名付けるなら、幽霊音?
今やMP3は、生活になくてはならないファイル形式。しかし、MP3へ音楽を圧縮すると、サイズはオリジナルの1/10になります。多くの情報が「重要でない」と判断され、削られるわけです。
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皆さんは、そのことをどの程度意識して音楽を聞いていますか?
そこで今回は、io9が取り上げた「MP3の圧縮時に失われしまう音」の動画をご紹介します。
この動画『moDernist』はバージニア大学の音楽施設で作曲とコンピューターテクノロジーを学ぶ院生のライアン・マグアイアさんが作ったもの。彼のウェブサイト「The Ghost in the MP3」では、以下のように説明されています。
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「moDernisT」は、MP3のエンコーディング・アルゴリズムを開発するときに使われるテスト曲の一つとして有名なスザンヌ・ベガの『Tom's Diner』を圧縮した時に削られた音を拾って作られています。
ここに、曲そのままの形をしたものが含まれているのがわかります。しかし、これらは削られたものなのです。同様のことが、MP4の動画圧縮をする際にも起こります。
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マグアイアさんは低いビットレートを使ったほうが、よりオリジナルのサウンドが得られるということで、動画では320kbpsビットレートを採用したそうです。
一般的に、圧縮されていないデジタルオーディオの4分の曲は約40MBで、ビットレート(1秒あたりのビット数)1411.2kbpsで変換されます。MP3圧縮後はオリジナルの1/10になるので、ほとんどの4MBサイズのオーディオファイルがMP3だと、ビットレートは128~320kpbsの間になります。
MP3ファイルは、圧縮前のデータと圧縮や展開された後のデータが完全に一致することはない「非可逆圧縮」です。つまり、ある程度のデータが失われるため、オリジナルよりも劣ります。「知覚符号化」と言われる、私たちの聴覚の範囲を超えると考えられた特定の音の正確さが削られるのです。
例えば、人が聞こえる範囲は大体20~20000Hz(CDで再生可能な周波数は22050Hz)。聴覚の範囲を超えたものだけが排除されるのであれば、ほとんど認識できないはずです。しかし、マグアイアさんのプロジェクトを見ると、人が聞き取ることのできる知覚材料も失われているのがはっきりと分かります。
[Via Death and Taxes via io9]
(中川真知子)
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