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バーチャルリアリティが実現していない本当の理由

2013/05/12 23:04 投稿

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バーチャルリアリティが実現していない本当の理由


SF映画を見たり、ゲームをしていると頭をかすめる「私たちも仮想空間に住んでいるのかもしれない」というアイディア。これまでにも何度かKotakuで取り上げて来た内容ですよね。しかし、Kotakuの姉妹ブログ「io9」によれば、バーチャルリアリティが実現していない本当の理由があるそうなのです。

そこで今回は、カリフォルニア州立大学の研究者達がラットを使った実験で得たその「理由」を紹介します。それでは、以下から「io9」より抜粋した内容をどうぞ。
 


【大きな画像や動画はこちら】

 
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私たちの脳の海馬領域には、「場所細胞」と呼ばれる錐体細胞があります。その場所細胞は、特定の場所を通ると発火し、頭の中に、地理的イメージである「認知地図」の構築を助ける働きをしてくれます。

科学者は、ラットは認知地図を構築するのに多くの知覚情報を必要とせず、遠い視覚イメージを把握することと、自分自身で動き回る能力、そして、おそらく幾つかの固有受容の定位さえあれば充分ではないかと理論立てました。しかし、パスカル・ラヴァサード氏らの最新の研究によると、それだけでは不足だということが明らかになったのです。

この研究で、研究者達は、見たところ全く同じ世界をふたつ作りました。ただし、ひとつはリアルで、もうひとつはバーチャルリアリティです。それぞれの部屋の中心には直線のトラックと、四方の壁には全く異なった視覚的合図を設置しました。これらの合図は、どちらの部屋もほぼ同じですが、バーチャルリアリティの部屋のラットは体を固定し、バランス等の重要な空間的合図を感じられないようにしました。つまり、バーチャルリアリティに接する間に得られるデータは、視覚的合図と自身の動きのみという状態にしたのです。


バーチャルリアリティが実現していない本当の理由


研究者達は、6匹のラットの神経活動を計測する為に四極真空管に繋げ、リアルとバーチャルリアリティの両方のトラックを走らせました。その結果、バーチャルリアリティで走ったラットの場所細胞は20パーセントしか活動しておらず、リアルで走ったラットの45パーセントと比べて、半分以下という低い数字が出たのです。

つまり、視角と自身の動きだけでは、場所細胞の活動はそこまで活発にならず、ラット(と同じように人間も)の場所を適切に記号化するには、バランスやその他の感覚的合図が必要であるということが分かったのです。それだけでなく、研究者達は、匂いや音、そして質感や構造といった合図も、ラットが自分の場所を正しく把握するために必要なのではないかと推測しています。

また、スキャンを見ると、リアルでは場所を正確に記号化していたのに比べ、バーチャルリアリティの中でなされた空間の記号化は距離だけだったということにも研究者達は気付いたのです。

この研究から、私たちの脳は、しっかりとした認知地図を構築する為には、様々な感覚の合図が必要だということが明らかになりました。


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Multi-Sensory Control of Hippocampal Spatiotemporal Selectivity. via Science

[via io9

(中川真知子)

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