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研究によると、人間のテレポーテーションは想像以上に現実的ではないらしい

2013/08/07 23:30 投稿

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テレポーテーション 可能性 物理学


中にハエが飛んでいないか、自分が飛ぶ前によくチェックしましょう。

イギリスの国立レスター大学で物理学を勉強している生徒さんが、地球にいる人間を宇宙のどこかへテレポーテーションさせるとしたら、どれくらいのエネルギーが必要になるのか? 計算してみたのだそうです。

夢のある話ではありますが......。今ある現代科学では、まだ期待できるような結果は出なかったようなんです。その結果に急ぐ前に、これまでのSFドラマや映画であったストーリーなどを交えながら、ちょっと考察してみましょう。
 


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SFドラマや映画では普通に登場する空間転移マシーン。コレを使えばA地点からB地点まで、物質が一瞬にして移動できるコトでお馴染みです。

『スター・トレック』にも登場しますし、うっかりマシーンの中にハエが混入してしまったがために、自分と合体してしてしまい、恐怖のハエ人間になってしまった科学者の物語を描いたSFホラー『ザ・フライ』なんかは特に、テレポート装置ありきで進むお話です。


テレポーテーション 可能性 物理学

スター・トレックでのテレポーテーション


科学的な装置などはサッパリ解りませんが、メカニズムとしては...生命体である人間を分子レベルで一度分解し、転送先で瞬時に再構築するわけです。

いや、もしかすると、A地点にいるオリジナルを完全にコピーしたのち、そのオリジナルを何らかの方法で殺処分し、B地点では3Dプリンターのように完全に新しい素材で自分自身が再構築さるだけなのかもしれません。これはテレポートというよりも、クローン人間を造っているのと同じですよね。

2006年の映画『プレステージ』は、奇術師が瞬間移動しているかのように見せながらも、実は自分のクローンを生成していた、というストーリーでした。ちなみに『GANTZ』の黒い珠は、レーザービームだけでその作業をやってのけていましたよね。もしや、あれは光回線なのでしょうか?

ともあれ、『ザ・フライ』は悲惨でしたし、電子の世界に転送させられてしまった『TRON』も大変な大冒険を課せられてしまいましたし、テレポーテーションは失敗すると、かなりヒドい結果になるコトが、これまでの多くのSF映画で描かれています。仮に今その装置が無料でお試しできたとしても、ちょっと使ってみるのは躊躇してしまうかもしれません。

さて、なんとトランスポーテーションの全ては、そのプロセスにトンでもなくアホみたいな時間を要するため、周波数のバンド幅が速さの決め手となるそうです。全くもってインターネットと同じ理屈のようですが、まぁネット回線を使うからには電力が必要ですし、その辺は理解できます。レスター大学の4年生の生徒さんは、学校で学んでいる物理学と天文学の見地から、そのように導き出したのです。

この学生さんは、はやりSF映画のセオリーに則ってオリジナルの人間を、いったん分子情報としてスキャニングし、転送先で再構築する場合の計算を行った模様ですが、とにかく最初のスキャンに時間がかかります。そりゃ細胞ところか遺伝子、分子、もしかすると原子のレベルまで細かく分析するワケです。病院でのMRI検査なんかとは比較にならないでしょうね。それに、その原子ひとつが転送先で欠けていたとしたら、似ていたとしても全くの別人になってしまうコトだって大いに考えられるでしょう。

しかし、この学生は各細胞内に在る、ヒトゲノムを作るべくペアになったDNAを転送すると定義しました。体内に有る細胞や一般的な人間の脳ミソが持つ細胞などを考慮した結果、各細胞は100億個の情報を持っているとし、パチパチっとソロバンを弾いた結果、出た人間の細胞数はなんと... 2.6x10^42というワケのわかんない数字に。コレ、もしちゃんとゼロを並べてみますと...

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2,600,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000個
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となります。まさに人体の不思議ですネ。

SF映画では、ほんの2~3秒しかかからないテレポーテーションですが、もしも現代科学が持つ29~30ギガヘルツというバンド幅を使った場合にかかる時間は...コレまた気の遠くなるような、4.85x10^15年かかる、という答えが出ます。解りやすく置き換えてみますと、現在ある宇宙の年齢よりも、35万年も長い時間が掛かってしまうのだそうです。

あまりにも非現実的な時間がかかると同時に、そのために必要な莫大なエネルギーを、それだけの時間ずっと供給し続けなければいけないのも、それはそれでハードルが高い現実です。また大地震でどこかの発電所が事故に遭い、計画停電にならないとも限りませんし、宇宙人や巨大怪獣による来襲があるかもしれません。またはとある寄生菌が爆発的に広まって、電力会社の人たちがキノコ化してしまわないとも限りません。

ですので、この定理を考えだした学生さんは、高速かつ安い電力で行えるテレポーテーションは、現在のデータ転送技術では常識の範囲を飛び越えて逸脱したモノである...という言葉で締めています。

しかし、「現在のデータ転送技術」というコトはですよ? もしかすると将来にもっとパワフルなエネルギーとデータ転送技術が開発されれば、現実味も増してくる可能性がグっと高まります。たとえば、宇宙にソーラーパネルを浮かべて太陽光発電をしようというアイディアもあるそうですし、複数の回線にわけてデータを並行して送る方法もあったりします。完全に不可能でも非現実的でもないかもしれない可能性は...一応あるにはあるんです。

それに、コレはかなりSFじみたお話になってきますが、たとえば身体を転送するのに制限を設けて、生体情報データのみを現地のサイボーグなどに転送してしまう方法もなくはないそうです。となると、神経系も血液も、臓器のデータなども送らなくて済むので、転送データに圧縮でもかけて、「ファイル転送サービス」で送れば3ヶ月くらいで新しくメカ沢新一としてのメカ人生が送れるかもしれません。

今現在のテクノロジーでは非現実的ですが、決して不可能ではないこのトランスポーテーション。わざわざ銀河鉄道に乗らなくても良いように、今のWi−Fiが100億倍くらい高速になる時代になるまで、とりあえずコールドスリープでもしておきましょうかねぇ?

一応PDFで2ページにまとめられた研究結果が公開されています。難しい方程式なども掲載されているので、我こそはという理数系の方々は、新しくドラム式の亜空間物質転送装置にでも応用してみてはいかがでしょうか? 


Human teleportation is far more impractical than we thought[io9]

(岡本玄介)

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