人気作であればあるほど、気になって夜も眠れない疑問を抱えるのが人の性。
シリーズ化により何作も続くような人気映画やゲームは、それだけストーリーが秀逸で深いものとなっており、観客およびプレイヤーを飽きさせない作りとなっています。
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ですが長く続けば続くほど、善悪共にキャラクター同士の関係性や物語の歴史などが絡まってきたり、はたまた様々な謎を残すような終わり方をしてしまうともう、ファンとしては様々な妄想や憶測を考えずにはいられなくなってしまいます。
今回は「io9」が7つにまとめた、熱烈なファンたちによる仮説や噂をご紹介したいと思います。『ターミネーター』や『ザ・ロード・オブ・ザ・リング』に『マスエフェクト』、そしてスタン・リー氏の分身キャラやピクサー映画全般にまで、世界中で飛び交う推測がどういうものなのか...ぜひとも読んでみてください。
■全ピクサー映画の世界と時間が繋がっている説
他にもピクサー映画には「A113」の謎というのもある
ジョン・ネグローニさんという方が、「なぜ全てのピクサー映画は世界の終末を秘密裏に描いているのか」という興味深い動画を観てから、「全部のピクサー映画の出来事は、ひとつの世界の中で起こっているんじゃないのだろうか?」と考えるようになったそうです。
以降その仮説を検証すべく『ザ・ピクサー・セオリー』なるブログエントリーを設けるに至りました。
これは制作者たちによる偶然なのか故意なのか? 物語はバラバラに作られているけれど、全タイトルは繋がっているとおっしゃるのです。
この世界観で今のところ起源となるのは『メリダとおそろしの森』。千年前のスコットランドですが、そこから現代劇の『トイ・ストーリー』や『カールじいさんの空飛ぶ家』などときて、『カーズ』から最後は人類が地球を捨ててしまった遠い未来の話『ウォーリー』へと続きます。
ネグローニさんいわく、ピクサーの映画では人間と機械と動物による三すくみの関係(加えてエネルギー問題も絡む)が描かれているとおっしゃいます。
動物の棲家を人間が破壊し、人間が造った機械は人間を駆逐するのではなくコントロールしようとするのです。ですが『カーズ』や『ウォーリー』のように、機械は人間の動作や習慣を真似し、かつて彼らが共存していた頃の記憶を保っています。
そして『ウォーリー』は動物であるゴキブリと仲良くなり、最後には大きく育った樹木が『バグズ・ライフ』へと続くのです。
人間があまり描かれない『バグズ・ライフ』の世界は、そのまま怪物たちの棲む『モンスターズ・インク』の世界へと続き、怪物たち(過去の環境汚染によってミュータント化した動物?)の世界と人間の世界を往来できるようになったブーが、時空を操る術を学び、後に『メリダとおそろしの森』の魔女になるのです。
この魔女の扉が色んな場所に通じるのは、ブーが再びサリーと逢いたいがために起こる現象だとしています。
こうして世界は各作品を飛び石のようにして、グルグルと過去が現代へ、現代が未来へ、その未来は次の世代に移った時点で過去のものになってしまう、無限ループが起こっているのだそうです。下の動画でその内容をどうぞ。
なるほど、ピクサー映画に登場する動物たちが人間のような性格として描かれ、無機的な物にも命が宿るのは、メリダが出会った扉を抜けるたびに消える魔法使いによる仕業であり、『レミーのおいしいレストラン』レミーなど人間の言語を話す動物はその子孫だとしています。
そして『カールじいさんの空飛ぶ家』のチャールズ・F・マンツが、レミーを目撃したスキナーからの話に着想を得て動物を操る技術を開発し、同作品のBNL社がその技術を継承、世界を牛耳るまでに成長したBNL社のおかげで、『ウォーリー』にて人類は地球を捨てなくてはならなくなりました。
カールじいさんの家の周りを開発していたのもBNL社ではないかと考えられます。(ちなみにバズ・ライトイヤーの電池ですらBNL社製)
『ミスター・インクレディブル』の敵・シンドロームが造ったロボットは、人工知能が人間を邪魔な存在だとして製作者に反抗します。(青いビームのゼロ・ポイント・エネルギーが『トイ・ストーリー』の玩具の原動力説もあるそうです)
なぜ機械が人間を敵視するのかは、『トイ・ストーリー』でオモチャたちが受けて来た酷い扱いに起因します。さらに次の世代では技術の発展に伴い地球の汚染が進行することとなったので、『カーズ』の世界では人間も動物もでてきません。
人間たちは地球を『カーズ』たちに任せ、母なる星を捨てて宇宙へ出るのが『ウォーリー』。『ミスター・インクレディブル』などのヒーローたちは、反逆した機械たちがBNL社を利用し駆逐してしまいます。
