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BASIC&マシン語世代直撃な、70〜80年代の素晴らしいCGアニメ

2013/04/12 17:06 投稿

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BASIC&マシン語世代直撃な、70〜80年代の素晴らしいCGアニメ


みなさんは、『ジュラシックパーク』を初めて見たときの興奮を覚えているでしょうか? 私は画面の中を自由に動き回るCGで描かれた恐竜を見て、「とんでもない時代がきた」とゾクゾクしたことを今でも鮮明に覚えています。恐竜を初めて目にしたグラント博士の「How did you do that?」の台詞を、訳者も映画を見ながら何度も繰り返し呟いたものです。しかし、『ジュラシックパーク』よりも前の時代からCGは映画の中で使われていました。あの恐竜たちは、試行錯誤されてきたCG技術の集大成だったのです。

今日は、そんな『ジュラシックパーク』より以前に作られた、70〜80年代のランドマーク的CG作品10本を紹介したいと思います。「プリミティブなオブジェクトを右から左に動かしただけで数十万もらえた」というCGバブルの面影を垣間みることができるかもしれませんよ。

それでは、以下から詳細をどうぞ。
 


【大きな画像や動画はこちら】

 
1)『ウエストワールド』(1973年製作)


A・ジャンケル著の「Creative Computer Graphics」には、こう記されています。「長編映画で初めてコンピューターグラフィックが使われたのは、ロボットの銃の男が登場する『ウエストワールド』です。ユル・ブリンナー演じる銃の男の視界は、『量子化』されたパターンのモザイク加工がされており、ロボットの視界がどのように見えているのかを効果的に見せることに成功しています。

『ウエストワールド』に使われた技術は、写真のピクセルをサンプリングし、光の度合いが50から60ピクセルのものに平均化し、赤、青、そして緑のシグナルに分けるものでした。できあがったものは観客に『見たことのある画像』と認識させるには充分なもので、特に物体が動いた時に効果的でした。」


2)『エイリアン』(1979年製作)


驚くことではありませんが、初期のCGは『スターウォーズ』のデススターの青写真や、『ジェダイの復讐』のパイロットコックピットにでてくるホログラムのように、コンピューターの視覚化なんかに頻繁に使われていました。リドリー・スコット監督の『エイリアン』で宇宙貨物船ノストロモ号が飛行している時の景色もそのひとつです。

最初に、Lodge-Cheeseman Ltd.とSystems Simulation Ltd.の技術者達は、ポリスチレンの風景をデジタル化し、データベースにしたいと考えていました。しかしその風景は山や丘があり、非常に複雑な形状をしていたため、データセットが膨れ上がることが予想され断念。そこでSystems Simulation Ltd.のアラン・サトクリフ氏はランダム風景ジェネレーターを作り、グリッド上に表示しました。別のプログラムでは谷のパラメータを作成し、全体に凸曲面を与え、天体風景らしく見せています。また第3のソフトウェアルーチンでは、丘の傾斜を粗くして雨ざらしの外観を表現しています。


3) 『スタートレックII カーンの逆襲』 (1982年製作)


後のピクサーとなった、ルーカスフィルムのコンピューター部門「グラフィックスグループ」がジェネシス計画のCGを担当しました。

約1分のシーケンスに詰め込まれた技術は目を見張るものがあります。プログラマーのひとりは、背景に見える星を、地球から11.2光年離れた所に見える星と完全に一致させました。また、ジェネシス装置の爆発には、ビル・リーブスが考案したコンピューターアニメーション初のパーティクルシステムを使用。ジェネシス装置の最初の爆発がパーティクルを作り、それが惑星に円形の光を形成し、次第に大きくなって惑星の表面をおおいつくすように広がって行きます。

前述したA・ジャンケル著「Creative Computer Graphics」によると、リーブスと彼のクルーはパーティクルの「速度、円の半径、吐出方向の角度、サイズ、存続期間、そして発生率」を変化させたそうです。このルーカスフィルムのチームは、後に『ヤングシャーロックホームズ ピラミッドの謎』で、初期のCGキャラクターのひとりであるステンドグラスの騎士を担当しています。


4)『トロン』(1982年製作)


ディズニーの1979年映画『ブラックホールTHE BLACK HOLE』にもCGは使われていますが、使われている量は『トロン』の比ではありません。

CG製作に参加したのは、RA&A、MAGI、Triple-I、Digital Effectsの4社。彼らは、元々、テレビコマーシャルや「TV movie of the week」のオープニンググラフィックでそのスキルを磨いていました。Digital EffectsはメインタイトルとBitと呼ばれるキャラクターを、そしてMAGIはゲームグリッドエリアのライトサイクルやタンクなどをSythaVisionと呼ばれるプロセスを使って作成。複雑な形状は作れないまでも、動きは滑らかでスムースでした。


5)『High Fidelity』 (1983年製作)


ロバート・エイブル氏が創設したRA&Aは、『アンドロメダ...』や、ザ・ジャクソンズのヒット曲「Can You Feel It」のミュージックビデオ、またSimutrek Incがリリースしたアーケードゲーム『Cube Quest』の背景などで知られていますが、特筆すべきはこのショートフィルム『High Fidelity』でしょう。

2分弱の本作は、CG界の大きなマイルストーンとなりました。Abelのコンピューターアニメーションへの主な提案と言える「ラスター=グラフィックス」を証明することとなり、Wavefront Technologies社の創設にも繋がりました。


