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なぜ文字の説明が無くても直感的にプレイを覚えられるのか? あのブロックはなぜあの場所に配置されているのか? デザイナーの視点から見ると、理に適った配置になっているんだそうです。どういうことなのか、ちょっとその説明を聞いてみましょう。
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ゲーム開始直後の画面からしても、システムの少ないリソースを上手くやりくりし、ゲームに不慣れな世代にも受け入れられるように様々な工夫が施されています。画面上に沢山テキストを表示させたり、説明書を読ませたりすること無く、プレイヤーに何が可能かを認識させ、プレイを通じたスキルの向上を可能にするという、アフォーダンスの用い方と学習曲線デザインの素晴らしい手本が詰まった作品です。
開始直後の画面ではマリオが右を向き、その前には開けた空間があります。何も動いておらず、脅威となるものも見当たりません。この静的な空間で、プレイヤーはコントロールを色々試して、慣れることができます。また、ここでプレイヤーが学ぶこととしては、ゲームを通して常にマリオの進むべき方向は右だということです。
マリオは大抵画面の中央に居ますが、ゲームデザイナーたちは開始直後のマリオの位置を意図的に左側にしています。現代のゲームであればカットシーンなどを通して伝えることでしょうが、このマリオの配置場所のもたらすアフォーダンスは、多くのことを伝えます。プレイヤーは置き去りにされた感を感じることもなく、ゴールが何かを教えられることのないままに、どうするべきか理解できるのです。ただ右に進めばいい、と。
そうして右に進んで最初に目にするのは、チカチカ光るクエスチョンマーク。この時点ではまだ脅威は見当たらず、自分のペースでもっと右へ進めます。すると現れるのが最初の敵クリボーです。なぜこれが敵だと判るのか? まずこのキャラクターが怒った表情をしているから。そして、これまで遭遇したオブジェクトとは違い、プレイヤーに向かってきているからです。
もしクリボーが動かないでいたら、脅威だとは思わないでしょう。クリボーとの初遭遇は、プレイヤーがこれよりも先に進む前に必ず重要なスキルを学ぶように仕向けてくれます。そう、ジャンプすること無く先に進むことは不可能なのです。
ファミコンのコントローラーのボタンは、方向キーを別にすれば4つ。この時点でもうすでにプレイヤーは方向キーを使ったと考えられますから、デザイナーの視点からは、特に説明せずともプレイヤーがあとの4つのボタンを試してくれると考えても問題ないでしょう。もしマリオが死んでも、ここからそう遠く離れていないスタート地点からやり直すだけのこと。「短い反復サイクル」はあなたの友達です。
最初の敵との遭遇の後に待っているのは、パワーアップシステムです。プレイヤーはチカチカするクエスチョンマークは何だろうと思っているはず。プレイヤーがクエスチョンマークにぶち当たれば、キノコが出てきます。キノコはプレイヤーの進行方向と同じ右に動きます。次にプレイヤーの上を動いていたこのキノコが落ちてきます。
これにより、ブロック以外のオブジェクトとが重力の影響をどう受けるかをプレイヤーが理解することになるのです。そしてキノコは緑の土管にぶつかり進行方向を変え、固いオブジェクトにキノコがぶつかったらどうなるかを見せるとともに、プレイヤーがキノコを取ることが出来るよう左に進みます。
クリボーとの直前の経験から、プレイヤーは「キノコの形をした奴はみんな悪いやつだ」と思っているかもしれませんが、この状況ではプレイヤーがジャンプすると頭をぶつけるようにブロックが配されています。このため、ジャンプして避けようとしてもキノコにぶつかってしまうのです。任天堂のデザイナー達は、最初は危険な敵に見えてしまうスーパーキノコをプレイヤーが取れるように上手く誘導させています。
次にプレイヤーの目の前に現れるのは、段々と高いものが現れる土管です。これを飛び越えるには少々直感的ではない操作が必要になります。マリオのジャンプの高さは、ジャンプボタンが押される長さに比例するのです。これもここで学ばないと先に進めません。
また、土管が教えてくれることがもうひとつ。クリボーの動きと、クリボー同士がどう反応しあうか、です。また、高い土管の向こう側に降りると、プレイヤーは二匹のクリボーと対峙することになります。そこではうまくすれば続けて敵を倒せばボーナスが貰えるということもわかります。さらに、ここでは後々登場する穴の飛び越しなどの練習を安全な状況で行うことが可能です。
そして最後に登場するのが、最後の土管と最初の穴です。これはデザイナーたちが最初の秘密を隠した場所でもあります。最後の土管に入ると、コインだらけの部屋に出るのです。すぐにプレイヤーが外に出てゲームの続きを遊んでもらえるよう、このシークレットはシンプルな作りになっており、新たに学ぶ点もなく、挑戦的なものでもありません。しかし、穴の前の透明なブロックは別の話です。
95%の新規プレイヤーが発見できない透明ブロックですが、ジャンプ位置を間違えて、穴のかなり手前から、穴に落ちる軌道でジャンプしようとすると透明ブロックに当たるのです。
ゲームの最初の30秒間にもこれだけのことが詰め込まれています。1-1の残りの部分、ふたつの階段上の障害物、4匹続けて出てくるクリボーたち、これらがなぜそこに配置されているかもデザイナーの視点で考えてみると面白いです。
今回紹介したゲームデザインの基本が、現代に至っても多く活用されていることにはあなたも驚くはずです。
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うーん、なるほど! 一見シンプルに見える1-1も、考えぬかれた結果、こういう作りになっているんですね。何故そうなっているのか考えるのも面白いものです。さすが、1985年の発売以来多くの人々を虜にしてきた作品だけあります。
Design Club[YouTube via Kotaku]
(abcxyz)
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