なんと! 憧れの暗黒郷は隣の国にあったようデス。
かつては破竹の勢いだった韓流ブームも落ち着きを見せる昨今、マーケティング戦略の下で生産された美脚美女たちが、歌い踊っていたあの頃のポップで華やかでユートピア的な世界はすでに過去の存在。「io9」によると、今のK-POP界では、ソレとは真逆にディストピア的な音楽プロモーション・ビデオがキテいるようです。
この世の終わりかの如く描かれた映像は、まるでSF映画のよう......。以下で韓国のポップ・アイドルたちによる、13のビデオをチェックしてみて下さい。
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T−ara『DAY BY DAY』
映画『マッドマックス』を思わせるような、荒廃した都市で繰り広げられる若者たちの抗争が描かれているようです。音楽性はそんなに重くもないのですが、PVはドラマ仕立てでチョイチョイ小芝居が入ります。最後はスパっと終わらず、メイキング映像が5分ほど続きます。
Big Bang『Fantastic Baby』
音楽が禁止された土地が舞台のようで、警察とデモ隊のようなグループが衝突しています。そんな中でメンバーたちが多種多様な出で立ちで順番に登場するのですが、奇抜なヘアスタイルやメイクアップ、コスチュームに身を包んだBig Bang各自の肉体美がチョイチョイ強調され、ダンサブルな楽曲がぶーんしゃからかしています。
Exo−K『Mama』
1番目の『DAY BY DAY』同様に、ストーリー・テラーによるナレーションから始まりますが、英語な分だけ解りやすく、古いSF映画を観ているようです。楽曲もスペース・オペラのようでそんなにポップしておらず、なかなかカッコ良いです。ちなみに12名いるメンバーは、 あたかも光とGenjiよろしく、Exo−KとExo−Mといった2グループに別れており、水や炎、果てはレーザー光線を操れるだけでなく、映画『ジャンパー』同様、テレポート能力を持っています。
Brown Eyed Girls『Sixth Sense』
K-POP界で描かれるディストピアと言うと、統制のとれた権力側と、自由を求めて反乱する若者たちとの対立いう構図が多いようです。しかしこのグループは、全員が女性でセクシー押しという、ゼヒとも反乱しまくって欲しい4人組です。ホントに目が茶色いのでしょうか?
B.A.P『Power』
グループ名は、「Best Absolute Perfect」の頭文字を取ったものだそうで、最高に絶対的にカンペキなお兄さんたちです。
このPVは宇宙ステーション的な室内や、スペースシップが地面にブッ刺さった荒野が舞台の1曲。残念ながら歌の内容は解りませんが、曲調もメンバーの雰囲気も、オレ様オラオラ系ですね。何を吹き付けているのか判りませんが、最高に絶対的でカンペキにスプレー缶の扱いがとても上手です。
Beast『Breathe』
冒頭の酸素補給といい、ブリーズ......つまり息をするコトが大事ですよという歌でしょうか。ただでさえ退廃的な場所なのに、雨まで降ってきて大変だなぁと思っていると、最後は行き倒れている女の子に酸素補給のお返しで終わります。心音が聴こえてくるので、これで蘇るコトができたようですね。良かった良かった。
Super Junior『Sexy, Free and Single』
ディストピアというよりは、近未来SF的なセットで踊り歌うのみで、特にストーリー性はないビデオです。大所帯でシャレオツなお兄さんたちは、お色気があって自由で独身なのですね。
Big Bang『Love Song』
先ほども登場したBig Bangの皆さんです。音楽ビデオに有りがちですが、終末を迎えた筈の世界で、ビシっとフォーマルに着飾った人々が情熱的に歌うのも、また流行りなんですね。
まるでU2の名曲『With Or Without You』を思い起こさせる音楽で「オレはこのラヴ・ソングが嫌いだ」と繰り返して歌っています。ラストは乗用車が落っこちてきて、爆発・炎上! もしこれが何かを暗喩しているのでなければ、全く意味を成しませんが......実際はどうなのでしょうねぇ?
T−ara『Sexy Love』
こちらも先ほど出てきたグループ。とてもロボットのパントマイムがお上手な7人のセクシーお姉さんたちですネ。冒頭からカノジョたちは、殺風景な倉庫のようなセットで、アクション・フィギュアのようにブリスターに収まっています。しかし箱に入ったセクシーでラヴいロボットたちは......某オリエ○ト工業の商品とは全く関係ないと思いますが、ぜひともフルコンプリートしてみたいかなと。
Wonder Girls Ft. Akon『Like Money』
バイオニックで機械仕掛けなお姉さんたちは、T−araさんたちとは違って、ダンスの動きが全くもって人間のような滑らかさ。
カンゼンに映画『トロン:レガシー』を意識していますが、これはデジタルの世界ではなく、どこかの惑星が舞台となっているようですね。英語圏をターゲットにしているためか、黒人ラッパーを起用し、全編英語で歌われております。サビの歌詞は「お金のようにワタシを愛して、クルマのようにワタシを愛して、ドコに居ても」と言っていますが......そんなに消費して欲しいのであればお任せあれ。
Junsu『TARANTALLEGRA』
衣装の肩パッドがトンがっているJunsuさん。火事になっている部屋や、横殴りの吹雪が舞う場所など、寒暖差がメチャメチャ激しいというのに、落ち着いて踊れるのはスゴい適応能力ですね。しかしどの男性アイドルも、クッキリと目張りが入っていますが......これはK-POP界の常識なのでしょうか?
4Minute『What's Your Name』
とにかく名前を知りたがるお姉さんたちがビンビン言ってます。ビデオを拝見していますと、普通になんてことない感じで進行していますが......2分半あたりから突然、街が恐怖のズンドコに堕ちます。
いきなりどういうワケか、さっきまで平和だった街が荒れ果て、住人たちがゾンビ化してしまうからもう大変です。いきなり『28日後』の話になってしまったのでしょうか? T-araの『Lovey-Dovey』といい、楽曲の途中でゾンビ化が始まり、『スリラー』にようになってしまうのも、K-POPの特徴なのかもしれません。
VIXX『On and On』
韓国製『マジンガーZ』として知られる『テコンV』にソックリな顔がチョイチョイ登場するこのビデオ。どうやらこのロボットは、VIXXの7番目のメンバーとして扱われているマスコット・キャラクターなのだそうです。月面世界のような舞台で歌うシーンもありますが、VIXXの『テコンV』が後ろで倒壊している舞台でのシーンもまた、『猿の惑星』のラストのようで退廃的と言えましょう。
というワケで、最近のK-POPはSF的だったり、世紀末的だったりする映像がやたらと多いのがお解り頂けたかと思います。10数年前のアメリカン・ロック・ミュージックから、このような映像が多く出回ったのですが、今では韓国のポップ・ミュージック界でそのテイストが真似されているのは興味深い流れなんじゃないでしょうかね。
今後のK-POP音楽映像は、どのようなスタイルになっていくのでしょうか? まさかカンナム的なスタイルに統一されちゃったり......?
The Shiny, Dystopian and Post-Apocalyptic K-Pop Future[io9]
(岡本玄介)
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