6)『スター・ファイター』(1984年製作)


1960年代初頭、第2次世界大戦で使用された対空砲の照準からアナログコンピューターとフィルムカメラのハイブリッドを作ったジョン・H・ホイットニー・シニアは、コンピューターアニメーションの先駆者と言えます。

彼の息子たちは全員が映画製作に携わることとなり、中でもジョン・ホイットニー・ジュニアは、映画『2010』やミック・ジャガーの「Hard Woman」のミュージックビデオでデジタルエフェクトを担当したDigital Productionsの共同創設者になりました。同社の目玉と言えば、映画『スター・ファイター』の27分に及ぶCGアニメーション。宇宙戦闘機「ガンスター」は、およそ40万ポリゴンという、それまでのCGモデルの約4倍というポリゴンが使われました。


7)『Brilliance』 (1985年製作)


『High Fidelity』でも触れたように、RA&AはCGの発展に大きな貢献をしてきました。しかし、それはマイルストーンでのこと。1984年、ある広告代理店がRA&Aを訪れ、ハインツやデルモンテ、キャンベル等を代表とするNational Canned Food Information Councilの1985年スーパーボウル用宣伝映像を作って欲しいと依頼しました。缶詰が廃れかけているのではないかと心配した企業が、映像を使って、缶詰はセクシーで最先端であると印象づけたいと考えたのです。

彼らはクロムのセクシーな女性を何パターンもデザインしました。そして、代理店側は、Abelに8週間後に開催されるスーパーボウルまでに映像を作り上げることができるかどうかたずねました。Abelは「月曜日に返事をする」とだけ返し、週末にかけて、どのように実現させればいいかを考えました。その間、スタッフは月曜日の朝までビルから一歩も出ずに試行錯誤を繰り返しました。

当時、キーフレームなんてものは使えませんでした。なので、リアルな女性のモーションをトラックしようということになりました。異なる視点から数台のカメラで女性を撮影し、フィルムを使ってモーションのアルゴリズムを作り出しました。アルベルト・メナシュ著の「Understanding Motion Capture for Computer Animation and Video Games」には、Abelが「スタッフの内の何人かは下着姿になり、黒い粘着のドットを付け、ポラロイドカメラでお互いを撮影しました。それから、それらのポラロイド写真をレイアウトしてアングルがどう変化したのかを見ていきました。日曜日の午前3時のことでした。彼らはデジタル映像化できると判断したのです。」と語ったことが記されています。


8)『Chromosaurus』(1985年製作)


ドリームワークスアニメーションに買収されてからは、『シュレック』や『マダガスカル』といったアニメーションを作っているPacific Data Images (PDI)ですが、元々は、創設者であるカール・ローゼンダール氏が、父親所有のガレージでスタートさせた小さな会社です。

彼らはブラジルのテレビ番組を含む様々なテレビ番組用の仕事をしました。と、同時にショートフィルムも製作し、その何作かは大きな賞を取りました。このクロムの恐竜がリアルな動きを見せる『Chromosaurus』は、その中でも特に秀でた作品です。


9)『ラビリンス/魔王の迷宮』 (1986年製作)


『スター・ファイター』で見事なCGを製作したDigital Productionsですが、それよりも凄いのが、オープニングシーンでCGのフクロウが飛び回る『ラビリンス/魔王の迷宮』でしょう。

ジム・ヘンソンは、世界初のCGテレビシリーズになるはずだった『Starboppers』を製作しようとしていたことからわかるように、すでにコンピューターアニメーションに興味を持っていました。最初、ヘンソンは『ラビリンス/魔王の迷宮』のオープニングで本物のフクロウを飛ばしたいと考えていました。しかし、肝心のフクロウは防音スタジオのてっぺんに飛んで行いったまま、降りてこなくなってしまったのです。そこで、彼はマペットのフクロウを使おうとしましたが、それではあまりにも陳腐です。ヘンソンは、考えた挙げ句、Digital Productionsのビル・クロイヤーにコンタクトを取ったのです。

連絡を貰ったビルは、博物館からフクロウの剥製をレンタルし、飛行のダイナミクスを研究しました。フクロウの羽は1枚ずつモデリングし、ハンドペイントしました。そして、個別にアニメーションが付けられるように、個々の羽にリグを施しました。勿論、そこまでしたところで、最終的にレンダリングイメージを出してみないと、それが正しい動作をしているように見えるのか分かりません。トム・シトー著の「Moving Innovation: The History of Computer Animation」によると、初めてレンダリングされた"大きく、柔らかなフォトリアルな羽"を見た時は、全クルーが椅子から立ち上がって喜んだそうです。


10)『キャプテンパワー』 (1987-1988年製作ドラマ)


本来ならば、ジム・ヘンソンのマペットショウ『Starboppers』が初のコンピューターアニメーションを使ったテレビ番組になるはずでしたが、お蔵入りになってしまったので、1987年から1988年にかけて放送された『キャプテンパワー』 が初のCGを使用したテレビシリーズとなりました。

主役と対立するソロンやブラスター、ゼノンはすべてコンピューターでレンダリングした後に、コンボジットして俳優と競演させる手法を取っています。エフェクトは『トロン』に似ていますが、この作品は映画ではなく、毎週放送される30分番組です。時間的制限に加え、実写はカナダで撮影、グラフィックはカリフォルニアで製作されていたのだから、その苦労は並のことでは無かったことでしょう。


[via io9

(中川真知子)

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