「表」を書いたら「裏」も書きたくなるのが男の性(サガ)である。そんな「修羅の刻」的な展開に憧れてしまうのだ。男子なら。表ではクリスマスに遊ぶと良い作品を紹介してきたが、ここでは逆に名作にもかかわらず、クリスマスにはあまりオススメできない作品たちを紹介していく。
興味本位にプレイしてみるのは止めはしないが、その結果友好だった人間関係が破綻する可能性も高い。そうなった場合、編集部と筆者は一切責任は取らないのであしからず。では、続きより御覧あれ。
■っ...! せっ...! 押せっ......! 押せっ!
・アイスクライマー
(バーチャルコンソール/500Wiiポイント)
待ってるよと言いつつも手が滑ってジャンプしてしまうことはよくあることである。もしくは手伝ってあげよう! その親切心で下から突き上げた結果、偶然にもツララが落ちてきたり、カラスが横からマッハで襲ってくることもまた、偶然の産物なのである。
山には魔物が住む。アイスクライマーの本質はまさにここにある。協力して氷を砕き、左右から押し寄せるアシカを倒し、力を合わせて断崖を制覇。ファイト一発! のような友情が芽生えたと思えば、結局ふるいにかけられるのだ、勝者と、敗者に。
「わるいな、このコンドル1人乗りなんだ。」
なぜ任天堂はコンドルを2匹飛ばしてくれなかったのだろうか? せめて2匹居れば、こんな醜い殺し合いをしなくて済んだのに。ぼくは彼の背中を押さなくて済んだのに。
■幸せなカップルでも急に絶望が降ってくることもある
・スプラッターハウス(アーケード版)
(バーチャルコンソール/800Wiiポイント)
山の中をデートしていたら、急に雨が降ってきたもので。都合よく見つけた洋館に飛び込んだら。とんでもないビックリハウスだったわけで......。北の国から的にナレーションするならばこんな感じである。スウィート・ホーム、弟切草、バイオハザード、ハウス・オブ・ザ・デッドなどを代表とする「謎の洋館」シリーズの橋がけともなった作品である本作。
その名のとおり、出てくる敵キャラの容姿はどれもオカルティックなものばかりで、皮膚の無いやつ、半分溶けたやつから、脳みそ飛び出るやつなどなど、全編通してグログロ。ナタや角材で敵の頭をスパコーン! とぶっ飛ばしたりと、余すところなくスプラッターであり、ストーリー的にもかなりの鬱展開が待っているため、良好な関係を保ちたいのであれば、間違ってもクリスマスの晩に恋人と一緒にプレイしてはいけない。
なお、PCエンジン版もバーチャルコンソールとPS Storeで販売されているが、オリジナルの操作感と雰囲気、サウンドを楽しみたいのであれば、やはりこのアーケード版をセレクトすべきだろう。
■音が、あの音が聞こえる。あの音が。
・クロックタワー
(バーチャルコンソール/800Wiiポイント)
実はこちらも「謎の洋館」シリーズである。洋館万能説。ホラーゲームの鉄板でありながら、飽きずに何度も登場するシチュエーションは、どうしても見えざる力の存在を感じさせられる。
本作はそんな洋館に閉じ込められた若干老け顔の14歳ジェニファーを操作してなぞのハサミ男からとにかく逃げる。とにかく逃げる。他のゲームの主人公のような攻撃手段なんてない。倒せない。静かに忍び寄る恐怖は遠くから、近くから、上から、下から。確実にプレイヤーを追い詰めていく。
なぜクリスマスの晩に、何度も部屋の鍵を確認したり、押入れの中や天井を気にしなくてならないのか? なぜ木が軋むビシィという音に全身を震わせるようにならないといけないのか? 温かい部屋なのに、なぜ僕の背中はこんなに寒いのだろうか。さっきから耳元で聞こえるジャキンジャキンという音は何なのだろうか......。ああ、振り向くな。振り向くな。
さて、ひとまずこの3本で「裏」面を閉じようと思う。注意して欲しいのが、ここで紹介したと言っても、これらは決してクソゲーというわけではない。逆にどう控えめに見ても名作と呼べるものばかりで、未だ人気の高い作品である。
そう、シチュエーションがあまりにもクリスマスにミスマッチなだけなのだ。できることならば、またクリスマスとは別の日に楽しんでみてもらいたい。
アイスクライマー[バーチャルコンソール]
スプラッターハウス(アーケード版)[バーチャルコンソール]
クロックタワー[バーチャルコンソール]
(小暮ひさのり)
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