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フィンランド最大のデザインフェア「ハビタレ」に行ってきました! その2

2013/10/13 20:30 投稿

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フィンランド最大のデザインフェア「ハビタレ」


エコなデザインから手作りの素敵な品々、そして会場内のバーもご紹介!

前回に引き続き、フィンランドの首都ヘルシンキで去る9月に行われた、フィンランド最大のデザインフェアHabitareの模様をお届けします。今回は、Habitareで大きな注目を集めていた「エコデザインアワード」とデザインの直売エリアの様子です。

前回ご紹介した日本の工業デザイナー、喜多俊之さんがエコデザインアワードのキュレーター長を務める「エコデザインアワード」には、環境に配慮したデザインの数々が。そして一般来場日に特に賑わっていた直売エリアには、手作りをしているために大量に生産できない品物や、1点モノが多く並んでいました。

エコな椅子やランプの数々、フィンランドの動物の足跡をあしらったオシャレな石けん、どことなく日本的な光を生む紙製のキャンドルシェード、そして酒に強い国ならではの会場内のバーの数々をご覧ください。
 


【大きな画像や動画はこちら】

 
エコデザインアワード!

「ステキ」の一言がぴったりな展示会場


まずはエコデザインアワードの展示作品から。


モザイクトゥオリ

シンプルですが、白樺だから頑丈そう。


85%が白樺の合板で作られた椅子「Mosaic−Tuoli」(モザイク・トゥオリ/「Tuoli」はフィンランド語で椅子を指す)は、ユルヨ・クッカプロさんの作品です。


Woven Wood

編まれた椅子というのも珍しい


コロンビアのフアン・カパさんによる「Woven Wood」は、その名の通り、編まれた椅子。トネリコ材を編むように配することで、接着剤を使わず、それぞれの部材の摩擦を利用して強度を保ち、少ない部材で作られています。


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この灯りは「Risukko」(リスッコ / 茂み)。スーザン・エロさんとサミ・ラハティネンさんによるデザインです。アスペン材を乱雑に積み上げてジェンガでもプレイしようとでもしているのか? と感じた人が会場に何人いたかわかりませんが、その隙間から洩れ差す光と、木によって生じる影はとても美しいです


Meresta Loydetty

折りたたんだ姿も見てみたいですね


デッキ・チェア風のこちらは、トネリコ材で作られたカリ・ヴィルタネンさんによる折りたたみ可能な椅子「Meresta Loydetty」(デレスタ・ロユデッテュ)。木材の自然な曲線をそのままに利用した作りです。


ログライティング

木材のお陰か、光が暖かく感じます。


こちらは、上から押すことでオン・オフを切り替えられる「Log Lighting」(ログ・ライティング)。オッリ・ムスティカイネンさん、ヤリ・ニューマンさんによるデザインです。


グローイングキッド

買い替えが大変なのでこれは便利


中国の清華大学「美術学院」より、子供用の椅子から手押し車、木馬や足けり乗用車などへと、子供の成長に合わせて組み替え、変形可能な作品。周浩明教授、Chen Jingさん、Wu Yulianさんによる、「Growing Kid」(グローイング・キッド)です。


ホテイ

本来なら捨てられてしまうものがステキな椅子に


喜多俊之さんの作品も展示されていました。「Hotei」(ホテイ)というスツール作品では、高い繁殖力で水面を覆いつくし、水面下の生物への影響や水質の悪化の原因ともなっているホテイアオイ(ウォーターヒヤシンス)を編んで作った座面に、捨てられた車の部品を再加工して作られた脚部が印象的な椅子です。同じく喜多さんのデザインしたものとしては、成長が早く、なおかつ長持ちする竹を素材とし作られた「Bamboo Stool」(バンブースツール)も展示。

エコデザインアワード展示作品の中には、前回ご紹介した鳥取の匠たちとのコラボレーション作品群、「森コレクション」をデザインされたフィンランドのデザイナーさんたちの作品もありました。


