夏になると毎年のように「制作費用◯◯◯億円の超大作映画公開!」やら「全米大ヒット!」といったフレーズの映画が公開されますよね。CGを駆使したクリーチャーやロボットが出てきて、ニューヨークやサンフランシスコ、ワシントンを次々と破壊、至る所で大爆発、人間の9割は死亡、みたいなヤツです。でも、映画は製作費と面白さが比例するわけではありません。低予算でも超面白いものが沢山あるんです。
そこで今回は、「io9」がまとめた「多くの大作よりもずっと面白い低予算映画25選」をご紹介。ちなみに、ここで言う「低予算」は2013年のドル換算で30億円以下。以下で紹介する作品は、30億円よりもずっと安い制作費のものばかりです。 それでは、続きから詳細をどうぞ!
■『トロール・ハンター』
密猟を調べる学生達が、森で政府に命によりトロールを狩る「トロール・ハンター」に出会い、そのハンティングの様子や政府との関係を知っていく、というノルウェーの映画。トロールは小さいイメージを持っている人が多いと思いますが、本作に出てくるのトロールは巨大です。モキュメンタリーなので、狩りの実録映画のように感じられて、面白いですよ。
■『マルコヴィッチの穴』ジョン・マルコビッチの頭の中に入れる不思議な穴が登場する、チャーリー・カウフマンの奇想天外なストーリー。ジョン・マルコビッチを選んだセンスと、当時(今もですが)セクシー女優としてブレイクしていた、キャメロン・ディアスを単なるオバさん役に抜擢したことで話題になりました。
■『アタック・ザ・ブロック』奇才クエンティン・タランティーノ監督も絶賛のイギリス映画。エイリアンとストリートギャングの戦いを、コミュニティや犯罪、後悔といったものと共に描いています。悪ガキたちの面構えと、もじゃもじゃエイリアンの造型が素敵です。
■『デモンズ95』俳優ルパート・エヴェレットが、夜な夜なゾンビとなって蘇る死人を処理する墓守を演じるイタリアのホラーラブコメディ映画。エヴェレットと美女ゾンビのラブシーンが楽しめます。デブのアシスタントとの掛け合いも最高。ゾンビがメインのストーリーというより、「ゾンビは出てきて当たり前。ゾンビの存在に疑問は持っていない」感で成り立っていて、そのゾンビと恋に落ちているから困っているというのが良いです。パッケージとタイトルが安っぽいのが残念...。このせいで見ていない人が多いのではないかと思います。
■『インシディアス』毎年、低予算ホラーが山のように作られますが、『インシディアス』は別格です。監督と脚本が『ソウ』のジェームズ・ワンとリー・ワネル、製作は『パラノーマル・アクティビティ』のオーレン・ペリと、低予算ホラーの天才達が結成して作った作品だけあって、独特な雰囲気と忍び寄る恐怖をうまく表現したカメラワークが印象的。日常生活の中で、ちょっとしたイライラが積もっていく様子もうまく描かれていて、ホラーでありながら、家族の心理も伝わってくる良作です。
■『マインド・シューター』近未来のメキシコでは、若者が体にコードを繋げ、バーチャルの世界でアメリカに出稼ぎに行っているという作品。バーチャルの機械は決して安全ではなく、若者達はリスクを背負いながらお金を作っている...という、今も未来もメキシコは状況があまり良くないのだ、と考えさせられる内容です。
■『プレスリーVSミイラ男』自身の死を偽り、老人ホームで余生を過ごしていたエルビス・プレスリーが、自分のことをジョン・F・ケネディだと信じている黒人男性とともに、ゾンビと戦うというお話。B級臭がプンプンしてきます。 年をとってもイケイケなプレスリー。彼が生きていたら、こんな風になっていたのかもしれない、と思うと、思わず吹き出したくなるようなシーンも沢山あります。ブルース・キャンベルは、これまでにも一風変わった映画を作ってきましたが、これほど奇抜なストーリーは無いでしょう。
■『クロニクル』ジョッシュ・トランク監督の長編映画デビュー作品。高校生3人組が、ある日、山で見つけた穴の中で強烈な光を浴び、超能力に目覚めます。最初は、超能力をほんの悪戯程度に使っていたものの、次第に力をコントロールできなくなってしまう...というストーリー。内容はビデオテープが見つかったが、その中にはこんな内容が映っていた...というファウンド・フッテージ形式で進みます。
■『ロボット・アンド・フランク』現役を退いた元宝石泥棒のフランクが、引退後の相棒に選んだのは歩いたり喋ったり、体や精神状態のサポートをするロボット。ロボットの性能の良さに驚いた元泥棒は、このロボット利用して盗みを企てます。 老人とお世話ロボット。このコンセプトだけなら、超高齢化社会に突入する日本が目指すべき未来の姿にも見えますが、扱う老人がこの映画のようにワルだったら困りものです。
■『クレイジーズ』ジョージ・ロメロ監督の『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』のリメイクである本作。小さな町の川に墜落した軍用機から流れ出た汚染物質のせいで、村人が凶暴化。軍は事態の収束を測るために、村を消却しようと計画するというストーリー。リメイク版は、オリジナルよりもサスペンス要素が強いです。
■『アナザー・プラネット』ある日、突然空に現れたもう一つの地球。飲酒運転していた主人公は、その地球を見ていて交通事故を起こし、運転手の家族を殺してしまいます。罪を償った後も罪の意識に苛まれる女性は、自分の正体を隠したまま被害者に会いにいきます。そこからの展開は驚きの連続。特に、パラレルワールドのもう一つの地球が絡むラストには衝撃を受けるかもしれません。