しかし『トイ・ストーリー』でもお解りの通り、機械たちは人間がいないと活動を維持できません。これは『カーズ2』でも燃料の問題が出てきたこととも関係します。
『ウォーリー』では人間たちが生かされず殺されず、まるでオモチャを扱うかのように利用しています。それはオモチャたちが扱われてきた方法しか、他者を扱う方法を知らないからです。
『ウォーリー』のラストで育った大木がそのまま『バグズ・ライフ』に登場。人類がおらず、廃棄物だらけでも生き長らえた昆虫が地球に溢れています。『バグズ・ライフ』に人間は登場せずとも、機械たちは登場します。そして人類はいませんが、その遺物は残っているのです。
『メリダ』時代で知能や人格を持った昆虫や動物は、時を経て放射能汚染と共にモンスターへとミュータント化。
『モンスターズ・インク』の世界では、彼らがタイムマシーンを開発し過去の人類が生み出したエネルギー(驚きや叫び声)を蓄電して暮らしています。
物語の最後でランドールが飛ばされたトレイラー・ハウスは、過去である『バグズ・ライフ』にも登場することから、時間軸の繋がりは明らかです。
サリーやマイクのいる未来の世界を知ったブーは、扉がタイムマシーンを繋ぐものだと学習します。なので老婆となったブーは、『メリダとおそろしの森』で扉の魔法を使う魔女になっているのです。
ちなみに劇中には、この老婆が描いたサリーの絵が木版に刻まれている描写も出てきます。
魔女が描いた古い友だちサリーの姿
■『ターミネーター』:スカイネットは人類を全滅させたくない説
暇を持て余したスカイネットの遊び
サイバーダイン社が開発した戦略防衛コンピューター・システムのスカイネットですが、自我に目覚めて人間に向かって核ミサイルを落としたのにもかかわらず、人類には生き残っていて欲しいというのが本音なのではないか? という噂が囁かれているそうです。
1997年の未来では、スカイネットが全世界規模の核戦争を誘発し、人間同士が殺し合いの中で絶滅しそうになります。ですが、ジョン・コナーという救世主が現れたお陰で、スカイネットの計画は邪魔されてしまうのです。
1作目でサラ・コナー暗殺に失敗したスカイネットは、2作目で子供時代のジョンを抹殺するために新たな刺客を送り...となるのですが、そもそもどうしてスカイネットは、最初の一発目で全人類を滅ぼそうとしなかったのでしょうか?
そうすれば、T-800などの殺戮ロボットをタイムトラベルさせる必要など出て来なかったでしょうにねぇ。
つまりそれこそが、スカイネットには人類に(ある程度)生き残って反乱して欲しかったからではないか? と思われる理由なのです。
機械だって全てを統治してしまえば退屈になってしまうかもしれませんよね。自我を持っただけに、スカイネットにも「人間を滅ぼす」という生き甲斐と暇潰しでもなければ、ただサビついて朽ち果ててしまうだけになってしまうのです。
■『バットマン・フォーエヴァー』と『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』はティム・バートン監督の心の中で生きている説
続編が作れず悔しい想いをしているのかも?
1995年と1997年に公開された、映画『バットマン・フォーエヴァー』と『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』ですが、監督はジョエル・シュマッカー氏が担当されています。
その前の2作は、1989年の『バットマン』、1992年の『バットマン リターンズ』がありましたが、これらはティム・バートン監督によるものでした。
これらの4作は連続して作られたのですが、1・2と3・4作目はなんとなく続編っぽいような、でもテイストがまるっきり違うわ、主演男優がまた3・4で違うわで続編っぽくもないような、なんとも言えないシリーズでしたよね。
この説では、本来であれば監督を降ろされずに、3・4作目も引き続きティム・バートン氏が監督するべきものだったと、彼自信が思っているんじゃないか? という憶測に基づくものなのです。
いろんな大人の事情があったでしょうけれども、バートン監督は乗りかかった船ですし、自分が手掛けたシリーズとして最後までやり遂げたかったんじゃないのかぁと思うわけです。
マイケル・キートンさんが演じたブルース・ウェインは、ジョージ・クルーニーさんとヴァル・キルマーさんに取って代わられてしまい。
ビリー・ディー・ウィリアムズさんが演じたハーヴェイ・デントは、トミー・リー・ジョーンズさんによるド派手なトゥー・フェイスとなってしまいました。
これら一貫性のないシリーズ化は、ただオモチャやグッズといった関連商品を売りたかっただけなのか、それともクレジットカードを売りたかっただけなのか?
