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メダルゲームとビデオゲーム技術を融合した、セガでしか出せないゲーム『ドラゴンコインズ』とは? 発売直前インタビュー!

2012/11/27 18:01 投稿

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『ドラゴンコインズ』発売直前インタビュー


本日11月27日はセガのゲーム機ドリームキャストの発売日。1998年に出たドリキャスはゲーマーに多くの夢をくれました...。そんなセガから新しい夢が生まれようとしています。ゲームセンターにあるコインプッシャーでRPGができる、渾身の新作がiOSでリリースされるというのです。

コインを落として、落としたコインに応じてモンスターが攻撃して戦う...ってまるっきりゲーセンのヒットゲーム『ドラゴントレジャー』じゃないですか!

アーケードっ子としてこいつは聞きに行かないとリリース後に泣きをみる...ってことで、セガネットワークスにお邪魔して、特別インタビューを行ってきました。以下からどうぞ。
 

 
ということで、実際に体験会に行ってきたのですが、『ドラゴンコインズ』は『ドラゴントレジャー』とはちょっと異なり、コインを落とすと自軍モンスターが敵モンスターを攻撃するRPGでした。

平たく言うと『パズル&ドラゴンズ』のパズル部分を、コインプッシャーに置き換えた感じのゲームですが、ゲームセンター顔負けのしっかりした作りのコインプッシャーの演出がモンスターのスキルという形で落とし込まれており、スキルを連発=ゲーセンの壁やフィーバー演出連発といった感じで、興奮度が超高いゲームでした。これは流行る!


121127-kj-dc03.jpgプッシャーの壁演出がスキルに!


で、今回はそんなゲームのディレクター今井邦彦さん、オンライン研究開発部部長の瀬川隆哉さんにお話を伺うことができました。


ーーまず、お二人の経歴を教えてください。

瀬川:様々なタイトルに携わってきましたが、近年ではコンシューマゲームの『マリオ&ソニック オリンピック』や、現在も運営を続けているPCオンラインゲームの『野球つくONLINE』等を作ってきました。また、facebookで野球ゲームを開発したり、セガの中でも非常に様々なプラットフォームでディレクター、プロデューサーを務めてきました。

今井:私は入社当時i-modeのiアプリ開発を経て、PCオンラインゲームの『ダービーオーナーズクラブオンライン』、アーケードの『ダービーオーナーズクラブ2008』にプランナーとして携わり、その後、瀬川とともにfacebookのゲームを作り、今に至ります。

ーー様々なハードを経てついにスマホへ...幅広いですね。まず、『ドラゴンコインズ』をつくることになった経緯から教えてください。

瀬川:私たちのオンライン研究開発部は、これまでいくつかのPCブラウザゲームやモバイルソーシャルゲームを作ってきました。ただ、なかなかヒット作が出てこなかったんですね。そこで、より表現豊かなスマートフォンの普及に合わせて、セガの強みや経験を活かし...AM、CS、オンライン等の経験のある人材を集めて1本すごいゲームを作ろうというのがコンセプトでした。

企画当時、パズドラが流行し始めていたのもあって、しっかりしたゲーム性のあるゲームが受け入れられる土壌が市場に出来つつあるなというのも企画を通した一因となります。

ーーこれをパズドラの後から作ったんですか!?

瀬川:そうですね。それまではカードコレクション系のソーシャルゲームが流行っていたのですが、ミッション部分をパズドラのようなしっかりしたゲームにしても受け入れられるのだと感じ、セガならではの、よりゲーム性の高いものを開発しようと考えました。

今井:もうひとつ、当時私のなかには『AngryBirds』に代表されるような物理処理を使ったゲームを作りたいという欲求がありました。

瀬川:まだ基礎研究段階でしたが、彼はUnity(ゲーム制作ツール)を使用して、ソニックをピンボールのように飛ばしゴールを目指す、というアクションゲームを試作していました。そのときの物理エンジンに対する経験が生かされ、今回のコインプッシャー部分の作りこみにつながったんです。

コインの挙動やプッシャー部分は完全なシミュレーションでないと面白くない、嘘をつくとゲーム性を損なうと考え、徹底的に研究を行いましたが、同時に非常にスピーディに開発することができました。開発期間は、セガの中では画期的に早かったと思います。

今井:基礎のゲーム部分は2ヶ月程度で固まり、演出やバランスの調整および追加要素の開発も含め、全体でも6ヶ月程度で出来ました。また、200体を超えるモンスターグラフィックの作成も非常にスムーズでした。

現状の市場を取り巻く環境から、スピード感のある開発というのはすごく意識していましたし、それが実現できたのは良かったです。非常に感度の高い開発メンバーが集まったおかげだと思います。

瀬川:モンスターのグラフィックはこだわりましたね。私たちには、ワールドワイドに成功させたいという目標がありまして、世界で通用しているIPを参考に、かわいさとかっこよさを兼ね備えたものを目指しました。ラフデザインも今井がやったんですよ。

ーーディレクター兼任デザイナーで行けるんですか!? 多芸ですね。

今井:いえ、そんな大層なものでは...。もともとモンスターや絵を描くのが大好きだったというのもあって、魂を込めてラフ案を描きました。

瀬川:もちろん本職のデザイナーはいます。彼も非常にスピード感も実力もある人間で、今井がラフをあげた次の日には10倍ぐらいかっこいいデザインに仕上がるような流れでした。つまり、大げさに言えば、ガンダムでいうところの富野由悠季さんがザックリとしたラフを描き、大河原邦男さんがブラッシュアップして描くような流れですね。


121127-kj-dc02.jpg今井さんのデザイン。


121127-kj-dc01.jpgこれがデザイナーさんの手で描き起こされるとこうなる。


瀬川:セガは、元々ワールドワイドで売れるものを目指しています。『マリオ&ソニック オリンピック』もそのひとつです。

今井:facebookで野球のゲームを開発したのもワールドワイドの成功を目指してのことでした。

瀬川:コインプッシャーというテーマは世界でも受け入れられるだろうと考えました。ただ、まずはしっかりと日本で成功させて、その後、海外展開を進めたいと考えております。

ーーゲーム初心者などにアピールできるポイントはありますか?