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(写真提供:Anna Salonenさん)


これらは、mottoWASABIのユキ・アベさんとアンナ・サロネンさんによる「Ribbon」(リボン)。薄いベニヤ板をリボンで留めることでランプシェードにカーブをつけています。軽量な自然素材をシンプルに用いることで、制作時、製品発送時の環境負荷を低くするとともに、廃棄時の自然への負担も減らした作品です。


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(写真提供:Klaus Aaltoさん, Copyright: Iittala)


こちらはAalto + Aaltoのエリナ・アールトさんとクラウス・アールトさんによる「Vakka」(ヴァッカ)。日本でも有名なイッタラ(Iittala、本当の発音は「イーッタラ」)のためにデザインされたVakkaは、ぱっと見オシャレなサイドテーブルですが、本当は収納器具。形が先ではなく、形は機能から生まれる、というコンセプトのもとデザインされたそうです。積み上げることもできます。

展示作品の多くが、「木をメインの素材として使用した椅子」という、素材と機能だけを見れば似通ったものとなってはいましたが、その裏にあるコンセプトは多種多様、形も十人十色といった印象です。

次はデザイン直売ブース。


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動物の足跡が印象的なこちらは、何を隠そう石けんです。Aamumaa(アームマー)の石けんは自然の素材を用いた手作りで、実際にフィンランドに住む野生生物の足跡が模られています。

フェリー会社シリヤラインのマスコットとしても知られている、ワモンアザラシの亜種である「Saimaannorppa」(サイマーンノルッパ / 英:Saimaa ringed seal)がひょっこりと顔を出した可愛い石けんも。このアザラシは、フィンランドのSaimaa / サイマーという湖にしか生息していない絶滅危惧種です。

たまご型の石けんは、イヌワシの卵を原寸大で再現した石けん。店員さんもずっとAamumaaの石けんを使っているそうで、お肌つべつべでした。


足あと石鹸

あれ...小さなおじさんの足跡が...?


そのまんまコウモリの形をした新作もコウモリファンには堪らないですが、ぱっと見、とってもちいさな子供の足跡と猫の足跡がついたように見える石けんも、見るものの興味を惹きます。

もちろん小さいおじさんの足跡などではなく(近種かもしれませんが)、森に住むエルフの足跡とオオヤマネコの足跡です。実際にエルフが森に住んでいるなんて 夢のある設定 素敵なところですねフィンランド!

なお、商品が一つ売れる度に50セントがWWF(世界自然保護基金、プロレス団体ではない)に寄付され、Saimaannorppaをはじめとする雪や氷に依存して生活している動物の保護に充てられるとのことです。


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果物...ではなく、これも実は石けん。スイカも、ぶどうも、バナナも、オレンジも、みんな石けんです。これはフィンランドのものではなく、トルコで300年の歴史を持つ、果物のかたちを模した石けんなんだとか。スルタンが宮殿に来るゲストを驚かせようと、トルコ西北、マルマラ地方の職人たちに作らせていたもので、今でもその地方の人が手作りしているそうです。


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その石けんも販売元でもある、隣のブースのAncker社では、日本の薬味おろし器にインスパイアされた小皿を実演販売されてました。もちろんおろしているのは石けんではなくホンモノの食材です。


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こちらはデザイナーのサーナさんとオッリさんが運営するSaana ja Olli(サーナ・ヤ・オッリ)のショップ。ヨーロッパ産の麻を使用したテキスタイルブランドです。フィンランドの自然や森をモチーフにした可愛らしいテキスタイルで、日本でも扱っているお店があるそうです。

麻は肥料や殺虫剤も使うことなく、綿と比べて同じ作付面積でも倍の収穫ができ、効率よく二酸化炭素を酸素に変換する「C4型光合成」を行う植物なんだか。大阪のタイルメーカーDantoとのコラボレーションでも知られている彼らですが、今回のHabitareにおいてサーナ・シピラさんは、鳥取とのコラボレーション作品群「森コレクション」でも、クラウス・アールトさんとアンナ・サロネンさんと共同でデザインを担当されています。


