映画がヒットするのは映画関係者にとっては嬉しいこと。しかし、あまりにも当たり過ぎると、世間一般は出演者たちをステレオタイプ化して、どうしても、その俳優=キャラクターと見てしまう傾向があるようです。
例えば、『スター・ウォーズ』でルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルと、レイアを演じたキャリー・フィッシャー。彼らはあまりにも役にはまっていたため、それ以降の作品で演技の幅を広げることを出来ずにいます。俳優は当たり役を求めてはいるけれど、実際に当たり役を得てしまうことはリスクが高いことでもあるのです。
しかし、中には当たり役のイメージなんて、なんのその。2度も3度も強烈な印象を残すキャラクターを演じている俳優もいます。今日は、io9の考える「一度見たら忘れられない強烈なキャラクターを2役以上演じた俳優たち」をご紹介します。彼らがキャラのイメージに潰されなかったのは演技力のなせる技か、それとも運が良かっただけなのか...。
それでは、以下から詳細をどうぞ。
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■アーノルド・シュワルツェネッガー=コナン、T-800
元カリフォルニア州知事が演じた強烈に印象に残るキャラクターと言えば、断然、コナンとT−800。特に、『ターミネーター』のT−800は「I'll be back」の決め台詞もあり、視聴者に忘れることの出来ない強いイメージを植え付けました。アーノルド・シュワルツェネッガーの名前を知らない人でも(そんな人がいるとは思えないほど彼は有名ですが)、「ターミネーターの人」と言えば、「あ~、あの人ね」と言うほど。
また、州知事になってからも、ガバナー(知事)とターミネーターをくっつけて「ガバネーター」なんて造語が出現しました。しかし、それくらい印象強いキャラを演じた彼が、アーノルド・シュワルツェネッガー=T−800やコナンで終わらなかったのは、ひとえにあの個性と「アーノルドに演じさせたら完璧だろう」と思わせる、スター性のなせる技なのでしょう。
■パトリック・スチュワート=ジャン・リュック・ピカード艦長、チャールズ・エグゼビア
『新スタートレック』のピッカード艦長を演じたパトリック・スチュワートが、それ以上に印象に残るキャラクターに巡り会えるなんて、誰が想像出来たでしょうか? ピッカード艦長というスチュワートにとって運命的とも言えるはまり役のイメージを引きずること無く、再びコミックのキャラクターを演じられたことは、見事としか言えません。
■イアン・マッケラン=ガンダルフ、マグニート
『X−メン』でパトリック・スチュワートを語るなら、イアン・マッケランに触れないわけにはいきません。彼は、2000年に『X−メン』でマグニートを、2001年には『ロード・オブ・ザ・リング』でガンダルフを、以降もさほど間隔を置かずに両キャラクターを演じています。
しかし、このふたつのキャラクターはしっかりと演じ分けられており、かつ、イアン・マッケランでなくてはならないと思わせるほど、存在感があります。これはマッケランの演技力があってこそと言えるでしょう。
■キアヌ・リーブス=テッド・ローガン、ネオ
キアヌ・リーブスと言えば、「ベンチで1人ランチ」以上に衝撃的なものはありませんが、彼が演じたキャラクターで印象強いものと言えば、『マトリックス』シリーズのネオと、『ビルとテッドの大冒険』、『ビルとテッドの地獄旅行』のテッド・ローガンでしょう。
キアヌ本人も、「将来、自分の墓石に『テッドを演じたキアヌ・リーブス ここに眠る』と書かれるのでは? という悪夢にうなされていた」と言うほど、テッドが強烈なキャラであることを認めていました。90年初頭ではそうだったでしょう。
しかし、1999年に転機が訪れます。キアヌはテッドと同じくらい、否、もしかしたらそれよりも印象深いヒーロー、「ネオ」と出会いました。あの黒いロングコートとサングラス、整えられた髪型とカンフー、公衆電話でバーチャルリアリティと現実を行き来する姿は、忘れたくても忘れることが出来ない程格好よく、一気にキアヌ=ネオになりました。
キアヌをネオと言うか、テッドと言うかは、どちらの映画を先に見たかで決まるかと思われます。
■アラン・リックマン=ハンス・グルーバー、セブルス・スネイプ
