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あのシュワ映画が忠実に再現されている謎とは...!!
映画や小説などスピン・オフ作品も多いホラーアドベンチャー『サイレントヒル』。つい最近はドイツのケルンで開催された「gamescom 2014」にて、コナミの小島秀夫監督とギレルモ・デル・トロ監督が新作のため手を組み、そして海外ドラマ『ウォーキング・デッド』でダリル役を演じたノーマン・リーダスさんが劇中にキャラクターとして登場するというサプライズな発表があったばかり。
ゾンビものとは違い、オカルトやカルト宗教の要素でプレイヤーを精神的に怖がらせてくれるこの作品。意外にもアーノルド・シュワルツェネッガーさんのコメディー映画や同じコナミの『メタルギアソリッド』とも、ちょっとした関係があるんですよ。
以下で、それらの関係性やトリビアなどを7つご用意しましたので、いろいろとツッコミながら読んでみてください。ではどうぞ!
■『サイレントヒル』はそんなに静かではない
どこの部屋に入っても、どこの丘を走っても、人の気配がない道のどこを駆け抜けても、タイトルで言っているほど静かな状況はありません。なぜなら恐怖感を煽る演出のためなのか、常に鳴き声や叫び声、金属が引っかかれる音、赤ちゃんの泣き声など、地獄からのBGMが聴こえてくるからなのです。
音響監督の山岡晃さんは、見事なまでにプレイヤーを音によって怖がらせることに成功されていますが、まぁプレイ中は名前ほどサイレントじゃないよってことで。
ちなみに日本ではお馴染みのトリビアですが、静岡の英語直訳で『サイレントヒル』と名付けてサンプル版を作ったものの、意外にそれが気に入られたのがタイトルの由来だったりします。
しかしながら、ゲーム内の風景や地形は熱海を参考に作られたと言われています。外国人には静岡という名前の親しみや熱海の土地勘がわからないので、あちらではイマイチ馴染めないトリビアかもしれませんが...。
ついでにもう1つ。ゲームボーイ用のソフト『ポケットモンスター 金・銀』ベータ版では、スタート地点の街が「サイレントヒル」となっていたそうです。リリース版では「ニュー・バーク・タウン(日本版:ワカバタウン)」となってしまいましたが、位置は静岡県と同じ所にできた街なのでナルホドって感じですね。
■『メタルギアソリッド』との意外過ぎる繋がり
『サイレントヒル』では、ストーリーに関係ある/なしにかかわらずいろんなトリビュートがあちこちに隠されています。たとえば道の名前に小説家レイ・ブラッドベリさん、またはディーン・R・クーンツさんの苗字があてがわれている具合。
さらには、『ジュラシック・パーク』の生みの親マイケル・クライトンさんの苗字までもが、クライトン・ストリートとして登場するのです。
そしてそのクライトン・ストリートとクーンツ・ストリートが交わるT字路にコナミ・バーガーが建っています。さらには路上に無造作に積み重なった段ボール箱が置いてあり、そこには「MSG」と書いてあるのが読み取れます。
普通なら化学調味料のグルタミン酸ナトリウム(モノソディウム・グルタメイト)のことを指すのですが、これまで見たトリビュートの数々と段ボール箱に「MSG」ときたら...? 思い付くのは『MGS』のスネークが隠れる段ボール箱しかありませんよね。
ここでもっと斜め上の発想をしてみましょう。もしもこのコナミ・バーガーから、シャドーモセス島に食事のケイタリングをしていたならどうなるでしょうか?
毎日毎日、化学調味料がたっぷり入ったバーガーを食べ続けた兵士の末路は...いつもお腹を下すあの看守、ジョニー佐々木こそがその犠牲者なのです。これで彼の一族が持つ持病に合点がいきますね。
■どうしてゲームの中でカルト宗教は悪なのか?
どうして「秩序」がそんなに悪なのでしょうか? どうして自分たちの思想を他人に押し付けようとするのでしょうか? どうして何でもかんでも「世界の終わり」を持ちだして、一般人は惨めに死ぬ代わりに自分たちは楽園で幸せに暮らせるなどと言えるのでしょうか?
どうして醜いバケモノのような顔をした女性を女神だと決めつけて、人間を生贄に捧げるのでしょうか? 経典だか教義だかによると、その女神とやらがアンタらの不死身の肉体を奪ったんじゃないんでしたっけ?
どうして彼らはどっかで勝手に大人しく信仰していればいいものを、世界の終わりで善と悪が戦うハルマゲドンを一般人に口うるさく説くのでしょうか? その女神はなんでそんな簡単にヘザーにやられちゃうんでしょうか?
そして、どうして三角頭の彼が持っている大剣が『ファイナルファンタジーVII』の主人公クラウドを想い起こさせるのでしょうか? どうして『サイレントヒル』と『シャイニング』では、ネイティヴ・アメリカンが埋葬された土地で連続殺人や凶悪な暴力事件が起きるのでしょうか?
もっと言ってしまうと、街中を覆うあの白い霧はPM2.5ではないのでしょうか? 環境汚染にもっと気を付けていただきたいものです。
ということで、以上の疑問を全て解決するには...やっぱしカルト教団は悪者ってことにしておいたほうが、いろいろと都合が良さそうです。多分。
■シュワルツェネッガー氏との不思議な関係性
『サイレントヒル』はいろんな映画から影響を受け、それらのエッセンスを取り入れていると言われています。たとえば『ジェイコブス・ラダー』やデイヴィッド・リンチ監督作品、アルフレッド・ヒッチコック監督作品、スティーブン・キング原作の『ミスト』、それにフョードル・ドストエフスキーの『罪と罰』などなど。
ですが、奇妙にもゲーム内でさりげなく張られているポスター・アートや、建物などがアーノルド・シュワルツェネッガーさんの映画作品『キンダガートン・コップ』と多く一致するというのは、どういうことなのでしょうか?
