ジョージ・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』という映画の中に出て来るワンシーンを覚えているでしょうか? トラックにガソリン入れて街まで助けを呼びに行こうとするシーンです。あの時、もしペンシルバニア州の環境法が改正されていれば、彼らはゾンビのエサにならなかったかもしれません。
今回は、ゾンビ映画から少しだけ環境法を学んでみたいと思います。では、以下から詳細をどうぞ。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を見たことの無い人のために、ざっと問題のシーンを説明しておきます。
ヒーロー役のベンと、ティーンエイジャーカップルのトムとジュディがゾンビの群れをかき分け、裏庭のガソリンポンプまでトラックを運転します。しかし、何故か「ガソリンポンプ」と書かれた鍵が使えません。ベンはポンプのロックを撃ち、ライフルでゾンビと対抗。その隙に、トムはガソリンの給油ノズルを掴んでトラックに向って走ります。
ところが、トムはノズルのトリガーを給油口に挿入するより先に握ってしまい、トラックとその周辺にガソリンをまき散らしてしまいます。まき散ったガソリンに一瞬で火がつきますが、トムは恋人のジュディをトラックに残していたこともあり、トラックでガソリンポンプから離れようとします。しかし、トラックは先ほど燃え移った炎に包まれており、トムとジュディを乗せたまま爆発してしまうのです。
ではもし、この映画の中の出来事が環境法改正後に起こっていたら、どうなったでしょうか? ガソリンポンプは「蒸気回収ノズル」だったはずです。もちろん『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は映画なので、時代が環境法改正前であれ後であれ、大気汚染防止法なんて無視したストーリーになっていたかもしれません。そうであれば、大気に放出されるガソリンの蒸気を収集し捕らえるようにデザインされた蒸気回収ノズル云々は言うだけ野暮でしょう。
ただ、ほとんどの蒸気回収ノズルは、車の給油口に挿入しなければ給油を開始しない仕組みになっているので、あの瞬間にトムが握っていたのがこのノズルだったなら、焦った彼がどんなに強くトリガーを握ろうと、ガソリンは一滴も溢れなかったはず。
ゾンビに襲われて食べられてしまうならまだしも、深く愛し合っている若い2人が車の爆発で死ぬことは無かったのです。だとすると、大気汚染防止法は、小さい努力ながらも「対ゾンビ」を意識した法ではないかと考えられるかもしれません。
とはいえ、最近は車本体に蒸気回収システムが内蔵されているので、今後は徐々に蒸気回収ノズルも下火になっていくでしょうけどね。
[via io9]
(中川真知子)
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