ込んでしまったストレートの男性2人が巻き起こすどたばたコメディで、主演はキューバ・グッディング・ジュニアとロジャー・ムーア!(この映画はムーアにとっても黒歴史かもしれません)
キューバ・グッディング・ジュニアは本作で大失敗して以来、細々と俳優活動はしているものの、目立った配役には恵まれていません。アカデミー賞を受賞したこともある演技力があるので、残念です......。
© Hypable 2014
[via hypable]
The Adventures of Pluto Nash - Trailer[YouTube]
Cutthroat Island (1995) Trailer (Geena Davis, Matthew Modine, Frank Langella)[YouTube]
Waterworld Original Film Trailer[YouTube]
The Love Guru - Trailer[YouTube]
Superman Returns (2006) Official Teaser - Superhero Movie HD[YouTube]
Catwoman (2004) Official Trailer - Halle Berry, Sharon Stone Movie HD[YouTube]
Iron Man - Trailer [HD][YouTube]
Batman & Robin (1997) - Movie Trailer[YouTube]
Star Wars Episode III: Revenge of the Sith - Trailer[YouTube]
Boat Trip (2003) - Movie Trailer[YouTube]
(中川真知子)
関連記事