ファミリー向けの和やかな映画の舞台が、いつのまにかおぞましいホラーな世界に変貌しているのがわかります。他にもまったく同じポスター類がいくつも観られるのですが、ここでは紹介しきれないので米Kotakuの記事でチェックしてみてください。
これは単なる推測かもしれませんが、おそらく『サイレントヒル』を制作するにあたり、代表的なアメリカの学校を描写する時に『キンダガートン・コップ』の背景を参考にしたのではないかと思います。で、その時に真面目すぎたのか茶目っ気なのか、美術スタッフがポスターなどまで忠実に再現してしまったため、こういった事態が招かれたのではないか? とも考えられますね。
アーノルド・シュワルツェネッガーさんはこれまで、コメディーもこなすアクション俳優としてお茶の間に親しまれていますが、ホラー映画ってのは出演されていませんよね。イイとこ『プレデター』か『エンド・オブ・デイズ』止まりです。
仮にですが、『サイレントヒル』にシュワちゃんが出演されたらもう、全く違ったコンセプトの映画になってしまいますが、こうしたクロス・オーヴァーでシュワちゃんとホラーに接点が出来たのはちょっと興味深い気がします。
■トラウマ級に怖いクリーチャーたち
ゲーム1作目に登場するクリーチャーのマンブラー。これは北米版ですと肌が灰色の「グレイ・チャイルド」に差し替えられています。
米Kotakuのピーター・ティエリアス記者は、変に粗いポリゴンで生成された「グレイ・チャイルド」が何より恐ろしく、ラジオの雑音と共に暗闇の中からナイフを持った彼らの姿が悪夢になって登場したのだ、と書いています。
それは2作目でのレッドピラミッドシングにしても同様だったとか。確かにあんなのに追いかけられたら、大人でもオネショしちゃいそうですよね。
さてこれらのクリーチャーたちは、罪悪感に苦しむ主人公ジェイムス・サンダーランドの妄想が具現化したもので、三角頭はジェイムスの中の死刑執行人のイメージが生んだバケモノなのです。なのでこれらのクリーチャーは(1作目の)ハリーとジェイムスにしか視えないのも説明できます。
ゲームのオープニング画面ではイージーかノーマル、またはハードと3種類のモードが選べるのですが、これは潜在的にハードを選んだプレイヤーはマゾ気質で、イージーを選べばプレイヤーは痛い思いをしたり死ぬのが嫌なタイプの性格だと言うことになります。ではサディスティックな人は? クリア後の隠し武器を使うタイプでしょうかね。
どのタイプであっても、好んであのマッチョな三角頭にブった斬られたがるドMプレイヤーはいないと思いますが...。
■『サイレントヒル4』が自宅を怖いものにした
サブタイトルが『ザ・ルーム』というだけあって、どんどんグロくなっていく主人公の部屋を基点とし、バスルームに開いた穴を通じて異世界とを行き来するこの4作目。
ティエリアス記者は、このゲームをプレイしながら本当に自分の部屋まで侵食されてきているんじゃないか? と錯覚に陥ったそうで、隣人が廊下を歩く音が気になるし、ついつい玄関のドアに付いている覗き穴から外を確認せずにはいられなかったとか。
ゲームに登場する連続殺人犯ウォルター・サリバンは、サウスアッシュフィールドハイツの302号室そのものを母親だと思い込んでおり、その母を蘇らせ聖母を降臨させるために主人公のヘンリー・タウンゼントを含む21人を殺害し、「21の秘蹟」を実行しようと目論んでいます。
あまりにもゲームにハマってしまったティエリアス記者は、ゲームの世界観を現実の世界に投影してしまい、ウォルターに捕まるまいと3日間も外出せず宅配ピッツァを頼んでしまったのだそうです。それはそれで、最高のダメ人間生活が出来て良かったんじゃないかとも思いますが...。
■裏で糸を引いているのは誰なのか?
このシリーズには、いくつかのマルチエンディングが用意されています。「UFOエンディング」は有名かと思いますが、また『サイレントヒル2』では柴犬が全ての現象をコントロール室で操っていたという、ユルい「犬エンド」なんてものまで存在します。
面白いのは、シリーズ全部では常に新しい監督が就任している点です。1作目の外山圭一郎監督はSCE移籍後にまたホラーゲームの『SIREN』シリーズを手掛け、2作目は坪山優史さんが監督をお務めされました(4作目でも背景デザインとモンスターの一部を担当)。
3作目では山岡 晃さん、4作目は2作目でドラマパートやカメラワークを担当された村越卓さんが監督をされています。なので惨劇が起こるロケーションはサイレントヒルでありながらも、毎回違うアプローチになるのですね。
そして新作は『メタルギアソリッド』シリーズとフォックスエンジンを開発された小島秀夫監督に加えて、ギレルモ・デル・トロ監督のタッグというからこれはエラいことになりそうです。次回もユニークな隠しエンディングが作られるのでしょうか? そして面白いパロディーやトリビュートなどは? そういった意味でも期待が高まりますね。
7 Thoughts on the Strangeness of Silent Hill[Kotaku]
(岡本玄介)
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