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テレビも映画も苦戦するネット/テキストメッセージの表現の正解は?

2014/08/23 22:30 投稿

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テレビも映画も苦戦するネット/テキストメッセージの表現の正解は?
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ここ30年近くで私たちの生活必需品となったインターネットや、ここ10年で広く普及し出したスマートフォン。

今ではこれらを通して、年齢問わずテキストメッセージで気軽にやりとりする世の中になりましたが...私たちにとって非常に身近なネットやテキストメッセージ、映画やドラマを作る側にとってはそれらを表現するのに苦労しているようなのです。

Every Frama a Paintingのトニー・ゾウさんが、「映画やドラマの中でのネットやテキストメッセージの表現の正解」に関する動画をYoutubeにアップロードしたとio9が伝えました。



映画やドラマを撮影すると、様々な関門が待ち受けています。その中のひとつに、ネットやテキストメッセージを如何にして映像として伝えるかというのがあげられるでしょう。

本来、テキストメッセージは画面に文字として表示されているものなので、映像として取り入れることはさほど難しいとは思えません。しかし、少し前まで映像制作者はテキストメッセージの扱い方に手を焼いていたようです。

例えば、俳優にワザとらしく読み上げさせてみたり...、ありきたりに着信音の後に画面を表示させてみたり...、最悪のケースだと何らの理由で携帯電話が通じないなんて設定にしたり...。

しかし、2001年の韓国映画『子猫をお願い』や2001年の邦画『リリイ・シュシュのすべて』、2008年のティーンムービー『Sex Drive』や2010年のドラマ『Hollyyoaks』などでスクリーン上にテキストメッセージの文字を表示させるやり方が登場し、その方法はここ4~5年で業界に広く浸透しました。

今ではテキストメッセージを表現する一般的な方法になってきています。

それにしても、何故、映像業界がテキストメッセージの文字をスクリーンに表示するという方法がメジャーになったのでしょうか? トニーさんは次の3つが主な理由だと主張しています。

ひとつめは予算が削減出来るから。テキストメッセージを画面に表示させるだけなら、携帯電話のクローズアップ画面を撮影する必要はありません。アフラーエフェクトさえあればいいのです。

ふたつめは能率的だから。携帯電話に表示されていたメッセージを視聴者に読ませる方法では、読んでもらう為の時間が必要になり、尺も長くなりがちです。時には不自然なほどに大きな文字にしなくてはならないなんてことも。

また、スマートフォンの画面上のやり取りだけを視聴者に見せているのは退屈なので、適度にショットを切り替える必要も出て来るでしょう。しかし、スクリーン上に表示すれば、伝えたいことと俳優の演技、つまりアクションのリアクションを邪魔なカットを入れることなく、ひとつの画面で1度に見せることが可能なのです。


シャーロック

シャーロックのテキストメッセージ


3つめは、絵的な美しさが上げられます。BBCの『シャーロック』を見ても分かる通り、画面がエレガントです。かつては吹き出しのようなものが表示されていましたが、それも無くなりシーズンが進む毎に洗練され、今ではキャラクターを意味する色づけも無くなって極めてシンプルな白い文字が採用されています。にもかかわらず、視聴者はきちんと誰が何を送っているのか理解出来るようになっています。


それだけでなく、チャットのやり取りがコンピューターや人、デバイスに括り付けられているようなこともなく、独立した文字表示になっているのも美しさの所以とも言えるでしょう。この『シャーロック』のテキストメッセージの表現方法は正解に近いのかもしれません。

一方、映像業界にはテキストメッセージに並んで表現の仕方に頭を悩ませているものがあります。それがインターネットです。

インターネットが映画やドラマに登場するようになって随分と経ちましたが、未だにコレといった表現方法が出てきていません。非能率的だったり、非効果的だったり、平凡だったりするのです。

トニーさんが気に入っているのは、私たちが常日頃から目にしているようなスクリーンモニターを画面一杯に表示する方法だそうですが、絵的な目新しさはありません。

ここで、目新しさや斬新さを追求している国について触れてみましょう。トニーさんが考える最先端の方法でネットを表現している場所、それは我が国日本


日本のテキスト表現

日本が表現するオンラインの世界


トニーさんは、日本が過去20年に渡って様々な方法でオンラインの世界を表現してきたと語っています。ぺったんこの円盤だったり、何かが浮遊していたり、メッセージボードだったり、異空間に突入したりといった具合です。

また、アニメの世界だけに限らず、中田秀夫監督が撮ったイギリス映画『チャットルーム』でもオンラインの描かれ方は特殊です。

映画やドラマにおけるネットの表現方法はまだまだ未熟で、正解にたどり着けていない印象が拭いきれません。明らかに失敗していたり迷走しているものも沢山あります。

しかし、それは映像制作者がネットという形の無いものをどうやって表現すれば良いのか常に模索し続けており、より洗練された表現方法を追求することを止めていないということであって、決して悪いことではありません。

ハリウッドは「ネットを表現する」という課題をクリア出来ずにいます。それはつまり、その答えを出すチャンスは私たちにもあると言えるのではないでしょうか。Youtubeをはじめ動画投稿サイトが多く存在している昨今は、誰でもアイディアを世に出すことが出来ます。そのアイディアが「映画のネット表現スタンダード」になる可能性も多いにあるでしょう。

凄いものを作るにはお金が足りない...と嘆くこともありません。「予算が無い」からこそ良いアイディアが生まれることは多々あります。解決の鍵は既に存在していて、目の前にあるのかもしれません。

『シャーロック』のテキストメッセージは限りなく正解に近いところまで来ました。これを参考に、お洒落で能率的でエレガントなネットの表現の正解を探す旅に出てはいかがでしょうか。


Every Frame A Painting via io9

中川真知子

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