瀬川:まず、直感的に分かりやすいという点があります。普通のゲームは、自分の中で「どうやるのかな」と考える時間があると思いますが、このゲームは画面をタッチするだけでコインが落ちてきて、落ちれば敵を攻撃していくので、非常に分かりやすいと思います。

社内でも多くの方にテストプレイを行ってもらいましたが、初めてプレイした方でも特に迷うことなく遊んでもらえました。

今井:作っている最中は画面の派手さも大事にしました。女性にもプレイして頂きたかったので、スキル演出もとにかくキラキラさせて、コインがドバドバ落ちて、爽快感をきっかけに始めて頂き、そこから奥深いゲームにハマってもらう、というのが狙いです。

元来私もゲーマーなので、ゲームとしての楽しさも追及しました。やり込んでいくと想像を絶するスキルもあって、それの活用法が面白いですよ。

ーー体験会で遊ばせていただいた序盤からかなりヤバいスキルがあった気がしますが、それ以上があるんですか! 楽しみです。

セガと言えば、ゲームセンターなどで培われてきたものがありますが、そのあたりがどう活かされてるかも気になります。

今井:例えば、コインプッシャーの台にはコインが落ちる部分に角度がついていて、その角度にある程度コインが溜まった上で、一気にドバーッと落ちないと面白くないんですね。そういったコインプッシャーの伝統技法を、直接コインプッシャーを作っている専門の部隊から教えてもらったりしました。「こういう風にすると気持ちが盛り上がるんですよ」といった話は非常に参考になり、様々な分野のプロがいるセガならではの強みを感じました。

ただ、現実のゲームセンターのメダルは色々な縛りがあります。単純な話、いきなりコインの色を変えたりコインを大きくする、なんてことは現実ではできません。ですので、今回は伝統技法を取り入れつつも、ビデオゲームならではの面白さも追求しました。コインの挙動もゲームなりの調整はしましたが、実際のメダルゲームをやっている人が、気持ちよく納得感のある動きに仕上がったと思っています。


121127-kj-dc04.jpgこの中にセガの伝統技術が結集している...!


ーーメダルゲームを作っているセガならではのエピソードですね! それ以外にゲームでこだわっているところについても聞かせてください。

今井:音...BGMやSEにもすごいこだわっています。個人的な話になりますが、私は過去携わってきた『ダービーオーナーズクラブオンライン』 で作られた楽曲が、非常にファンタジーゲームっぽくて好きだったんです。既にサービスは終了しているのですが、私自身その作曲者のファンと言っても過言ではなく、いつかファンタジーゲームのBGMとして復活させたいと考えていました。

そして、今回各方面にかなり無理を言って、それが実現できました。また、その人が忙しい合間をぬって、今回オープニング・タイトル画面・ラスボスのBGM3曲を完全新作で作ってくれたんです。それがまたとんでもなくいい曲で、非常に嬉しかった。ぜひ聞いていただければと思います。

SEについても、サウンドの方と何度も話し合い、色々試行錯誤しました。コインの音1つとっても、リアルな音、ゲームっぽい音、様々な音を試しました。最終的にはかわいい感じを出したかったので、現状の音に決定しました。モンスターの絵もそうなのですが、このタイトルはおどろおどろしい本格派ファンタジーではなく、もっと明るい感じ、ポップな感じを出したかったので。

ーーたしかに、コインが落ちる音はメダルゲームをやってきた人間としては「あれ?」って思ったんですけど、慣れたらこれしかないって感じになりましたね。

今井:それが一番嬉しいパターンですね!

ーー話を聞いていたら、リリースが待ちきれなくなってきました。セガの強みが詰まっていると聞くと、アーケード世代としてはワクワクしますね。最後にKotaku Japanの読者に一言お願いします。

今井:私自身、両親にも、うちの子供にも、またしばらくゲームから離れてしまった地元の同級生にも、本当に皆様に勧められるゲームが出来たと感じています。誰にでも楽しんで頂けるゲームになっていると思いますので、皆様是非ドラゴンコインズであったかい冬をお過し下さればと思います。あと、とっても派手で爽快なゲームですので、ぜひiPadの大きな画面でもプレイしてみて頂ければと思います。

瀬川:アーケード、ネットワーク、メダルゲーム、...セガの強みが非常に生かされたゲームになったと思います。今回は本当に色々なメンバーが集まり、純粋に多くの人に楽しんでもらいたいという気持ちで作りました。多くの人に笑ってもらいたい、驚いてもらいたい、という思いを凝縮できたと思っています。ぜひ、手にとって遊んでみてください。コインがブワーッっと出たらストレス発散になりますよ。


121127-kj-dc05.jpgとりあえず落とせばコンボでコインがブワーッと!


今井さん、瀬川さん、忙しい中ありがとうございました。この冬をアツくするメダルゲーム『ドラゴンコインズ』。私自身も少し触らせていただきましたが、「本命!」と言っていい出来でした。ぜひ、遊んでみてください。

発売前に今井さんが関わった『ダービーオーナーズクラブ ONLINE』の子供とも言えるiOS『ダービーオーナーズクラブ』のBGMを聴いて『ドラゴンコインズ』と聞き比べてみると面白いかもしれません。


DERBY OWNERS CLUB ~ ダービーオーナーズクラブ ~[iTunes Store]

(ゲームキャスト トシ)

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