■『ターミネーター』『コナン・ザ・グレート』のヒーローのイメージが強かった鋼鉄の男、アーノルド・シュワルツェネッガーを悪役に起用し、大ヒットしたジェームズ・キャメロンのSF映画。への字口と表情を変えずにひたすらサラとカイルを追う姿は恐怖そのもの。劇中の「I'll be back.」はシュワルツェネッガーが公の場で何度も使う有名な台詞となりました。続編の『T2』は、言わずと知れた最高傑作です。
■『月に囚われた男』デビッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの長編映画監督作品。月の裏にある採掘基地でたった一人で作業をする男。『2001年宇宙の旅』や『ブレードランナー』等のSF映画を彷彿させるシーンが多々ありますが、約5億円という低予算で作り上げた内容にしては見事です。また、ほとんどのシーンの出演者が、主役のサム・ロックウェルだけというのも凄い。
■『地球最後の男たち』デヴィッド・ブルックナー 、ダン・ブッシュ 、ジェイコブ・ジェントリーの3人が、「謎めいたシグナルが人々を凶暴化させ、殺し合いに発展する」という内容を1章、2章、3章に分けて個別に作った、インディーズスリラー。それぞれの監督の個性が各章に色濃く出ているので、別の監督が作ったということを理解していないと、混乱するかもしれません。
■『28日後...』制作費は約8億円という低予算映画。ドラマティックな演出や展開はあまり無く、派手なアクションもありませんが、ダッシュするゾンビのお陰で、スピード感のある新しいジャンルのゾンビ映画として成功しました。
■『ショーン・オブ・ザ・デッド』コメディアンで俳優のサイモン・ペグ、ニック・フロスト(前述の『アタック・ザ・ブロック』にも出演)、監督で脚本家のエドガー・ライトの仲良し3人組が手がけた、ジョージ・ロメロ監督作『ゾンビ』へのリスペクトに満ちた作品。 ヘタレな男が、母親と元恋人を守るためにゾンビと戦う様子を描いたゾンビコメディで、日本では劇場未公開でしたが、知る人ぞ知る名作です。仲良し3人組の新作『ザ・ワールズ・エンド』も楽しみですね。
■『タイムクライムス』タイムパラドックスと繰り返されるストーリー展開が、見る人を混乱させるスペイン映画。突然やってくる暴力と不気味な恐怖が中々の作品です。
■『Safety Not Guaranteed』「過去に一緒にタイムトラベルしてくれる人を募集。安全の保証は無し」と新聞の広告欄に投稿した男性と、その謎に包まれた男性をインタビューすることを命じられた新聞社のインターンを巡るコメディドラマ。監督は、大ヒットシリーズの最新作『ジュラシック・パーク4』でメガホンを取ると報じられている、コリン・トレバーロウです。
■『エクストロ』1983年に製作された、どうしようもないエイリアン映画。エイリアンにアブダクションされた父親が、人間界にとんでもない方法で戻ってきて、息子を取り込みやりたい放題。この父子、非道極まりないです。ストーリーは「これぞ、低予算B級の極み!」というほど陳腐で突っ込みどころ満載。概要を書こうと思いましたが、盛りだくさんすぎてまとめきれませんでした。是非、ご自分の目で見て、その下らなさ素晴らしさを知ってください。
■『ピッチブラック』『リディック』の前作にあたる本作。荒廃した惑星には肉食エイリアンがいて、生存者を襲います。エイリアンと戦うためには、手術によって強化された凶悪犯罪者のヴィン・ディーゼルを頼るしか無い、という何となく聞いたことのあるようなストーリーが展開。凶悪犯罪者と言われるリディックですが、けっこう良い奴です。 この映画は期待して見ると裏切られますが「低予算映画」であることを念頭に見れば、評価できると思います。果たして、最新作の邦題はどうなるんでしょうか...。
■『ゼロフィリア』セックスすると体が男から女に、女から男に変化してしまう特殊体質を持つひとたちのドタバタラブコメディ。自分の体が変化したのに気付くシーンが、ありきたりではありますが面白いです。
■『グエムル -漢江の怪物-』日本でもヒットした、韓国のモンスター映画。怪獣を軸に、テーマが家族や兄弟とコロコロと変わっていく本作は、韓国映画や韓国ドラマに慣れている人、細かいことは気にしないという人はとことん楽しめる作品です。訳者個人的としては、ペ・ドゥナが好きなのでお勧め。
■『ぼくのエリ 200歳の少女』内気な僕は、隣の家に引っ越してきたミステリアスな少女に恋をした、彼女にはある秘密があった...。こう概要を書くと、なんだか『隣の家の少女』のようですが、『ぼくのエリ 200歳の少女』の少女の秘密とは、彼女がヴァンパイアで、町でおこっている殺人事件の...。美しい背景と共に、キャラクター展開が巧みなのも見所のひとつ。『クロユリ団地』に大きな影響を与えた作品でもあります。
■『ロボコップ』『ターミネーター』同様、低予算で作られ大ヒットを記録したアクション映画。リメイクはオリジナルの予算の10倍だそうですが、オリジナルのスリルを超えることは無いでしょう。
■『プライマー』エンジニアだった過去を持つシェーン・カルースの初監督作品。偶然、タイムマシンを作ってしまったふたりの男は、私利私欲のためにタイムマシンを利用します。しかし、タイムトラベルのタブーである「ダブル分身」の出現によって、うまくいっていた男達が猜疑心に飲み込まれていきます。何度も繰り返し見て、とことん納得したくなる、しかも、見れば見るほど、細部まで考え込まれた設定に驚かされる作品です。
[via io9]
(中川真知子)
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