ロボット人権問題。殺人ロボットの責任は一体誰がとるのか?


人間を介在する必要の無い、ターミネーターのような完全自立型兵器が生み出され、実戦されるようになったら、その責任は誰が取るのでしょうか? 

先日、感情を持たない「殺人ロボット兵器」に関して、国連人権理事会(ジュネーブ)で、超法規的・即決・恣意的な処刑問題を担当するクリストフ・ヘインズ国連特別報告者が、「ロボットに生死(決定)の権限を持たせるべきでない」と主張し、世界的に広まる前に、研究開発の一時停止を求める報告書を提出しました。

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もし(「殺人ロボット」を)展開する場合、それは人間になりすますでしょう。」とヘインズ国連特別報告者は警告します。彼の見解では、「米国は、この技術に魅了されることでしょう。なにせ、人間の決断は、ロボットよりもしばしば遅く、なにより人間は感情によって思考が曇ることがあるのですから。」

「同時に、人間は時としてロボットと異なり、思いやりや慈悲の心を持ち、また、状況を理解することで、より寛大なアプローチをすることが出来るのです。」と強調しました。

ヘインズ国連特別報告者は、殺人ロボットがもたらす戦争への影響などを説き、「今が殺人ロボットの開発を一時停止する最良のタイミングなのです。」と強調しました。

UNより一部抜粋


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数年前に、南アフリカでロボット大砲が突然暴走し始め、9人の兵士が死亡。14人が重傷を負うという事故がありました。「気の狂ったロボットの管理者は、こんな恐ろしい事故を起こした原因となるバグを解明中」と報じられています。人間が生み出したはずのロボットが、まるで意志を持ったように人間を襲うこともあるのです。そして、この件に関して言えば、その暴走はバグの一言で片付けられてしまっているようです。

また、ケースは違いますが、スウェーデンのとある工場で、重い石を持ち上げるロボットが修理工の頭を掴み、持ち上げ、肋骨を4本折る重傷を負わせたという事故もありました。修理工がロボットの電源を切ったと勘違いしていたという背景もありますが、事故の責任はロボットを設置していた工場側が負うこととなり、2万5000クローネ(約37万円)の罰金を支払いました。

人間を殺傷する力を持つロボットの暴走は、殺人ロボットでなくても既に起こっています。万が一、ターミネーターのような人間と変わらない姿形をした、人間を介在する必要の無い殺人ロボットが開発されたら、どうなってしまうのでしょうか? 一度でも殺人ロボットが戦場に解き放たれたなら、他国も同様の殺人ロボットをもってして応戦することになるでしょう。それら殺人ロボットが暴走しないと言えるのでしょうか?

「io9」は、ヘインズ国連特別報告者が指摘するように、「即決処刑」のようなものに関する理解を変えるだけでなく、法律の見直しをする必要もあると書いています。その上で、殺人ロボットが味方の戦士を誤って殺してしまった場合などの責任は誰が負うべきなのかを考えるべきかもしれません。


[via io9

(中川真知子)

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