ランプシェード

柔らかい光で照らしてくれます


こちらの美しい灯りは、Paperivalo(パペリヴァロ)により手作りされている紙製のランプシェード。透かし摺りで濃淡が出ているのも素敵ですね。

フィンランド北部、ラップランドで作られている製品で、言われてみれば確かに雪に反射する光を連想させます。日本の展示でも見られた紙製のランプシェードとキャンドルシェード、やはりプラスチック製のものとは違う、柔らかくやさしい光が魅力的です。


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ひとつひとつ手作りで作られたセラミックの作品が並ぶJatta Lavi(ヤッタ・ラヴィ)。牛乳パックのかたちの、思わず手にとって確かめたくなるようなセラミック作品や、先の透かし摺りにも似た、薄い部分が光を通過させるようにできている、繊細な印象を受ける作品などが展示販売されていました。


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他にも、直販エリアでは数えきれないほど多種多様な小物が展示、販売されており、最終日の最後まで人でごった返していました。


みんなの声

これなら感想を書きたくなるなぁ


今回のHabitareで面白かったのが、来場者が今回のHabitare自体を評価し、壁に感想を貼り付けることのできるコーナーです。ポストイットに感想を書き、プラス、マイナス、それぞれのところに貼り付けていきます。


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プラス点に書かれているのは「色が素敵」、「サウンドスケープ」、マイナス点は「会場が広すぎる」、「マップがもっと欲しい」などなど。最終日になると、学生やティーンエイジャーの来場者も多く見られた事もあってか、デッドマウスの落書きがあったり、スレンダーマンの落書きや、フィンランドで今はやっているティーン・ポップ『Robin - Boom Kah』の歌詞の一部が書かれていたりも。


コーヒー

こんなところにも日本茶が!


フィンランドは一人あたりのコーヒーの消費量が世界一と言われることもあり、前回の記事でもカフェを紹介しましたが、最近はお茶も流行っています。Design Forumのブースでは、首都ヘルシンキに2店舗を構える日本茶や中国茶などが美味しく飲めるthéhuone(テーフオネ / ティーハウス)から、日本の緑茶が提供されていました。


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また、フィンランド人はアルコールに強いですが、それもあってか、会場内ではアルコールの販売も。エコデザインアワードの展示の横にワインバー、Tikkurila社はマカロンも食べられるスパークリングワインバー、そして、以前はフィンランド北部ラップランドで作られていたことから「ラップランドの金」を意味する「Lapin kulta」(ラピンクルタ)と名付けられたビールのラウンジも。流石に(街なかでちょくちょく見かけるような)ぐでんぐでんに酔っ払った人は居ませんでした。


子供も楽しむ

お子様も楽しめる施設やサービスも完備


一般来場日には小さな子供を連れた方も多数見られましたが、会場内ではベビーカーの貸出をしていたり、3歳から7歳までの子供を無料で預けられる託児所があったりと、会場自体が子連れの来場者に対してもサービスが充実していました。また展示各社も、輪投げやキャンディーを用意し、子ども連れの客にも配慮してた点も印象的です。

フィンランド-北欧のデザイン、北欧デザインの中の日本のデザイン、エコデザインにデザインの直販ブースと、2回にわたってご紹介してまいりましたが、皆さんいかがでしたか?

今回のHabitareに出展されていた展示物を見返してみれば、環境に配慮したものや大量生産ではなく、手作りを売りにしたものが目立ちます。一過性の流行りとしての陳腐な「エコ商売」ではなく、将来も見据えた上で、地に足の着いた環境にやさしいものづくりをしようという、デザイナーさんや、ものづくりをされる方々の意思が伝わってくるような気がしました。


Habitare

(abcxyz)

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