クエンティン・タランティーノ監督の傑作『パルプ・フィクション』に関する豆知識7選をまとめた動画が公開されています。
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こちらは様々な映画関連動画をアップしている、Cinefixによるもの。サミュエル・L・ジャクソンの髪型のモデルや『パルプ・フィクション』とスタンリー・トゥッチの意外な接点などを知ることが出来ます。
視点の違いを表現
1. 冒頭に登場するハニー・バニーとパンプキンのダイナー強盗シーン。プロダクション開始初日に撮影された本シーンでは、ハニー・バニーの座席の後ろにはTシャツのビンセント・ベガがトイレに向かって歩いていく姿が映されています。
また、このシーンは冒頭とラストの両方に出てきますが、実はハニー・バニーのセリフが少しだけ異なっているのです。
冒頭のシーンでは、「Any of you fucking pricks move, and I'll execute every motherfucking last one of ya! 」となっていて、ラストのシーンでは「Any of you fucking pricks move, and I'll execute every one of you motherfuckers!」となっています。
この小さな違いは、冒頭のものはハニー・バニーとパンプキン視点、ラストのものはジュールスの視点なので、差異を作っているようです。
演技のためならタバスコだって飲む
2. クリストファ・ウォーケン演じるクーンツ大尉が少年に時計を渡すシーンは、ウォーケンが他の映画の撮影で忙しかったため、最終日に撮影されました。
多忙だった彼はタランティーノ監督とリハーサルをする機会もほとんど持てない状態で撮影に挑むこととなったのですが、そこはプロの俳優。しっかりと役作りをしてきていました。
また、彼の準備は役になりきるだけではありませんでした。彼は長ゼリフの前にタバスコソースを飲んだのです。
プロデューサーのローレンス・ベンダーは、2年間も肛門に時計を隠し持っていたクーンツ大尉の苦痛を表そうとして飲んだのかと思ったそうですが、実際は、長ゼリフで口腔内が乾いてしまうのを防ぐため、唾を出すために飲んだのだとか。VanityFairによると、これはハリウッドに古くから伝わる方法なんだそうです。
アフロとジェリーカールの厳密な違いって...?
3. ジュールスの髪型は元々大きなアフロになる予定でした。ところが指定されたウィッグを購入にいったプロダクションアシスタントは、アフロとジェリーカール(縮れ毛を伸ばした髪型)の違いが分からなかったそうです。その上、ウィッグストアは広く、品揃えが豊富でした。
その結果、彼は間違えてジェリーカールのウィッグを購入して戻ってきたのです。タランティーノは返品するつもりでいたのですが、サミュエル・L・ジャクソンが「アイス・キューブもイージー・Eもジェリーカールだ(当時)」と言い、実際にこのウィッグがしっくりきたため、ジュールスの髪型は作品の中で見られるものになったとのこと。
直接的な共演はなくとも2人は兄弟
4. タランティーノ映画には裏設定や隠しメッセージが多く登場します。『パルプ・フィクション』の裏設定は、ビンセント・ベガが『レザボア・ドッグス』で耳切ダンスを披露したヴィック(Mr.ブロンド)と兄弟であるというもの。
タランティーノ監督は、元々ビンセント・ベガの役をマイケル・マドセンに演じてもらう予定で脚本を執筆していたのですが、完成する2週間前にマドセンが『ワイアット・アープ』に出演することになり、撮影スケジュールの調整が難しいこともあり、実現しませんでした。
結果的にジョン・トラボルタを起用することに決定し、彼のためにビンセント・ベガの役をヴィックの兄弟という設定で書き換えたのだそうです。
なお、タランティーノはこの兄弟を主役とした『Vega Brothers』という映画(劇中で 2人とも死んでしまっているので『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』より前の時代設定)を計画していたそうですが、時が過ぎ、 2人とも年を取ってしまったので、今後実現することはないかもしれません。
2007年の/Filmに掲載されたタランティーノ監督のインタビューによると、舞台はアムステルダムで、マーセルス・ウォレスの経営するバーの一つをビンセントが切り盛りしており、そこにヴィックが訪ねてくるという話を考えていたとのこと。
また、彼らの苗字であるベガは、タランティーノ監督のお気に入りの歌手の一人であるスザンヌ・ベガからきているのだそうです。このスザンヌ・ベガとビンセントのつながりは、マーセルス・ウォレスの妻であるミアの「スザンヌ・ベガは従姉妹にあたる」というセリフからもわかります。
keying:鍵で車を傷つけること(タランティーノが作った新しいkeyの動詞の意味)
5. ビンセントの車を鍵で傷つけた「dickless piece of sXXt」の正体は、ブッチ。彼が実際にやったシーンは登場しませんが、ビンセントがバーでブッチをコケにした腹いせに、彼がやったことになっているようです。
実はこの車は撮影の最中に盗難被害にあっている
6. 過剰摂取でぶっ飛んでしまったミアをヤブ医者のところに連れてきたビンセント、が車(タランティーノ監督の個人所有車)で突っ込むシーン。
これは、最初に通り過ぎた車を撮影し、実際に追突させるところは見せず、音だけで表現し、次にあらかじめ突っ込んだように置いてあった車を映すことで再現するという古典的な方法を使っています。
意外な接点
7. マーセルス・ウォレスを演じたヴィング・レイムスの本名は、アーヴィン・レイムス。愛称のヴィングはニューヨーク州立大学パーチェス校でルームメイトだった、スタンリー・トゥーチ(『プラダを着た悪魔』のナイジェル役で有名)に付けられたものです。
いかがでしたか?
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[via Sploid]
(中川真知子)
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