有効期限はフォーエヴァー
■マーベル映画のスタン・リーが超種族ウアトゥかもしれない説
スタン・リー氏が、私たちが親しんでいるアメコミのヒーローたちの原作者なのは周知のことと思います。
では、2000年公開の『X-Men』以降ほぼ毎年のように、マーベル・コミックスのハリウッド映画化された作品には、必ず劇中のどこかにカメオ出演をされているのことはご存知でしょうか?
ほとんどのファンであればもうそれを心得ており、映画版のちょっとしたお楽しみ的な存在として、氏がチョロっとだけ出演されるのを待ち望んでいることと思います。
動画のおさらい+最新情報の追加ですが、リー氏がどの映画に出られたのか、リストにしてみましょう。
2000年:『X-Men』
2002年:『スパイダーマン』
2003年:『デアデビル』
2003年:『ハルク』
2004年:『スパイダーマン2』
2005年:『ファンタスティック・フォー』
2006年:『X-MEN: ファイナル ディシジョン』
2007年:『スパイダーマン3』
2007年:『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』
2008年:『アイアンマン』
2008年:『インクレディブル・ハルク』
2010年:『アイアンマン2』
2011年:『マイティ・ソー』
2011年:『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
2012年:『アベンジャーズ』
2012年:『アメイジング・スパイダーマン』
2013年:『アイアンマン3』
2013年:『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
2014年:『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
2014年:『アメイジング・スパイダーマン2』
今現在だけで、こんなにもたくさんの映画に出られているわけですが...これがアメコミ・ファンたちの間では、この原作者スタン・リー氏は「ザ・ウォッチャー」としても知られるウアトゥというキャラクターの役割を担っているのではないか? という説が飛び交っているのだそうです。
このウアトゥはヒーローとは違い、宇宙の歴史を観測・記録する超種族ウォッチャーの一員で、地球と太陽系の観察を任されています。住んでいるのは月面で、決して地球上の出来事に手出しも干渉もしてはいけないことになっています。
コミック・ブックの世界でも、『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』、『ハルク』に『アベンジャーズ』などあらゆるストーリーに出てくるその様子は、まさしく映画の中のスタン・リー氏そのもの。
しかしこの仮説には反論も出ているそうです。確かにウアトゥのように観察や記録をしている描写もなければ、『マイティー・ソー』では、地面にブっ刺さったムジョルニアを引き抜こうとシッカリ「干渉」していますよね。
その風貌が似ていることから、ラリー・キング氏やヒュー・ヘフナー氏のように扱われるシーンもあれば、自分で自分を「オレはスタン・リーだ」と言っても信じてもらえずあしらわれてしまうシーンすら出てきます。ウアトゥ説は夢が有りますが...やはりスタン・リー氏はスタン・リー氏そのままって感じがしますね。
■『ザ・ロード・オブ・ザ・リングス』:ガンダルフの鷲でひとっ飛びすれば解決が速い説
速いから良いというものでもなさそう
史上最大最強の鳥の王にして、エルフとガンダルフの友であるグワイヒア。この鷲は原作『指輪物語』でも映画版でも、何度かガンダルフを背中に乗せて大空を羽ばたきます。
シリーズを少々嗜んだ方々は、「なんであのオオワシは指輪を持ったフロドを乗せてモルドールに行かないの? 速いじゃん?」という疑問を持たれるようです。
そもそもそれが出来たら、この話はあっという間にハッピーエンドになっちゃうので意味が無いという反論はさて置き。これにはいくつかの仮説が唱えられているようです。
それはガンダルフにとって、サルマンが軍隊を組織し、ローハンに攻め入ろうとするのを阻止するのに忙しかったから説や、鷲の王の山へ向かう途中にバルログと戦い地の底へ落ちてしまったから説。
訳者のわたしは、『ホビットの冒険』で忍びの者として活躍したビルボが、甥っ子のフロドに指輪を授けたので、継承者であるフロドが責任をも委ねられた。
そして指輪を捨てるのは、フロドの血にも流れているであろう忍びの者としての才能を活かす仕事だからであろうと思っていたのですが...この件で調べていたら、ヤフー知恵袋にも同じ疑問と、的確な回答を見つけたので、ちょっとだけ拝借いたします。
まずガンダルフは、中つ国のある世界の管理を任された神格的存在ヴァラールによって、サウロンと直接戦うことを禁じられていたから、フロドに託したというのが一つ。そしてガンダルフ自身は、一つの指輪の魔力に抗えないことを自分で理解していたから、というのが二つ目の理由です。