映画史上印象深い悪役は? と聞かれて、アラン・リックマン演じる『ダイ・ハード』のハンス・グルーバーの名前をあげる人は多いかもしれません。リックマンは、あれ以来、多くの映画に出演し、素晴らしいキャラクターを演じてきましたが、ハンスほどリックマンを象徴するものはいないでしょう。
一方で、『ハリー・ポッター』シリーズのセブルス・スネイプも忘れることの出来ないキャラクターです。原作者のJ.K.ローリングは、リックマンにのみ最終話とスネイプの過去を密かに伝え、それを加味した上でスネイプを演じてほしいと指示していたそうです。その甲斐あってか、リックマンのスネイプは大成功。原作のファンからも「そのものだ」と評判でした。
■ハリソン・フォード=ハン・ソロ、インディアナ・ジョーンズ、リック・デッカード
ハリソン・フォードほど象徴的キャラクターを持つ俳優も居ないのではないでしょうか。『スター・ウォーズ』の皮肉屋で自信家でナルシストな運び屋にしろ、『インディアナ・ジョーンズ』のちょっと惚れっぽい考古学者にしろ、『ブレードランナー』の己の仕事に疑問を持つ処刑人にしろ、どれもハリソン・フォードを不動のスターにしたキャラクターです。
『スター・ウォーズ』の主要メンバーの中で、唯一、そのキャラクターのイメージから脱出し、キャリアを大幅にステップアップすることの出来たハリソン・フォード。彼はステレオタイプに悩むのではなく、ステレオタイプを楽しめる珍しいタイプの俳優と言えるかもしれません。
■リチャード・ディーン・アンダーソン=マクガイバー、ジャック・オニール
リチャード・ディーン・アンダーソンとくれば、なんと言っても海外ドラマ『冒険野郎マクガイバー』で7年もの間演じ続けたマクガイバー。そして、同じく海外ドラマの『スターゲイト SG−1』で10年以上演じたジャック・オニール大佐。
『スターゲイト』ユニバースは映画で始まりましたが、テレビシリーズとして10シーズンも放送し、ふたつのスピンオフまで制作されました。この全てが、リチャード・ディーン・アンダーソンのお陰とは言いませんが、ジャック・オニール大佐の人気も大きく貢献したと考えられます。
■ジョニー・デップ=エドワード・シザーハンズ、ジャック・スパロウ
強烈なキャラクターの基準とは何でしょうか? 一番分かり易いのは、ハリウッドブルーバードで、そのキャラクターを目にすることがあるかどうか。
そう考えると、『パイレーツ・オブ・カビリアン』の酒に酔っているのか、腰が据わっていないのか、グデングデンとした動きと、ワイルドなメイクがコスプレイヤーに人気のジャック・スパロウ、そして傷だらけの顔と両手のハサミ、ボンテージ風レザーの衣装がフランケンシュタインを思わせる『シザーハンズ』のエドワード・シザーハンズは、誰もが認める印象に残る強烈なキャラクターです。
このふたつを演じることの出来たジョニー・デップは、俳優としてとても恵まれていると言えるでしょう。
■マイケル・キートン=ビートルジュース、バットマン
上でティム・バートンの映画が出たので、バートン繋がりでもうひとつ。『ビートルジュース』でハイテンションなバイオ・エクソシストと、『バットマン』で初代バットマンを演じたマイケル・キートン。ビートルジュースのキャラクターはあまりにも強烈だった為、バットマン役に反対する重役もいたほどです。しかし、結果は、バットマンのブルース・ウェインすら、自らの代表キャラクターにしてしまいました。
■ザカリー・クイント=サイラー、スポック
海外ドラマ『HEROES/ヒーローズ』のファーストシーズンを覚えているでしょうか? ザカリー・クイントのサイラーは悪役の中の悪役というべき存在でした。その存在感は圧倒的で、脚本家が手放すことが出来ないほど。そして、ザカリーは『スタートレック』で若い頃のスポックを演じ、見事にハマっていたと絶賛されました。
長年、スポック役はレナード・ニモイが演じており、クイントが出演した『スタートレック』にも老境のスポックとしてニモイが登場。にも関わらず、ニモイの存在感にも負けず、観客にクイント=スポックという印象を植え付けることが出来ました。
この他、io9のコメント欄には、ロバート・ダウニー・Jrのアイアンマンとシャーロックホームズがありました。訳者もその通りだと思います。
[via io9]
(中川真知子)
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