シド・ヴィシャスにジャニス・ジョプリン、カート・コバーン、ボン・スコットにダイムバッグ・ダレル、以前葬儀の様子をご紹介したオーデラス・ウランガスなど、若くして伝説を作りながらも、早く散ってしまった有名ミュージシャンの多いこと!
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死因は事故や自殺、薬物の過剰摂取や時には他殺もありますが...やはり激しい音楽ほど、激しい人生を送り早く亡くなってしまうものなのでしょうか?
今回は「io9」が掲載していた、音楽ジャンル別のミュージシャンたちの平均寿命をグラフにしたものを見ながら、その辺りを考察してみたいと思います。
まずはこちらのグラフをご覧ください。
ジャンル別の平均寿命(※クリックで拡大)
左から右へ、誕生が古い順にジャンルが並んでいます。
グラフ内の細くて黄色い線はアメリカ合衆国の女性の平均寿命で、細くて青い線は同じ条件の男性のもの。そして、黄色い太線がアメリカ合衆国の女性ミュージシャンの、最後に青い太線が男性ミュージシャンのものです。
ジャンルの生まれた年代の真上の細い線をみれば、同時代の平均寿命が縦軸でわかるようにもなっています。つまりジャズ誕生の時代は、アメリカ女性は平均60歳まで生き、ラップ誕生の時代だと平均70代後半まで生きているということです。
これを見てみると、例えば歴史が古いブルース、ちょっと飛んでジャズとワールド・ミュージックの世界で演奏をしている女性たちは長生きしていることがわかりますが、ロックから右へ行くとラップとヒップホップでガクンと下がってしまい、20代から30代で亡くなっている方が多いです。
昔からジャニス、カート、ジム・モリソン、ジミヘン、エイミー・ワインハウス他大勢の享年が27歳ということもあり、アメリカでは「27クラブ」と呼ばれる都市伝説まで存在します。
ちなみに、ジャズ時代にはビバップ、ディキシーランド・ジャズも含まれ、カントリー時代にはウエスタンやブギ・ウギ、ホンキー・トンクとブルーグラスも、ゴスペル時代にはスピリチュアルとクリスチャン・ロックが同じ時代としてカウントされており、この時代のミュージシャンたちは当時の平均寿命よりも長生きしていました。
リズム・アンド・ブルース時代ではドゥー・ワップとソウルが、ポップとフォーク時代にはバラードとポルカも含まれますが、この辺りから平均寿命を下回っていきます。
ロック時代はロカビリーが含まれ、エレクトリック時代にはエクスペリメンタル、テクノ、ディスコ、ファンクが。そしてこのあたりから、平均寿命からして有り得ないほど早死にが増えます。非常に興味深いと当時に、とても不思議な相関性です。
では次に、ジャンル別に5種類の死因に分類された一覧表を見てみましょう。
ラップ/ヒップホップの死因の半分は他殺(※クリックで拡大)
ここでは事故、自殺、他殺、心臓関係、癌という死因に分けられており、赤字が平均より極めて高い数字、青字が平均より少し高い、緑字は平均より極めて低いパーセンテージを意味します。
乗り物の交通事故や突発的な薬物の過剰摂取も事故に含まれますが、ブルースの一行上の平均値を見ると、19.5%となっています。ここではロックとパンク、メタルの・ミュージシャンが多いです。
たとえば、メタリカのクリフ・バートンやオーデラス・ウランガスはここに数えられるかと思います。少し脱線しますが、デフ・レパードのドラマー、リック・アレンは交通事故に遭っても生き長らえ、左腕を失うも見事に復帰したという例があります。
自殺は全体で6.8%と低めですが、パンクと再びメタル(特にノルウェーのブラック・メタル・バンド、メイヘムの『Dawn of the Black Hearts』のジャケ写が衝撃的、検索しないほうがいいかもしれません)が高い数字となっています。逆にゴスペルは0.9%と、やはり神への信仰心が生きる糧となっているのだろうか? なんて想像もさせます。
他殺の欄では、全体平均6%の中でもジャズとカントリーは平和的なのですが、ラップとヒップホップがどちらも51%超えと、全ての中でも突出した数字となっています。ギャング文化にはドラッグとの複雑な関係があり、これが殺人などの犯罪に繋がる背景があるようです。25歳で射殺された2パックも、24歳で暗殺されたノトーリアス・B.I.G.も、アメリカ東西海岸ヒップホップ抗争の犠牲者と言われています。
若くして命を落とすことが多いヒップホップのミュージシャンですが、だからこそ心臓関係と癌による死因が著しく低いです。反対に、お年寄りの多いブルースは心筋梗塞や心臓麻痺が多いのかもしれません。
最後に、癌による死因はジャズとフォークが高いです。発症した部位が何処の癌かは判りませんが、長年の喫煙が原因でしょうか?
音楽性とミュージシャンたちの持つ気質、そして亡くなってしまった場合の死因はイメージ通りという印象を受けます。一般的に有名になったミュージシャンたちは、派手で不規則な生活や常に長距離を移動する全国ツアーからの披露、そしてレーベルやファンたちとの間に生じる重いプレッシャー、さらにそこから逃げ出すためのドラッグや酒などなど、いかにも寿命が短くなりそうな要因がたくさん着いて回ることになります。
ついでに言うと、若くして亡くなったミュージシャンたちは、子供の頃からの体験も早死と因果があるという研究もあるようです。
現時点で、寿命が無名の一般人の平均寿命の半分やそれ以下という結果の出ている有名ミュージシャンたち。まだ死なずに現役で頑張っている人たちも星の数ほどいますが、彼らが60歳や70歳になった頃に、さらに新しいジャンルで活動する若いミュージシャンたちの寿命がどうなっているのか、ちょっと心配ですね。
Image Credit: Surian Soosay via flickr
[Via The Conversation via io9]
メイヘム[Wikipedia]
(岡本玄介)
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