さらには、サウロンは力をつけていたので、グワイヒアで飛んでいったら一発でバレて撃ち落とされるのが関の山だったであろう、ということでした。
実際にフロドたちは隠密行動に徹しており、アラゴルンたち武闘派が敵の目を惹き付けていたので、あの作戦が成功したということでしょうね。
■『マスエフェクト』:ラストは幻だった説
バイオウェア社のアーティスト、マット・ローズ氏による『マスエフェクト3』コンセプト・アート
『マスエフェクト』3部作を終わらせて、多くのプレイヤーはその終わり方に不満を募らせたかもしれません。現在facebookでは、「『マスエフェクト』を作り直せ」というページに6万人ほどがいいねをしており、「EAはアメリカ市場最低のゲーム会社だ」というポストでは、EA社のAの字がウ◯コに描き代えられたロゴが載っているほどです。
ということで、あまりにも不満を抱えたファンたちが、彼ら独自の説を唱えだしたのです。
それは『マスエフェクト3』の一番最後は、シェパード少佐による幻覚だ...という強引なもの。物語の終わり方で、夢オチはベタ過ぎてタブー視する人も多いかと思いますが、幻覚説もまた同様に、シェパード少佐のアタマがおかしくなって、全ては彼だけが見た幻なのではないか? とあまりにも荒唐無稽で強引過ぎる仮説です。
ゲームでは稼いだポイントによりマルチエンディングが観られるのですが、シングルでプレイしている限り絶対にシェパード少佐が生き残るエンディングには辿り着けず、マルチプレイでのプレイによりさらなるポイントを稼がないといけないのだそうです。
ファンたちは怒りと失望のあまり、この強引な説を唱えでもしない限り自分を納得させられないのでしょうね。下でご覧いただける1時間半ほどの動画は、それを説明するドキュメンタリーになっています。気になる方はどうぞ。
ファンたちの怒りの声が届いた、開発元のバイオウェア社からは、「エクステンデッド・カット」というダウンロードコンテンツがリリースされ、事の収束を計ったようです。さて皆さんのお怒りは収まったのでしょうか...?
■『氷と炎の歌』:ティリオンがターガリエンではないか説
出生の秘密が明らかになるか!?
HBOドラマシリーズで人気を博す、『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作小説『氷と炎の歌』。原作者のジョージ・R・R・マーティン氏は、ファンとの交流にも積極的な人物として知られていますが、この小説版について様々な仮説が飛び交う今、そうした仮説を基にした作品を作ろうとしているそうです。
かつて「io9」で掲載された、仮説まとめ記事には、10種類ほどが紹介されました。しかし最もブっ飛んで際立つ仮説が、「もしもティリオン・ラニスターが、ターガリエン家の血族だったとしたら?」なのだそうです。
それは、狂王エイリスと呼ばれるエイリス・ターガリエン二世が、その配下でキャスタリーロック公ことタイウィン・ラニスターの妻ジョアンナに熱を上げており、エイリスはタイウィンの隙を見てジョアンナと寝盗ってしまったというもの。
ジョアンナなそれをきっかけに身ごもり、ティリオンを産んですぐ死んでしまうのです。原作では、ティリオンの容姿が低体重で白に近い金髪、そして肌の色も異色症だと記されているのですが、その姿はターガリエン家の者の特徴と酷似しているのです。
さらには、片眼だけですが瞳の色がターガリエン家のそれに似ているという事も書かれているのだそうです。
他にもターガリエンの者はドラゴンへの深い興味を持ち、ティリオンの父とされてきたタイウィンの最期の言葉が「私の息子ではない」だったのです。これは息子のティリオンが父を殺したので、「こんな親不孝な息子は...」という意味なのか、それともこの仮説の通り血が繋がっていないからなのかまでは不明です。
現在小説では、将来エイゴン6世として戴冠されるべきエイゴン・ターガリエンの話が進んでいるそうです。エイゴンがストームズエンド城にターガリエン家の旗を掲げることができる頃には、この仮説が現実のものとなるか否かが判明するかもしれません。
ということで以上、これら7つの作品で噂される仮説はいかがでしたでしょうか? 荒唐無稽と思われるものも有れば、信憑性が高そうなものも有りましたよね。
シリーズ化をしてしまうと、そこには何がしかのパターンが生まれてくることになり、人の心理としては次のパターンがどうなるのかをついつい考えてしまうのでしょうね。それがお気に入りの作品であれば尚更、その世界観に飛び込んで似たもの同士のファンたちがアツい議論を交わすのです。
そうして噂されるのがこれらだったわけですが...読者の皆さんは共感できましたでしょうか? はたまたご自身の持論や予測などありましたら、ぜひともコメントやツイートに書き込んでみてください。
7 weird and wonderful Science Fiction and Fantasy Fan Theories[io9]
(岡本玄介)
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